見出し画像

ハイブリッドワークの時代だからこそ意識したい「メンタル・ウェルネス」

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

最近街を歩いていると、若干活気が戻ってきたなと感じます。もちろんコロナ禍が終わったわけではありません。徹底した感染対策やマスク着用などの新しい様式が功を奏したこともあり、必要な対策は継続しつつ徐々に日常を取り戻してきているようです。

個人的にコロナ禍で不可逆的に変化したのは「働き方」だろうなと思います。以前は電話会議やテレビ会議というものは、ごく一部の企業や職種の人々だけが活用していました。現在では多くの方が一度は経験したでしょうし、すでに会議の際の「選択肢のひとつ」として定着しました。リモートでの会話に抵抗感がなくなったというのは、コロナがなければあと10年くらいかかっていたかもしれません。

企業によっては原則在宅勤務を続けるところ、より柔軟性の高め出勤と在宅をミックスしたハイブリッドワークを推奨するところなど、様々なバリエーションが出てきています。私の勤務する会社はハイブリッドワークを推奨しているため、週に何回かは出勤する人が大多数になる予定です。

人間はソーシャルアニマル(社会的な生き物)、心理学者のエリオット・アロンソンが1972年に刊行した社会心理学の教科書(原題:『The Social Animal』)でも指摘されている通り、人々は知らないうちに社会や他者からの影響を受けており信念や行動にも反映されているということです。

人生において仕事をしている時間は非常に長く、職場での人間関係というのは人々に大きな影響を与えうる存在です。「40%の成人米国人がなんらかのメンタルヘルス問題に苦しんでいる」(米国連邦防疫センター)というレポートがあるくらい、ウェルビーングのためにはメンタルを健康に保つことが重要です。だからこそ、従業員の心身の健康に着目した「健康経営」が注目を集めています。

国連は、2020年5月の白書にて、不安や鬱などのメンタルヘルスがもたらす世界規模での経済損害はUS$1 Trillion (約100兆円)であるとし、国と企業に対して積極的にメンタルヘルスへの対策&投資を実施することを示唆しています。

世界的な経済学者であるThierry Malleret氏は、「歴史的にみても、経済的に豊かな時代にも関わらず、うつ病、不安障害、孤独感、依存症、自殺が急増している」と指摘しています。精神疾患は、世界全体の疾病負担の13%を占めるとされ、グローバルレベルでメンタル・ウェルネスに取り組む必要性を論じています。

日本でもメンタルヘルスに特化した相談サービスが出てきています。

Mentally(メンタリー、東京都八王子市)はメンタルヘルスケアに特化した相談サービスを始める。精神不調を抱える人と、同じ病気を克服した人の利用を想定する。病気の当事者同士をマッチングさせて、病院を受診する際の精神的なハードルを下げるのが狙いだ。

このサービスは西村創一朗社長自身が過去に経験した精神不調を原体験としてできたものだそうです。私自身も経験がありますが、心療内科の受診というのはとてもハードルが高いものです。同じような経験をした人から返答が得られるのは非常に価値があるでしょう。

昨年末に発表された「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022」でも、24時間いつでも不安や悩みを抱える人にオンラインカウンセリングを提供する「cotree(コトリー)」が心の揺らぎサポート賞を受賞しています。

コロナ禍でなかなか人と会えない、ひとり暮らしで孤独を感じて不安だという声をよく聞きました。今後は働き方に選択肢が増える一方で、対面しているとそうでない人の間に情報格差を感じたり、疎外感を感じるような場面も出てくると想像できます。これまで以上に自身の心の声に耳を澄まし、心身の健康を保つことを意識することが大切ですね。

---------
みなさまからいただく「スキ」がものすごく嬉しいので、記事を読んで「へー」と思ったらぜひポチっとしていただけると飛び上がって喜びます!

タイトル画像提供:shimi / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?