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「好き」が消費の原動力へ 若者中心に増える非コスパの動き

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

タイパ、コスパと言われて久しいですが、引き続き個人消費が全体として力強さを欠く状況が続いています。一方で、よりお金を使うのはモノよりコト(体験)にシフトいるのではないかと論じる方も多数います。

実際にデータを見てみると、大学生の趣味に投じるお金は30年前のバブル期並に回復してきています。

消費者庁の2021年度調査では意識的な支出として音楽フェスやファン交流などの「参加型イベント」を選んだ人は10代後半、20代で16%超。全体平均6.6%の2倍以上だ。

バブル期の消費は大きく異なる。当時の若者を描いた映画「私をスキーに連れてって」(1987年)は高級ホテルのあるリゾートスキー場が舞台。男女問わず愛車を走らせ、好景気を体現していた。

博報堂生活総合研究所の「生活定点」調査によると、現在お金をかけているものとして「車」を挙げた20代は92年に27.8%。2022年は7.8%に減少した。

同研究所の夏山明美上級研究員によると、バブル期の若者は車やブランド品を購入する「モノ」消費が主流だが、令和は参加型イベントなど「トキ消費」も重視するようになった。「SNSが普及した半面、リアルの経験を求める人が増えた。その時しか味わえない盛り上がりを楽しむ」と語る。

日経電子版

コト消費の中には「トキ消費」、つまりリアルの体験でその時にしか味わえないものを重視する動きが見られます。コロナ禍を経て、仲間と共に一期一会の機会を楽しもうという志向が強まっているのでしょう。

端的な例として、推し活が挙げられます。推し活の中心は体験もありますが、思い出として残るモノです。その動きについて以前このような記事を書きました。

そろそろ来年のカレンダーが売り出されるシーズンですが、現在ではスマホでスケジュール管理をすることが当たり前になったためカレンダー市場は低迷を続けています。テコ入れのために推し活のブームに乗り、カレンダーと一体になった神棚のようなものも出てきたようです。

若者がモノを買わなくなったと言われますが、若者向けクレジットカード事業が好調である丸井グループの青井浩社長は、以下のように指摘しています。

――物価高が続き、若い世代はあまりモノを買わなくなったともいわれます。本当でしょうか。

「それほど減っているとは思いません。『モノ消費』から『コト消費』へ、とも指摘されます。しかし、皮膚感覚でいえばモノの消費も、むしろ増えているのではないでしょうか」

「衣料品の国内市場は金額では1990年の約15兆円から直近では8兆円程度と半減していますが、数量はほぼ倍増しています。価格でみるか数量でとらえるかによって消費の実態は異なります」

日経電子版

長引くデフレの影響で単価が下がっている、もしくは高級品をがんばって手に入れようとする動きはトーンダウンしているのかもしれませんが、数量で見るとまた違った様子がみてとれます。実は消費ニーズ自体は弱くなっているわけではなく、何にどう使うのかがより問われているのかもしれません。


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タイトル画像提供:Bongkarn Thanyakij / PIXTA(ピクスタ)

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