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南海トラフ「巨大地震」は起こるのか?ー新たなリスク戦略

宮崎地震が発生して南海トラフ巨大地震注意報が発表され、その翌日に神奈川地震が、翌々日に青森地震が起こった。それぞれの余震も起こる。なぜか大地震発生の場所には、原子力発電所がある。どうなるんやろ?東日本大震災のようになったら、どうなるんやろう?本当に、もしかしたら南海トラフ大地震が起こるかもしれない。もしも大地震が起こったら、どうなるんやろう?今日で、南海トラフ「巨大地震注意」情報が発表されて、7日目となる

日本人は「過去」を忘れ、「明日」を真剣に考えない。しかし「なにか」が起こったら「予想外」だといって、慌てふためく。その「なにか」が大きかったら、「パニック」になる

もしかしたら
起こるかもしれない。
だから備えよと国がいった

と、テレビから新聞からネットからSNSから、いろいろな対策や予想が語られる。では、我が家でも水や米やカップ麺やトイレットペーパーなどを備蓄しておかないと、スーパーなど小売店ではすでに売り切れだしている


1 いまあるリスクをどう考えたらいいのか?

いまあるリスクは
今日、起こるかもしれない
明日、起こるかもしれない
1週間後に、起こるかもしれない

いつ起こるか分からないが
いつか起こる
 

東日本大震災は、13年前に起こった
大地震に、津波に、エネルギートラブルの複合災害となり
未曽有の被害を引き起こした
被災地の復旧と復興に奔走するともに
有事に備える動きが始まり
防災・減災・国土強靭化・レジリエンスが、国の政策に盛り込まれ
事業継続計画(BCP)を立て、有事に備える
取組む人、自治体、企業が増えた

東日本大震災の前と後で、はっきりと
「リスク」の考え方が変わった
 

もし東日本大震災と同じことが起こったら、私たちはどうなるのだろう?
そのリスクを回避するために、なにをしたらいいのだろうか?と考えた

2011年3月11日の東日本大震災の未曾有の惨禍をみて、防災・減災が論点となり、国土強靭化・レジリエンスの重要性が喧伝され、有事に起こるだろうことを想像して、有事を乗り越えるために、なにをしないといけないかを、事業継続計画(BCP)に書き込んだ自治体、企業が増えた

事業継続計画(BCP)をたてた。しかし最後の決断の段階で、東日本大震災のような大きな災害が起こったから
「しばらく起こらんやろ」
「大袈裟やで」「大丈夫とちゃうか」
と、準備しなかった人、企業が大半だった

2 東日本大震災で、なにがおこったのか?

マグニチュード9.0、最大震度7の東日本大震災が発生した。津波の高さ最大21.1mが東北地域を襲った。福島原発事故に伴う電力供給の逼迫により、3月15日から計画停電が開始された。余震が続くなかでの計画停電は、地域単位の停電のため、都市・産業機能にダメージを与えた。被災地から500km離れた東京をも混乱させた。私は東京で震災を経験した

①   都市機能が、甚大な影響を受けた

・街・オフィス・駅から電気が消えた
・交通システムが停滞した
・金融機関はATMが動かず、窓口は混乱した
・スーパーの棚から物がなくなった
・通常どおり診療ができた医療機関は3割
・学校は授業を中止。卒業・入学式は中止・延期が多かった
・マンション・ホテルのエレベータがとまり、ハンディキャップの方、高齢者に影響した

②   産業機能が、甚大な影響を受けた

・製品を実質的につくれなかった
・製品を計画的につくれなかった
・倉庫システムが停まり、入出庫できなくなった
・輸送物流システムが停滞した
・サプライチェーンが機能不全した
・産業が停滞した
 
そんな東日本大震災での被害も、3年経ち、5年経ち、10年経ったら、多くの人は忘れる。29年前の阪神・淡路大震災のことを、体感として記憶している人はさらに少ない

3 2011年から2024年で、日本は変わった

阪神・淡路大震災から29年、東日本大震災から13年で、日本は大きく変わった。なにが変わったのか?情報技術、人口構造、都市構造、産業構造、エネルギーの需給構造が変わった。社会のインフラや仕組みが変化に伴い、人のチカラが変わった

①   つながりすぎた日本 

この30年、日本のつながりが加速している。通信や鉄道や物流やエネルギーなどのネットワーク化が進んだ。生産性を上げよという命題のもと、効率化、DX化、ロボテック化、生成AI化など、さらに日本をつなげようとしている

どこかの事故が、遠いどこかに影響がでる。たとえば新幹線岡山駅の事故が、東の東京駅に名古屋駅に新大阪駅に、西の広島駅に博多駅に影響がでる。東京から博多すべての区間で、新幹線がとまることがある。
かつて東京駅はターミナル駅だった、発着駅であり、終着駅であった。乗り換える駅であった。それを東京駅、上野駅を経由し、宇都宮線、常磐線、東海道線を直通にした。他のいろいろな線をつないだ。利用者はとても便利になり、企業は効率的となりコストダウンとなった。しかしどこか遠いところでおこったことが、どこか遠いところで、様々な影響がでるようになった。つながりすぎた

たとえば神戸から和歌山に行こうとしたら、大阪を抜けてそのまま神戸から和歌山までストレートに行けない。乗り換えなければならない。この乗り換えが不便、面倒くさいとおもう人もいるが、乗り換えて目的地にたどりつく交通機関はJRも私鉄もある

選択できる方が社会の仕組みとして
「健全」である部分もある 

大阪でいえば、JRに地下鉄に阪急、阪神、京阪、南海、近鉄が並走している区間が多い。A地点からB地点にストレートに行けなくて、乗り換えなければならないのは面倒くさい、不便、非効率におもえるかもしれないが

複数ルートがあること
リタンダンシー(冗長性、多重性)であること 

は社会において重要であった。それが非効率、無駄だと考えるようになり、いろいろのルートをつないでいった。そのつなぎすぎた路線で、通勤通学ラッシュの時間帯に大地震がおこったら、どうなるのだろう
 
他への振り替える方法がなかったら、まるで蜘蛛の糸にみんなが群がり、蜘蛛の糸がぷちんと切れ、大混乱する。東日本大震災が発生した日の東京の都市渋滞・帰宅困難者などの混乱のように
 
それは鉄道など交通だけでない。物流、サプライチェーンが混乱して、商業現場や工場の生産に影響など、とてつもないことが日本各地に連鎖的におこる

② 想像力が落ちた日本

東日本大震災以来、BCP(事業継続計画)をたてたが、「そこまで考えないといけないの?」「無駄な投資になる。意味がない」と考える企業が多かったのは、なぜか?
 
「有事に、なにが起こるのか」
「社会および自らがどうなるのか」
「それを避けるため、なにをしなければいけないのか」
を想像できない人、企業が増えた
 
本来、日本人が強かった
想像力が劣化しつつある
 
有事にどうなるかを「自分ごと」と考えないから、本気で行動しない
 
都合の悪いことは、起こらない
起こったとしても、自らには起こらない
 
有事が起こると、お客さまの「生命」に影響するかもしれない、自らの「事業」そのものがなくなる可能性があることを想像しない。「他人事」だから、有事のための計画をつくるとしても、現場を知らないスタッフが「形」だけ整えたものなので、本当に有事が起こったら大問題となって大混乱し、
 
組織間で「責任」のおしつけあいをする
 
③  全体を観るチカラが落ちた日本
 
有事による被害は、情報、通信、エネルギー、水道、交通、物流、医療等が同時多発的に起こるのにもかかわらず、「全体」を見る人が少ない。自社のことだけ、自分のことだけしか見ない人、企業が増えた
 
なによりも大切なのは
「地域」「市民」であるはずなのに
「現場」「市民」であるはずなのに
 
地域にいる市民がどうなっているのか?困っておられないだろうか?お客さま、現場の社員がどうなっているのか?無事だろうか?と、「全体」をつかみ、「全体構造」をつかみ、全体を考え、市民・お客さま・社員のために行動する人、自治体、企業が少なくなっている

4 南海トラフ大地震はおこるのか?

この13年で大きく変わったことは、
リスクの概念が変わったこと
リスク量が飛躍的に増えたこと 
 
有事は必ずやってくる
そのときに、後悔しても、間に合わない
有事は目に見えなく、読めないが
いつか起こる
 
東日本大震災から13年経って
とても大事なことがある
 
有事の概念が変わったということ

道天変地異で
川が決壊したり、山が崩れたり
橋や路が壊れたり
家やビルが壊れたり
それだけが、有事・リスクではない
 
有事・リスクを、人がつくりだすこともある
戦争がまさにそれ
それを人類は何度も経験している
 
もうひとつは
人口減少・人手不足が生み出す
新たな有事・リスク
 
高齢化、少子化
人口減少、生産年齢人口の減少は
社会の運営機能を低下させている
 
それらが有事の概念を変え
社会リスクのカタチを変容させ
リスク量は増え
さらに高まっていく可能性がある
 
DX化、ロボテック化で
「生産性をあげよ」だけでは解決できない
 
生産年齢人口が減るということは
これまで人が社会で経験して磨いてきた
知恵やナレッジがあった
 
それが弱くなることでおこりうる
有事・社会リスクが高まりつつある

もうひとつある
技術の進化
とりわけデジタル化、AI化が生み出す
新たな有事・社会リスクがある
 
これまでならば
あり得なかった事柄が起こっている
それも枚挙にいとまがない

さらに東日本大震災から13年で
あまり指摘されていないことがある
 
この13年で、急速・急激な
DX化・AI化、ロボテック化、電化が進んでいる
これは別の観点で言うと
 
有事においても
それが機能しなければ
社会・産業・生活が停滞するという
「重要負荷」の中身が変わり
かつその「エネルギー量」が爆発的に増加している

DX化・AI化・電化は、人口・経済以上に
東京に一極集中している
これは
有事において日本を守るべき「重要負荷」が
東京に集中していることを意味する
 
有事を天変地異だけと捉えるだけではなく
新たな有事・リスクを
人がつくりだしている
 
人がつくりだすものは
人がコントロールできるはず

 
有事において
人の生命、事業を守ることが
何よりも大事だと
みんな、口では言うが
 
まぁ大丈夫やろう
しばらくは起こらへんやろ
有事はきっと起こらないとだろうと
コストを優先してきた
人、会社、いっぱい見てきた
 
有事はいつ起きるのかが
分からないということは
今日、起きる可能性があるということ
 
有事、リスクは、現在に内包している
 
有事を有事、平時を平時
と別々に考えるのではなく

平時と有事を切り離して考えない
自分ごととして考える

 
有事は有事だけを見ていてはいけない
平時のなかにある

 
「今すること」―今できることをする。これは今できる

「今からすること」ー総合的に、計画的にできることをする。ネットワークでありつつ、スタンドアローン(自立分散)な社会・産業システムに、今から変えていく。完成するには時間がかかるが、今からはじめる、未来のために、今からはじめる


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