フリーランスは価格で戦うな、価格価値で勝負しろ。
人が何かを買うときに「お値段」は 買うかどうかを考える上でとても重要な情報だ。
高いと感じて 買うのを躊躇した経験があなたにもあるだろう。人は基本的に「安くていいもの」を求めていると言っても過言ではないのだ。
しかしその自分自身の経験が、今度は「買い手」ではなく「売り手」になったときに少なからず その心理に影響を及ぼすことがある。「安さ」が購買行動の決め手だと勘違いする”売り手心理”のことだ。
今日はその「売り手心理」を少しだけ消していける考え方を論じていこう。まさに大手とは価格訴求では勝てないであろうフリーランスがどう考えるべきか。どう考え、どう行動していくべきか。
この記事がその道筋に少しでもなれたらいい。その道筋に少しだけ光を差し込めたらいい。
ぜひフリーランスの皆さまが読んでくれることを願っています。
人の財布を気にするな。
人が買おうとしている何かを見て「高い」と感じるのはなぜか。
あなたも経験があるだろう。ジャケットを買おうとショップに入って、気に入ったジャケットを見つけたら試着するより先に”値札を見る”という行動。
そしてそのジャケットが予算と比べて「高い」と判断するとサッと手放したりする。そう、人には買い物をするときに「予算」という感覚的な目安がある。
その”目安”を大きく上回ったら、基本的には「買えない」と考える。そうすると次に その「予算」に合う品の中で自分が欲しい商品を探すのだ。
このように、買い物をするときに「予算」は確かに無視できない。しかしそれは「買い手目線」の話だ。あなたが「売り手」になったときにその真理を考えてはならない。
なぜかというとそれは簡単な話だ。「人の予算」はそれぞれだからだ。人によって高いか安いかの基準は違う。財布の中に1000円しか入っていない人は1200円の商品を買えないが、1300円入っている人は「どうしてもそれが欲しくなれば」その商品を買うことができる。
そして私たち「売り手」は、誰の財布に1000円しかなくて、誰の財布に1300円あるかを知ることはできない。もっというと、誰がこの商品を高いと思うか安いと思うかを正確に知ろうとするのは野暮な話だ。そんな暇があったら本当にその商品を必要としている人は誰なのかを考えた方がいい。
売り手のあなたは他人の財布の中を気にしてはいけない。「これは少し高いから自分だったら買わないかもしれない」などと考えたら終わりだ。
まず私がここで言いたいのは、いくらの値段をつけても「高いと思う人」はいるし、「安いと感じる人」もいるということだ。目の前にいる見込み客の経済状況を気にして「いくらなら買えますか?」などと聞いたり、そう考えているうちは、あなたは売れるフリーランサーにはなれない。
それを「高い」と感じる理由
まず一般論だが、人にはそれらの商品に対するアンカーポイントを持っている。アンカーポイントというのは、その商品の一般的な価格価値のことだ。
例えば、自販機の缶コーヒーなら120円〜130円くらいがアンカーポイントだ。たまに100円で売っている自販機を見つけると「安い」と感じるし、150円の缶コーヒーを見ると「高いな」と感じるのだ。
逆もある。80円の自販機缶コーヒーを見つけたらどう思うだろうか。「安い!すぐに買おう!」となる人もいるだろうが、「なんで安いんだ?何か入っているのではないか?」と安全面に疑心を抱く人もいるだろう。
その中心にあるのが人が持つアンカーポイントだ。これはどんな商品やサービスにも無意識に存在する。
もしあなたの商品・サービスが、アンカーポイントよりも高いものであればそこには「付加価値」が必要だ。
例えばカット10,000円のフリーランス美容師さんがいたら概ね「高いな」と思われるだろう。それだけだとまず依頼する人はいない。
しかし、例えば今人気の女優や俳優やアーティストらの名前を公開して、彼らのヘアメイクを長年担当している(という付加価値)をつけたらどうだろう。依頼したいと思う人も出てくるのではないかと思う。
付加価値は別に特別なことでなくてもいいかもしれない。例えば希少性を打ち出すことも付加価値だし、組み合わせることで他にはない※USPを打ち出すことも付加価値だ。
付加価値とは、言うまでもなく「付け加える価値」だ。今の状態に何を「付け加える」のか。そこにアンカーポイントを超える鍵がある。
※USPについては以前にこんな記事を書いたので併せて読んでみてください。
フリーランスは「安い」だけでは勝負できない。
逆にアンカーポイントを下回ることで価格価値を表す商品やサービスもある。
例えば、少し前だと60分2,980円のクイックマッサージとかその部類だ。
それまでは一般的に10分1,000円(つまり60分なら6,000円)目安がクイックマッサージのアンカーポイントだったはずだから、安さによって市場を勝ち取っていったわけだ。
ライザップもある意味で同じだ。パーソナルトレーニングのアンカーポイントを下げたと言えるだろう。このように、アンカーポイントは経営するあなた自身の努力により下げることもできる。
しかしアンカーポイントを下回るサービスで集客をしようとするときに1点だけ注意点がある。そしてその注意点を無視すると必ず失敗すると言っていいぐらいに失敗する確率が高まるのだ。
さて、その注意点は何かお伝えしよう。それは、
「受注を増やすためだけで安易にアンカーポイントより安く売ろうとするな」ということ。つまり簡単にいうと「安くすれば売れるだろう」という安易な考えで価格決めを行うことが危険なのだ。
アンカーポイントより安い価格で打ち出すということは、普通に考えれば薄利になるということを意味する。はじめからそれを見越した商売は長続きしない。特にフリーランスにおいてはそんな経営はうまくいかない。
「価格」というものは「アンカーポイント」と「価値」で決まる。それらがお客様ひとりひとりの「欲求」を上回ったとき、その人はあなたの商品・サービスに喜んで財布の口を緩めるのだ。
↑ デサント、地獄からの生還。「安さ」から「ブランド価値」へ
「価値」とはなにか。
人よりも安く提供できるものがあるなら、その理由をお客様に伝えなければならない。価値を魅せたいなら、あなたの価値を伝えなければならない。
アンカーポイントとは、そのための指標でしかない。100円のアンカーポイント商品と同等品を100円で売ってたら売れるわけがない。
なぜか。それはそこに「価値」を感じないからだ。
あなたが 1時間30,000円のオンラインセッションをしているなら、少なくともその30,000円という価値が見込み客に伝わらなければ誰も依頼しないでしょう。
もしあなたが 30万円でウェブサイトを提供したいなら、20万円のクリエイターとの「違い」が見込み客に伝わっていなければ誰も依頼するわけがない。
誰かに何かを依頼する人の心理は「安さ」だけじゃない。自分が困っていること、悩んでいること、できずにいることを「あなたが解決してくれる」と感じるからこそ、お金を払ってでも依頼してくれるわけだ。
あなたには「他とは違う価値」があるか。それはなにか。それが相手にとってどんなメリットになるのか。それを真剣に考えることが「価値創造」の第一歩だと、私は思う。
「価値は自分では決められない」ものか。
私の記事を読み続けてくれている方は何度も出てくるフレーズに飽き飽きしているかもしれないが、今回もまた言おうと思う。
私の言う「価値」とは、自分が決められるものではない。自分が決められるのは「価値があると思われるもの」でしかない。
なぜならば「価値」とは、それを必要とする人の数だからだ。
どんなに優れた知識や、どんなに優秀な作品や、どんなに秀でた商品でも、それを「欲しい」と思う人がいなければ「価値がない」ということだ。
実に単純な話だ。それを必要とする人の「数」こそが「価値の高さ」だと考えていい。ましてやビジネスにおいては相手が「お金を支払ってでも手に入れる」わけだから「価値」はとても重要だ。
あなたのビジネスには価値があるか。自分が好きだというだけで価値を見せずに「いいものの押し売り」をしていないだろうか。
「自分にとってイイモノだから、あなたにとってもイイモノに決まってる」というスタンスでビジネスをしていないか。
覚えておいてほしい。
フリーランスである あなたのビジネスは「買い手」がいてくれてはじめて成立するのだということを。その買い手は、あなた以外の同等品も必ずみているということを。
そしてその決め手は、アンカーポイントと価格価値で決まるということを。
皆さんのビジネスがうまくいくことを願っております。
↑ このままでいったらヤバい。そのアンテナの感度が失敗を防ぐのです。
↑ フリーランスこそ「自分ブランド」を意識すべきでは?