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中国のtiktokはもはやショート動画のアプリではない。動画アプリがEC業界のTOPになる日は間近か

中国ウォッチャーの皆さんはtiktokの会社の中国国内向けアプリの抖音(Douyin)も日々使ってらっしゃるでしょうか?

(画像:Apple アプリストアから)

ご存知と思いますが、Douyinはもはやショート動画を見るためのアプリではなくなっていて、ECの買い物などでも使うスーパーアプリになっています。

そして、このECの売上が尋常じゃないペースで伸びているのです。つい先日のダブル11のデータや資料を見ていたのですが、あらゆる買い物アプリを打倒する勢いを感じています。

毎年恒例のダブル11が終了したんですが、今年の独身の日セールは過去と比べてもかなり異質なものでした↓

機関データによると、今年の「ダブル11」ピーク検索量は前年同期比60%減。 未だに中国で最も影響力をもつWeiboの検索ランキングの滞在時短では、2019年から平均8時間近くあった「ダブル11」関連の話題が、今年は3時間未満に激減したのです。ECサービスの利用金額は伸びているがダブル11の影響力は圧倒的に低下しました。

いろんなデータの中で面白かったのはこれ。みんな買いたいものはないとか言っておきながら実は買っているという

ただ、そんなオワコンと化したダブル11でも、中国のECサービスでも、ライブコマースは堅調。 Pinduoduoは前年比20%以上の成長、JDとTmallはそれぞれ前年比でコンテンツEコマースプラットフォームは前年比30%以上の成長を見込んでいるとの報道があります。

ライブコマースでは影響力を持った人々によって購買者が不利益を被っている問題がありますが、それでも、データでは勢いが止まらないと出ています。

そしてこのライブコマースにおいて新規参入してきた中国のtiktokのDouyinがとんでもない数字を叩き出していることが話題です。

Douyinが開示したデータによると、今年のダブル11の期間中、Douyinの累積ライブ放送時間は5827万時間、ショッピングカートをぶら下げるショート動画は1697億回再生という、もはや計算できないほどの数字だったとようです。

そして実際のセールスも爆伸び。抖音Eコマースの魏文文社長は記者とのインタビューで、Eコマースの売上高がこの1年で80%以上増加、モールGMVは前年比277%増加した。今年のGMVは2兆元規模、約40兆円に達する見込み(ちなみにTaobaoの全体規模は8兆-9兆元規模)」とコメント。

動画プラットフォームのECの規模は急成長

中国のEC市場の競争は恐ろしいです。かつてTaobaoが戦国時代を制覇してTopに君臨して誰も勝てないと思われましたが、全くそんなことはありませんでした。タオバオのゴタゴタもあった他、何度も紹介してきたPDDや他のECサイトの進化によって今や新たな戦国時代と言って良いと思います。

そしてここに参入し躍進してきたDoiyinには大手のタオバオやPDDさえも恐れを持っています。それは明らかに異なるユーザー体験を持ち込んできたこと。今までのECサービスは買い物する目的のために利用されるもの。各社ライブコマースが人気ですが、あくまで買い物する目的のために動画を見に来るというもの。

一方でDouyinはショート動画を楽しむためのユーザーにECを提供するということで、スタート地点も視聴者のカスタマージャーニーも全く違います。これを実際の購買数を増やすためにうまくアジャストさせてきたのが驚異的です。

この、買い物アプリ→ライブコマース動画ではなく、動画アプリ→ライブコマース、の体験は業界や市場をガラッと変えてしまうのかもとの意見が多くあります。

そして、Douyinだけでなく、別の動画アプリのECの規模も急速に成長しています。tiktokのライバルKwaiの中国アプリの快手は、ダブル11期間での商品数が50%以上増加、注文数も50%近く増加し、GMVは前年比75%以上増加。 

Kwaiではスマホのセールスが好調

中国のInstagramことREDは、今年のダブル11の期間中の電子商取引の注文件数は前年同期の3.8倍、参加加盟店数は前年同期の4.1倍、生放送のGMVは前年同期の4.2倍。

ご存じBiliBili動画も今年のダブル11期間中のGMVは前年同期比251%増と高い伸び率。特にbilibiliは施策が面白く、グッズ付き動画を多数配信。数は前年同期比233%増、グッズ付き生放送の数は前年同期比105%増だそうです。

ただ本命はやはりDouyinでしょう。記者による内部関係者への取材ではDouyinはECサービスのプラットフォームを設立して2年余りでこの収益を上げています。同じ数字に到達するために、JDは14年、Alibabaは9年、PDDですら4年を費やしたとのこと。

EC機能は日本のTikTokにも早く導入されて欲しいですね。

ちなみに調べていたら、この躍進の裏にあるDouyinのECサービスの開発秘話がちょこちょこ出てきているのですが、これが本当に面白かったです。長くなってきた上に、そちらもとても読み応えある文章なので別のnoteで紹介します。ぜひフォローしてお待ちください。

(参考資料)

https://baijiahao.baidu.com/s?id=1782501900424190827


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中国情報局@北京オフィス
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