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日本から新しいコンテンツ・プラットフォームは生まれるのか?

アニメ・漫画などのエンタメビジネスをアップデートするスタートアップ、株式会社MintoのCEOの水野です。

今回は日本から新しいコンテンツ・プラットフォームが生まれるのか?というテーマで徒然なるままに書いてみます。(2023年末にエンタメ・スタートアップの総括記事を書いていますので、もしお時間あればこちらもお読みください。)


この10年は、"スマホ向けコンテンツis King"時代

2010年から、特に2015年以降のエンタメは、スマホで楽しめるコンテンツが最も影響力がある="スマホ向けコンテンツis King"時代だったと言えます。

・SNSプラットフォーム(X,Instagram,LINE等)
・動画プラットフォーム(Netflix, ABEMA,YouTube,TikTok等)
・漫画プラットフォーム(ピッコマ、LINEマンガ、少年ジャンプ+等)
・ゲーム(プラットフォームではないが)

これらのプラットフォームは主にスマホで楽しめるエンタメ・コンテンツサービスとしてのポジションを確立しました。そして、これらのプラットフォーム向けには、個人クリエイターやスタートアップ企業が、VTuber/Liver、YouTube/TikTokアニメ、ショートドラマ、Webtoon、メタバース/VR等々、様々なコンテンツを提供しています。

日常の隙間を埋めるようなエンタメは "暇つぶし""可処分時間の奪い合い"と言われるように、このようなスマホ向けのプラットフォーム&コンテンツの台頭により、スマホの外にあるコンテンツ=テレビやラジオのコンテンツに費やす時間は減り、人気は下降しています。

逆に、スマホでは表現できない体験型のエンタメは"可処分時間の奪い合い"にはならず、映画館、テーマパーク等々は、息を吹き返しています。

いずれにしても、この10年でエンタメの中心に、スマホ向けコンテンツ(とプラットフォーム)が躍り出たといえるでしょう。

Mintoがプラットフォーム作る理由

Mintoは、6/26に、NTTドコモ・スタジオ&ライブ社及び吉本興業のグループ会社FANY社と縦型ショートドラマプラットフォームを今冬にリリースすることを発表しました。現在、Mintoのグループ会社のFuturizeも含めて、鋭意開発進行中です。

Mintoとして、コンテンツだけでなくプラットフォームまで一貫して提供していけるような体制を整えたのは、経営統合1年後の2023年2月。プロダクト開発スタジオのFuturizeをM&Aしてグループ化してからです。

Mintoは、経営統合前の時代まで遡れば、プラットフォーム開発は行なっており、それこそ初期は、LINEのようなチャットアプリ(+コンテンツ・プラットフォーム)を作っていたのですが、2016年ごろからSNSやコンテンツプラットフォームの勝者が確定していく中で、自らプラットフォームを運営するのは難しいと思い、コンテンツを提供する側、クリエイターやIPホルダーを支援する側で事業を成長させてきました。(近年のエンタメ・スタートアップも、Minto同様のポジションの企業が多いと思います。)

Futurizeは代表の瀧嶋は、元々Minto(経営統合前)に学生インターンでエンジニアとして参画していて、卒業後に起業(1社目の起業がナナメウエ、2社目がFuturize。toC向けコミニュティサービス/アプリなど開発)。彼と2018年に協業という形で久しぶりに作ったのが、NFTという言葉が一般化する前の、"ブロックチェーン・プロダクトのCryptoCrystal"でした。(本プロジェクトが2021年にNFT価格が急騰(100倍以上)するという経験もし、それを記した記事もあるのでご興味あればこちらもどうぞ)

その後、ブロックチェーンの技術的や可能性は引き続き追いかけつつも、Futurizeを2023年にMintoにグループ入りしてもらった大きな理由としては、エンタメビジネスが進化するなかで、大手プラットフォームが大きな市場を取り切り、今後は、「コンテンツ企業がコンテンツ・プラットフォームを作る時代になるのではないか?」と思ったからです。

2024年のコンテンツ・プラットフォーム動向

2020年代は、2010年代のスマホデバイス普及ほどのデバイスの変化はないと思います。AR/VRデバイスが次のデバイスだとしても、それは2030年代ではないでしょうか?(Apple のVision Proの体験は本当に素晴らしく、大好きですが、普及タイミングはもう少し先かと)

そう考えると、2020年代のコンテンツ・プラットフォームは、引き続き、スマホ中心になり、SNSプラットフォーム、動画プラットフォーム、漫画プラットフォーム、ゲーム、等の中から、バーティカルに細分化されるのか、切り口が変わるのか、要素が組み合わせるのか、なのかな?と思っています。

今回、Mintoが手がけるショートドラマのプラットフォームは、そういう意味だと、動画プラットフォームの新しい切り口です。中国からはじまったTiktokなどの縦型動画プラットフォーム&動画コンテンツ、ピッコマから始まった「待てば無料」課金モデルを組み合わせた、課金型のショートドラマ・プラットフォームです。

そして、中国発のDramaBox、ShortMax、ReelShort、などのアプリはありつつも、日本で上記の流れを作ったプラットフォームは、BUMP。日本発のコンテンツ・プラットフォーム自体が久しぶりに登場したと言えます。

Mintoが協業モデルで開発しているショートドラマ・プラットフォームは、当然BUMPを意識していますが、Mintoはショートドラマのコンテンツスタジオでもあります。そして協業先の吉本興業(FANY社)は多くのタレントさんやコンテンツを保有しています。コンテンツを作りながら、プラットフォームを創る強みをどう打ち出していけるかが、差別化が鍵になると思っています。

ショートドラマ・プラットフォームは日本以外に韓国勢の参入も噂されており、2024年は、プラットフォーム同士の戦いが激化しそうです。

次に、SNSプラットフォームの動向です。Tiktok以降(Tiktokを動画プラットフォームと捉えるならInstagram以降)大きなSNSプラットフォームは生まれていません。SNSプラットフォームが最もマネタイズが難しく、例えば、Z世代ユーザーを中心に絶大な人気を誇った2023年に位置情報共有アプリのzenlyはサービスを終了しました。

2020年フランス発のBeRealは、盛らない/映えないSNSとして人気になり、日本でも火がつきましたが、2024年6月に同じくフランスのカジュアルゲームスタジオのVooDoo社に5億ユーロ(約840億円)買収されました。コンテンツ企業がプラットフォーム企業を買収した事例とも言えます。

日本では、友達と遊べるたまり場アプリ「パラレル」が2024年初頭に資金調達を実施。ゲーム・動画・音楽などのコンテンツを友達と一緒に楽しむことができる「オンラインのたまり場」の空間を提供しています。

既存の大型SNSとは異なるコミニュケーションの場=新しいSNSプラットフォームは2020年代の大きなチャンスがありそうだなと思いつつ、まだ絶対的な次のプラットフォームは見えていません。

また、クロスプラットフォームで、ゲーム×メタバース空間を提供する、FortniteRoblox、日本だとClusterのようなもSNSプラットフォームという見方をすることもできます。

どのようなコミニュケーション体験がユーザーと時代にマッチするのか(シンプルなテキスト、音声からリッチな3D体験まで)、そこでキラーコンテンツになるものは何なのか?この数年間でトライ&エラーを繰り返していくのだと思います。

IPを持つ企業がプラットフォームを作る時代に


最後に、なぜコンテンツ企業がプラットフォームを作れるのか、そして日本からコンテンツ・プラットフォームが生まれるか?についてを。

先述したとおり、2020年代はスマホデバイスの時代が続き、ここに技術的にに大きな進化がないと仮定すると、プラットフォームで提供する機能やUI/UXでの差別化は難しいと思っています。

そうなってくると重要なのは、ユーザーが求めるコンテンツです。成功例は、K-POPのファンコミュニティ・プラットフォーム”Weverse”。

ファンコミュニティという観点だと、すでに、日本でもいくつかプラットフォームが存在しますが、基本的にはプラットフォームだけを提供する形です。アーティストや企業にコンテンツはお任せするスタイル。もしくは旧来型のクローズドなファンクラブ。

一方で、Weverseは、BTS擁する芸能事務所のHYBEが作ったK-POPファンコミュニティ。初期は自らのBTSを始める所属タレントの力で集客し、世界に向けてコンテンツを提供し、現在ではHYBE以外の芸能事務所のタレントも参加する一大プラットフォームになっています。これはコンテンツ企業がプラットフォームを作るという分かりやすい事例だと思います。

日本発でコンテンツ・プラットフォームを提供するのであれば、もちろんタレント、アーティスト、芸能もありつつ、世界的に人気が拡大しているという意味でも、マンガ・アニメ・キャラクターの領域の可能性は、まだまだあると思っています。

老舗コンテンツ企業(出版社、アニメ制作会社、歴史あるIPホルダー)が自らプラットフォームを作るのか? エンタメ・スタートアップと組んで作るのか?ユーザーベースを持つ企業や資本力がある大企業も座組みに参入するのか?様々な方法はあると思いますが、チャレンジをしていきたいですね。

ということで、今回は"日本から新しいコンテンツ・プラットフォームが生まれるのか?"というテーマで書いてみました。よろしければ、過去記事もお読みください!いいね(ハート)もいただけると嬉しいです

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