号令かかれど進まぬリスキリング キャリア自律の難路にどう向き合うか
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
街の喧騒を感じつつある昨今、いよいよ年末感が出てきました。コロナ禍を経て忘年会なども完全に戻った感があり、昨日は仕事納め前の最後の金曜日なのか繁華街で連れ立って歩く姿をたくさん見ました。
コロナ禍ではライフスタイルや仕事の仕方が大きく変わりました。今年は出社回帰など以前に戻っていく動きも見られましたが、リモート会議が一般的になるなど完全に戻ったというよりは新しいやり方・選択肢が増えたという結果に落ち着いたのではないでしょうか。
また、この流れの中で自身の働き方について再考する動きもありました。欧米では「大退職時代」や「静かな退職」という言葉が生まれ、最近では企業主体の「静かな解雇」というトピックが話題になっています。
日本においても転職希望者数は堅調な伸びを見せており、雇用の流動化と賃上げを果たすという岸田政府の政策もあり今後もトレンドは変わらないと予測しています。しかしながら、個々人のキャリア戦略はまだ途上であり、今後より一層個人としての「キャリア自律」をどう実現するのかが問われてくるでしょう。
「転職迷子」のことを、わたしは「転職もやもや層」と表現していました。どちらでもいいのですが、問題なのは中高年であっても一定数の方が「自分に合った仕事がわからない」と感じていることです。先のリクルートワークス研究所の調査では、35〜44歳で13.6%、45〜54歳では10.6%、55〜64歳でも8.7%にのぼると報告しています。
世の中では「社会を変えたい!」「これが私の天職!」などというキラキラストーリーが目立ちます。多くの方々もこのような記事を読み、羨望の眼差しを向けながらも「でも自分なんて、、、特にやりたいこともないんだよな」と自省することがあるかもしれません。
そうなってしまう一因は、とにかく正解のみを求める従来の日本の教育システムにあると思っています。これをどうするかは別の機会に論じるとして、重要なのは個人の意思決定に「正解」はないということです。キャリア戦略も同じで、人生の多くの時間を過ごす「働く」という時間。これをどうするかは自分の気持ちが一番大切であり、そこに収入などの考慮すべき変数が加味されます。えてしてこれらのパラメーターはトレードオフの関係になったりしますので(労働時間が長くなれば収入が増えるetc.)、これをどう選択するのかが戦略です。
一方で、就職をするときに決めた戦略が一生続くものでもありません。向こう40年の戦略を立てて実行するというのは、どんなに優秀な経営者でも不可能に近い話ですので、まずは向こう5年、10年くらいのスパンで考えてみることをおすすめします。私自身、次の10年なにをするかというのを数年前くらいからなんとなく考え始めて、ときが来たら実行するというのを繰り返しているだけです。ただ、なんとなくでも考えるというのが大事で、それによっていまの強みや弱みが把握でき、足りないものは勉強して補う気になります。これこそがいま盛んに言われているリスキリングです。
ぼんやりでもよいので進むべき道が見えないと、何を学べばいいのかもわかりません。年末年始で振り返るにはよい時期。ぜひ自身のキャリア戦略について考えてみる機会にしてはいかがでしょうか。
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タイトル画像提供:タカス / PIXTA(ピクスタ)
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