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「副業」は人材不足解消の妙手となり得るか?

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

ちょっと前まで若者文化の代表格とみなされていた「Z世代」も、気づけば30歳前後にさしかかってきました。物心ついたときからネットやスマホに親しんできた「デジタルネイティブ」とも言われるこの世代は、従来の日本の価値観よりもグローバル標準のものに近しいと言われています。

キャリアに対する考え方も移り変わっており、そもそも終身雇用には期待しておらず、会社に帰属するというよりも自律したキャリアを志向している方が多いようです。

「依存先が会社一つしかない状態はだめだと思った」。都内に住む山内あかりさん(26)は、平日はIT系の会社に勤め、退社後や土日には別の肩書で働く。デザイナーやヨガ講師、家庭教師など多くの収入源がある。

山内さんは2020年4月に社会人となった。新型コロナウイルス禍での入社に不安があり、すぐに副業を始めた。会社員以外での収入は月25万円ほどになる。個人や企業からSNSで依頼を受け付け、週末には地方に出向くこともある。「分散している安心感がある」という。

Z世代は一般的に1990年代半ばから2010年代前半に生まれた人々を指す。幼い頃からスマートフォンやインターネットに親しんで育った。日本では全人口の15%ほどを占める。「終身雇用に期待しておらず帰属意識が低い」(日本能率協会マネジメントセンター)とされる。

日経電子版

この世代は新卒入社が奇しくもコロナ禍と重なりました。サービス業を中心に業績の悪化に伴う人員整理などを目の当たりにし、より1つの会社に依存することのリスクを感じたでしょう。結果として、複数の収入源を模索する人も増え「分散しているほうが安心」という価値観を持つようになりました。

また、働き方改革により残業がかなり抑制されたことも関係しているでしょう。成長志向の旺盛でまだまだ体力もある若者にとって、定時後の数時間を自分のキャリアのために使いたいと思うことは自然です。経験を積むために副業を活用することもひとつの方法となります。

20代の8割は副業をしたいと考えており、副業を容認する企業も6割にのぼります。政府が23年にまとめた「三位一体の労働市場改革の指針」でも、成長産業への労働移動とリスキリング(学び直し)の強化を打ち出し、副業を勧めています。しかし、実際に副業をしている人は正社員の1割にも届きません。まだまだ伸びしろしかない分野です。

人は時間があっても学ばないというリサーチ結果を考察した上記の記事は、私のコラムでずっと読まれている人気記事のひとつです。学びの習慣と転職回数には相関があることもわかっており、学びのスイッチが入るきっかけには「チャレンジングな仕事に出会うこと」だそうです。

生成AIなどにより生産性が大きく向上していく近未来においては、特定のスキルを持つ人を複数の企業間で「シェア」することも考えられます。人材不足が叫ばれている現在において、副業推進は個人のスキルアップと企業の需要の両方を満たす妙案となり得るでしょう。


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タイトル画像提供:チキタカ(tiquitaca) / PIXTA(ピクスタ)


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