デジタルトランスフォーメーション関連の記事の読まれ方
note/COMEMO企画の『デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいますか?』について気になった点を今回は書いてみたいと思います。というのも、このお題の中で紹介されていた以下の記事を掲載当時に読んでいて、とても印象に残っていたからです。
まるで個人のメタボ健診のように、企業によるデジタルトランスフォーメーションの取り組み状況について6段階で自己申告してもらう、という仕組みです。最初に読んだ時には実際にどのように活用されるのかとても気になったことをよく覚えています(以下上記記事より引用)
経済産業省は7月、企業がどれだけ積極的にDXに取り組んでいるかを評価する「推進指標」を公表した。35の問いについて0(まったく実績がない)から5(グローバル企業並み)の6段階で、企業に自己申告してもらう。
レベル0:未着手(経営者が無関心)
レベル1:一部での散発的実施(部門単位での試行・実施)
レベル2:一部での戦略的実施(全社戦略に基づく一部部門での実施)
レベル3:全社戦略に基づく部門横断的推進
レベル4:全社戦略に基づく持続的実施
レベル5:グローバル市場におけるデジタル企業
そもそもデジタルトランスフォーメーション(DX)が今何故話題になっているかを振り返ってみると、2018年に経済産業省が取りまとめたいわゆる「DXレポート」があることを今回知りました。以下の記事には相当な危機感を持って推進しなければいけない、という政府としての想いが込められていることが感じられます。経済産業省のHPには特設サイトも用意されています。
現在のレガシーシステムの課題を解消できなければ、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)が実現できないだけでなく、2025年以降、年間最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある。これを「2025年の崖」と呼ぶ。
デジタルメディアやITのトレンドに興味を持っているものの、大きな企業に所属している訳ではない立場として振り返った際、DXというキーワードはそこまで頻繁に目にするキーワードではない、という印象を今まで持ってました。
そこで改めてこのデジタルトランスフォーメーションという言葉がどのようにSNS上で話題になっているかをBuzzSumoという解析ツールで見てみました。過去5年間を対象に調べてみると、2017年〜2018年頃から次第に言及数が増えている事が分かります。
Googleトレンドで検索してみても同様の傾向があることが伺えます。東京(千代田区、港区、新宿区)、横浜市、大阪市で話題になることが多いようです。
また、媒体別で見ると以下のようなサイトに掲載された記事がSNS上で話題になっていることが分かります(過去5年間:BuzzSumo調べ)。トランスコスモスが25%以上の割合を占め、NEC、マイクロソフトなどのITベンダー企業、その他経産省、PRTimes、ZDnet, IoTニュース、マイナビなどのBtoB系のテックニュースサイトのドメインが目立ちます。どうしても政府、大企業、大手ITベンダー企業の中で話題にされているのではないか、という印象を持ってしまいます。
*フェイスブックやツイッター上で数多くシェアされたり、いいねがされた記事を対象としたデータであり、実際に数多く検索されたり、サイトへのトラフィック数が多い記事という訳ではありません。あくまで参照データとしてご覧ください。
関連する記事をいろいろと眺めてみても、「デジタルトランスフォーメーションとは?」、或いはその「本質とは」、というような定義の話、「CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)という役職を設けるべき」、という「べき論」の話が多いような印象が強く、企業内でDX担当や新規事業担当になった方、そしてITのベンダーの方との間で話題になっているような気がどうしてもしてしまいます。
そんな中、個人的にとても共感し、可能性を感じているのが、社員280人のほぼ全員が使いこなせるまでに5年間かけてエクセルの研修を施し、業績も絶好調のワークマンの事例です。
「BIツール(分析ソフト)へのアクセス頻度が多い従業員はデータに基づいて自信をもって提案している一方、頻度が少ない従業員は店長との信頼関係に基づいて提案している」、と株式会社ワークマン 常務取締役 土屋哲雄氏は以下の記事で述べています。また、「データ経営を5年近くやってきた結果、「増収増益が続き、上位下達型の企業文化から脱して若手がデータを基に議論できるようになった」とも語っています。社長から現場レベルまで社員全員でデータを元に議論や共に学び合う環境が生まれ、成果をともに実感出来るしくみ、というのは本当に素晴らしい、と感じます。『ワークマンのエクセル戦略』みたいな本が出版されたら売れそうですね。
日本の経済を支える大企業が過去の遺産(レガシー)を乗り越えながらデジタル変容していくこと、それを国としてのロードマップを描き、導いていく取り組みの重要性は十分に理解します。その上で、大企業のIT担当者やITベンダー所属の方でなくとも、中小企業、個人、地方在住者でも取り組めるきっかけとしてのワークマンのような実践例、そして個人のデジタルスキル向上のための取り組みにも、もっとスポットライトがあたってもいいのではないか、と感じます。
Photo by Carlos Muza on Unsplash
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