働き方改革で重要なのは「辞め方改革」かもしれないという話
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
人材不足がいよいよ深刻化してきました。一億総活躍社会の提言から始まった働き方改革ですが、これは少子高齢化という構造的な問題に真正面から取り組んでいく覚悟を政策として推進したものでしょう。全ての人が包摂される社会が実現できれば、多様な個人の能力の発揮による労働参加率向上やイノベーションの創出が図られ、結果として経済成長が加速するということです。
労働参加率向上という点では、特に女性においてライフイベントの変化に伴う離職があり、その後再就職することが難しい、またはフルタイムを希望しているが制度が追いついていないなどの課題がクローズアップされてきました。近年では制度面でかなり進捗が見られましたし、社会の意識も特に若い世代を中心に変化してきたと思います。
この後に起こることは、人材流動性が高まっていくことです。岸田政権では「賃上げ」を大きなテーマに掲げています。人材不足というファンダメンタルズもこれを後押しします。よりやりがいがあって給与が良い会社からオファーがくれば、多くの人は転職を選択することでしょう。そこには「人材を惹きつける会社とそうでない会社」が生じることとなり、後者の会社は対策を真剣に検討せざるを得ません。このような循環を通して、より働きやすい会社が増えることとなり、全体が底上げされていくという好循環が生まれます。いよいよ、当初にあげたビジョンである一億総活躍社会が実現していくのです。
人材流動性が高まると、以前退職した人が戻ってくるということを頻繁に目にするようになります。このことについては、以前こんな記事を書きました。
現在ではネガティブイメージは薄まってきたようにも思いますが、大企業の役員クラスでは意識がアップデートされていないように感じます。人材不足が深刻化する中では、採用の難易度は高まる一方です。アルムナイネットワークの運営と、復帰を歓迎することは労使双方にとって大きなメリットがあります。鍵となるのは、いい辞め方。つまり、オフボーディングです。
今でも多くの課題が残されていますが、以前のメインテーマは出産・育児に伴って離職した女性の社会復帰でした。これからは、団塊の世代が後期高齢者となる「2025年問題」にまつわる介護が大きなテーマとなるでしょう。
介護に伴い実家に戻りながら働くといった話は、わたしの身近でもよく耳にするようになりました。リモートワークが可能になったことで以前より状況はよくなっています(現職に留まったまま可能等)。
しかしながら、育児と違って介護はより多くのメンタルキャパシティが必要なため、カウンセリングや相談窓口など心理的なサポートを充実させることも重要です。育児は最初が大変で、徐々に負担が減っていく傾向にあり、最終的には子供が自立して手が離れるわけです。子の成長を感じることは、希望でもあります。
一方で介護は全く反対の流れで、最初は見守り程度だったものが、どんどん負担が増えていく傾向にあります。最終的には看取りとなるわけで、ゴールに希望を見出すことが困難です。そして、子供であれば18歳なり明確なマイルストンが見いだせますが、介護にはそれがありません。先ほど「メンタルキャパシティ」といったのは、こういうことです。
様々な課題がありますが、全ての人が包摂される社会の実現するため、自分にできることをしっかりと進めていこうと思います。
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タイトル画像提供:Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)