「出戻り」人材にまつわるネガティブイメージは払拭されたのか?
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
今年に入っておかたいイメージのある金融業界やその他有力大手企業が相次いでアルムナイ(卒業生)ネットワークの構築について発表を行っています。かつては「出戻り」などもってのほか、一度会社を裏切った者などには二度と敷居をまたがせない!という勢いで検討すらしてなかった会社が多かったわけですから、大きな変化の波を感じます。2年前くらいに出戻りに関してこんな記事を書きました。
最近では経営者の認識も変わってきたのか、元社員の再雇用に力を入れ始めていますし、そのための人材パイプラインを保つために卒業生のコミュニティである「アルムナイネットワーク」を通じて積極的に交流をしているようです。
背景にあるのは深刻な人材不足です。特にデジタル人材の確保にはどの会社も頭を悩ませており、それが人件費や採用費といったコストに跳ね返ってきています。これらの人材は元々流動性が高く、新しい技術を実務で試せるであったり、大きい課題に向き合いたいという理由で積極的に転職をすることが多く、すでにジョブ型での働き方が定着している職種でもあります。
私が以前所属していたヤフーやLinkedInにもアルムナイネットワークがあり、定期的に勉強会やイベントなどが開催されています。また、インタビュー記事などで自社の社員とつなげる機会を持っているところも。アルムナイの良いところは、カルチャーフィットに対してあまり心配がないこと、社内の業務知識がすでにありオンボーディングも短期間で済むことなどでしょう。その上、社外で働いた経験で得た新たな知見をも持ち込んでくれる存在として重要な人材と見なされます。
しかしながら、デジタル人材の獲得競争はさらに加熱しており、既存の人材をまわすだけでは需要に応えられないという厳しい現実もあります。
そのため、新卒や中途採用でも未経験者や「非IT系」からも積極的にポテンシャル採用をし、研修を施して比較的短期間で即戦力へとリスキリングするような取り組みも見られます。奇しくも、政府の骨太の戦略においても労働移動とリスキリングの推進は語られているところですから、今後さらに動きは加速していくでしょう。
個人的には「出戻り」に関するネガティブイメージが完全になくなることは、ジョブ型雇用が日本で定着するかどうかの試金石だと捉えています。引き続きこのあたりの動きを追っていきたいと思います。
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タイトル画像提供:Graphs / PIXTA(ピクスタ)