リスキリングのゴールはなにか キャリアを転換する上で重視すべきはソフトスキル
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
本コラムでもずっとおいかけている働き方系のトピックとして「リスキリング」があります。背景としては、年功序列・終身雇用という日本型雇用から、いわゆるジョブ型雇用への移行に対応するために必要な行動だと広く認識されされはじめたということがあります。
では実際にリスキリングでなにをしているかというと、英語を学んだりプログラミング言語を学んだりといったハードスキルに偏重しているのが現状です。たしかにどちらも需要が旺盛で人材不足であることから、ちゃんとマスターしてそれを使う実務経験を積むことができれば強いスキルになるでしょう。
ちょっと厳しく聞こえるかもしれませんが、本来の意味でのリスキリングは新しいスキルを学ぶことではありません。マクロ視点でみれば「成長部門への労働移動」により経済成長を果たすということですし、ミクロ視点でみれば「得たスキルを発揮して、新部署ないしは転職をして働く」ことです。
昨年に世界経済フォーラムが発表した雇用の未来予測リポート(WEF - Future of Jobs Report 2023)では、今後5年間のうちに世界のすべての職の4分の1に大きな変化が起きると予測しています。このリポートでは今後重要性が増すスキルのランキングも掲載されています。
トップ10を見ると、AI&ビッグデータ(3位)やテクノロジー・リテラシーが7位に入っている以外は、分析的思考、クリエイティブ思考、リーダーシップと社会的インフルエンス、好奇心と生涯学習、エンパシー&傾聴など、考え方のフレームワークや行動特性(コンピテンシー)に関係するものが挙げられています。本レポートではいわゆる「AIが仕事を奪うリスク」にも言及しています。最も痛手を被るのは事務職員で、約2600万人の雇用削減が予想されると結論づけています。
こうしてみると、AI時代に生き残るためのスキルとしてはハードスキルというよりも「チームとして協働する力」ないしは「不確実な中でもチームを率いれる力」と言えます。このチームの中には人間だけでなく、機械(ロボットやAI)も含まれます。
以前書いたコラムでは、副業推進によるリスキリングを通じて「市場に通じるポータブルスキル」について触れています。
今年は米国やインドの大統領選もあり、戦争の行方も不透明な状況が続きます。生成AIを始めとするテクノロジーもすごい勢いで進化し続けています。我々にできることは、内省を通じて自身の伸ばすべき分野を見定めて、次の時代でどう生きるかを考えて行動することではないでしょうか。
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タイトル画像提供:Kostiantyn Postumitenko / PIXTA(ピクスタ)