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「自己紹介」も「社内会議」もアップデートしよう

お疲れ様です。uni'que若宮です。

COMEMOキーオピニオンリーダー仲間の横山崇もとい横石崇さんの自己紹介2.0を拝読しました。

「自己紹介」を切り口に、これからの「個の時代」にどのように自分の価値を見える化していくべきか、ということが大変わかりやすく、入門編的なライトな語り口で網羅的に書かれています。

よこや…横石さんが巻末でおっしゃっている通り、よこ‥石さんは「DJ」として色々なメソッドや考え方を繋いでいっている感じなので、知識としてはすでに知っていたことや考えとして共通することも多かったのですが、本書の大きな魅力は2点あると感じました。

「自己紹介」という具体的営為へのアウトプットがあることでいろいろなメソッドや考え方を実践的に体験できること。「ゴールデンサークル」や「マンダラート」、「キャリアのタグ®」のように知識として知っていても、実際に使ったことのある人はあまりないのではないでしょうか。本書はそれを使う良い機会です。読むのは短時間で読めるのですが、「読む」だけでなく、ドリルのようにペンと紙をもって実践してみるとよいでしょう。(僕もこの後じっくりやってみたいと思います)

もう一点は、②「自己紹介」という誰もが日常的に実践する身近なことをアップデートしようとしている点。思考することも大事ですが、やはりひとの人生を変えるのは日々の行動です。僕たちはいったい、生きている間に何回自己紹介するでしょうか?日常的な行為だからこそ、その角度が2°でも変われば、やがて大きなインパクトになるはずです。

「組織の時代」から「個の時代」に変わる今だからこそ、「自己紹介」という日常的実践から変えていく。


社内会議もアップデートしよう

横石さんの本を読んで、ずっと感じていたけど改めて書いておきたいなと思ったことがあります。それは「社内会議」もアップデートすべき、ということです。

仕事の中で会議をすることは沢山あると思います。しかし、働き方や価値の創出の仕方が変わってきているにもかかわらず、会議はまったく古いやり方でされているケースが多い。今されている「社内会議」は個を活かす会議になっておらず、むしろ個を殺す会議になってしまってはいないでしょうか。「自己紹介」をアップデートすれば人生が変わるように、「社内会議」をアップデートすれば仕事の質が大きく変化するのではないか。


企業で働く方とお話をすると「社内会議」が多くて日中がほとんど会議で終わってしまう、という声をいまだに沢山ききます。これは自分も大企業時代に経験したことですが、(特にマネージャーやリーダーになるにつれ)がんがん社内会議が入り、自分の時間が取れないという状態になってしまうのです。

個人的には、一日の時間の5割以上が社内会議で埋まっていたら会議の削減を試みるべきと思っています。もちろん社内会議をゼロにはできませんし、価値があることもありますが、基本的には「社内会議」は内向きの稼働であり、顧客や市場に価値を届けていない場合も多いのです。さらに「社内会議」のために「会議資料」を作る時間も取られます。そうして市場にとって価値を生み出さないままに一日が終わってしまう、そういう企業人は少なくないようです。


1)「回数」を見直そう

弊社uni'queは「全員複業」というルールを定めています。メンバーすべてが「複業」という状態で短時間にどうやってバリューを出すか、という実験をしているわけですが、こうした働き方で必然的に大幅にカットされていったのが「社内会議」です。自社で実験をしてみて思うのですが、大企業時代にやっていた社内会議には”出席してもあまりバリューが出ない時間"も沢山あったように思います。

メンバーが複業だと稼働時間がバラバラなので、決裁承認のために会議をしようとすると、スケジュールを合わせるだけで予定がだいぶ先になります。しかもそうやって全員が集まったとしても、実は結論がほとんど変わらないことが多いのです。だとしたらその会議を待つ分スピードが遅くなるだけで、その時間は無駄ではないか。

「VUCAの時代」と言われますが、いまニーズは細分化し複雑化しており、会議室で議論しても「正解」にたどり着けるわけではありません。だとすると「会議」で合意を得るよりも試してしまったほうが早いのです。なのでuni'queでは「バンドスタイル」というマネジメントの形態をとっています。

大企業で働くひとの中には「自分も会議は意味ないとおもっているが、組織で働く上ではコミュニケーションは大事だし仕方ない…」という方も多いでしょう。

会議が減らない原因は、一つはマネージャーが「管理」をしようとするからです。大企業で物事を進めようとした時、自分の直上や2つ上あたりの管理職に「聞いてない」と怒られることがあります。「管理職」は自分が知らないことを嫌うのです。そうするとすべて耳に入れておかなければならないので、やろうとすることの事前の・事前の・事前の・会議、のように無駄な会議が増えます。そして「〇〇さんに話すなら△△さんも入れておかないと…」というように玉突きで呼ばれる会議が増えていきます。

ですが「聞いてないぞ」と怒るようなマネージャーを呼んでよかった、と思うようなことはあまりありません。そもそも、アドバイスをもらいたい人なら最初から相談されるはずですし、「聞いてない」くらいで怒る人が「よし、応援するよ」と背中を押してくれることは滅多にありません。むしろ批評家然としてリスクをあげつらい、ブレーキがかかることになるでしょう。


2)「人数」を見直そう

そしてこの「聞いてない」族は、会議の回数をいたずらに増やすだけでなく、もう一つの弊害をもたらします。それは会議の「人数」が増えることです。

僕は会議には、目的によって上限人数があると考えています。

■会議体の種類と人数
相談 3人
ディスカッション 4〜6人(理想は4)
審議 6〜10人(理想は6)
情報共有 10〜20人 (理想は10)
周知 21〜

〇〇部と△△部で施策を検討する会議をするとします。そうすると「この人も呼んどかないと…」といってどんどん参加者が増えていきます。

僕が企業やチームにコアバリューセッションを頼まれる際には、4〜6人しか入れないというルールを定めていて、人数を絞れないならお断りをするのですが、それは経験からいって、どう頑張っても議論ができる人数に上限があるからです。これを超えると必ず会議中に意見を言わないまま終わる「フリーライダー」が出てきますし、一人あたりの発言時間が薄まり議論が尽くせないので、合議や多数決による曖昧な結論しかでなくなります。

「3人寄れば文殊の知恵」ということわざがありますが、30人寄れば知恵も10倍、ということはないのです。むしろ10分の1になると思ったほうがよいでしょう。

今もし、大人数で招集されている会議があるなら、強引にでもいくつかの分科会に分けてしまった方が効果的です。


3)「情報量」を見直そう

ディスカッションでなく、一方的周知の場合にはslackなどのチャットツールを使うことも有効です。チャットを使うことで単なる全体周知の会議はだいぶ減らせるでしょう。なんといってもチャットは非同期なので無意味に人の時間を占有しません。

ただ、こういう話をすると、「チャットだと読まない人がいるでしょう」というような懸念の声をいただきます。

実際、それはゼロではありません。

ですが、たとえ全体会議をしても寝ていて聞いていない人もいますし、(あるあるですが)会議中に内職している人も沢山います。これは本当に本末転倒なのですが、会議が多すぎて自分の仕事をする暇がなく、会議に出て内職して、結局会議を聞いていないのです。それで成り立っているのだから、つまり必要のない情報も多いということです。それならば自分のタイミングで確認できるチャットのほうがよほど確実です。


また、チャットツールにも陥りがちな罠があります。

それは何でもかんでもメンション(@)をつけてしまうことです。みんなに見てほしい、見てくれないと困る、というリスクを減らそうとするばかりに、やたら @channel や @here などのオールメンションをしてしまうのです。

結果として、何が起こるか?

それは本当に重要な情報の見落としです。頻繁な地震のアラートが結果として地震への注意を下げてしまうように、情報の量が増えすぎると価値がさがるのです。

人は(特に管理職は)情報が伝わらないことのリスクを気にしがちですが、そのリスクを避けようとして情報価値が低下してしまう、というパラドックスが起こります。伝わらなくて困るケースもあるとおもいますが、実は伝えなくていい情報もあるので、聞き逃しているようなものは割り切って削ってしまった方がよいのです。

全体周知の項目がやたら多かったり、定例会がぱつぱつになっているような時は思い切って情報を減らしてみましょう。あるいはオールのメンションを減らすように心がけてみましょう。「伝えなくてもいい」こともある、ということです。会議を行動変容のためのプレゼンテーションだと考えると、メッセージを絞ることはとても大事です。盛り込みすぎると聞き手の行動に影響を与えられません。


4)「触発」し合う

「個の時代」の会議では、個々の意見を調整し、平均化してしまう会議ではなく、「個」を引き出すような会議でなければいけません。会議の中ではそれぞれがそれぞれの意見を出し、お互いに触発しあいながら新しい見地に到達できるのが理想だと考えます。

ここで大事なことは「多数決をしない」ということです。多数決は個の意見を消してしまいます。会議においては、最終的に誰がどう決めるか(もちろん、その場にいる中の「エライ人」とは限りません)を決めておいて、意見を出し尽くし、その意見に触発されながら多数決ではなく結論を出すようにすべきだと考えます。

従来の会議に慣れていると、だれか個人が結論を出すことは「間違っていたらどうするのか」と不安に感じてしまうかもしれませんが、そもそも正解はないのです。仮説的結論はどれもが等価であるため、議論を尽くした後で一つの仮説にたどり着けたならそれで十分で、あとは実行をする、ということだと思います。


個の時代の「会」議

以上を踏まえると、個の時代の「会」議はなるべく「出会い」の場であるべきではないでしょうか。マンネリ化した共有の場ではなく、個のちがいを生かして生産的に新しい意見に出会うことができる場です。「出会い」は参加者みんなに作用し、会議の前には考えていなかったような、新しい方向に歩みださせてくれます。

逆にいえば、そういった出会いや気付きにつながらない会議は価値を増やしません。よく会議には「ゴール」の設定が必要、といいますが、思い通りの結論に達するために根回しや事前準備のために時間とコストを費やして、そこに到達したとしても、価値は増えてはいないのです。なのに、顧客や市場と対話したり、思考したりする時間をそのために消費してしまっているわけです。

もちろん、このように合意を得ていく会議は「おなじことが価値」であった「工場型」の「組織の時代」には有効でした。しかし「ちがうことが価値」となる「個の時代」においては、「社内会議」もアップデートされるべきではないでしょうか。


一日を振り返って社内会議の量を確かめてみて、半分が社内会議で埋まっていたら要注意です。

もしそうなっていたら、

・回数
・人数
・情報量

を今一度見直し、「出会い」の多い会議にすることを心がけてみる。承認や合意形成のための個を殺す「社内会議」から、個を活かす「社内会議」へ。

横石さんの「自己紹介2.0」のように、日々行う「社内会議」だからこそ、積み重ねるとそれはやがて大きな違いになるのではないでしょうか。

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