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Rina Sawayamaは「洋楽輸入」の成功例

竹田ダニエル

Rina Sawayamaが来日ツアーを果たし、そのパフォーマンスや発言が大きな話題になった。昨年のサマソニでのMCも歴史に残るものだったが、今回はさらにファンのみのセーフスペースでLGBTQの権利などについて発言、日本で暮らすクィアやマイノリティの人たちに大きな希望を与えた。

このようにリナ(そしてコナン・グレイなど)の来日イベントが然るべき層に届くことに成功しているのは、何の魔法でもなく、日本担当者がアーティストのことを本当に愛しているから。アーティストのことをよく知らず、旧来的なマーケティング方法でマスに取り上げてもらえればいい、って思っておるだけのレーベル担当者とは格が違う。Rina Sayamaが日本出身であること、クィアであること、メンタルヘルスやジェンダー・セクシュアリティ問題、人種差別などについてたくさんメディアで発信してきたが、それを日本国内でもブレずに続けられるのは、アーティスト本人の意思も重要だが、それに加えて日本のレーベル担当者の強い後押しがなければ不可能だ。

一方で、現在の日本の音楽業界においてはこの担当者のような人材は非常にレアケースで、そもそもバイリンガルで世界的なクィア文脈・社会情勢に精通していて、尚且つ仕事もできる人などはすぐ外資コンサルなどに吸収されてしまう。さらには環境として優秀な人を育てない、潰ししまう傾向も根強い。

映画の宣伝・配給も同じで、「売れる」ためにはゴシップや万人ウケする「ゆるふわネタ」が一般的なPRの中心材料になっている中、日本のメディアでアーティストの政治的・アイデンティティ的価値観を発信させ、そのアーティストにあったファン層を作ろうという誠意は、実際は悲しいほどに珍しい。

この担当者とは2年以上一緒に仕事していて、一時期毎日電話するくらい仲良い(この話をする許可ももらってる)。アーティストの「人としての魅力」を伝えることこそが強いファンベースの基盤であることを理解していて、アーティストの信頼を得ながら対話して、毎回プラン立てしているのもすごい。

かつてSNSがなかった時代では、英語圏ゴシップ誌の内容コピペでも大差なかったかもしれないが、今やアーティストが自ら社会的責任を持って発信をする時代。ゆるふわイケイケ洋楽時代とは異なり、アーティストの自主性が評価される。その強さを薄めて日本に売り込む風習に抗うのは、簡単ではない。

コナンくんをForbesでインタビューしたい!と思って、2週間くらいで実現できたの本当にラッキーだったな。チームの信頼があるということが、どれほどメディアにとってもレーベルにとっても、そしてアーティストにとっても大事か。 「Z世代の葛藤を代弁するポッププリンス、コナン・グレイの本音」


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竹田ダニエル

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