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AIを活用して2050年のマーケティング戦略を考えるトレーニングを開発してみた
以前に「ChatGPT時代に人に求められるのは妄想力ではないか?」とツイートをしました。
ChatGPTを活用するようになり、ヒトに求められるのは
— 黒澤 友貴 (@KurosawaTomoki) February 18, 2023
1. 妄想力
2. 妄想を形にする行動力
の2つになるのではと考え中。
妄想をビジネスの世界でどう扱うのか?どのようにプロジェクト化するのか?がまとまっていて面白かった本https://t.co/tBxo3jnrCR
AI関係のツールを触る中で、未来のマーケティング戦略を妄想するトレーニングができるのでは?と思いつき、流れをまとめてみました!
と名づけています。
STEP1
既存のマーケティング戦略をトレースする
STEP2
未来視点で分析視点を考え直す(ChatGPT活用)
STEP3
未来の戦略を小説にする(ChatGPT活用)※SFプロトタイピング参考
STEP4
未来のブランドの仕掛けやコンセプトをビジュアル化する(Midjourneyを活用)
STEP5
未来のマーケティング戦略に関する考察を自分なりにまとめる
1.既存のマーケティング戦略をトレースする
まずは、既存のマーケティング戦略を分析(トレース)します。
既存のマーケティング戦略整理は、マーケティングトレースのフォーマットを活用します。
■分析プロセス
⓪最初にテーマ企業(ブランド)を決め、その企業の理念/ビジョンを確認
①トレース企業にとっての市場/業界環境を洗い出す(PEST視点)
②トレース企業の競合を定義する(5Forcesの横軸視点)
※①と②のプロセスで、市場/業界構造を俯瞰的に掴みます
③ターゲットの具体像を描く(STPのT視点)
④ポジショニングマップを描く(STPのP視点)
⑤マーケティングミックスを洗い出し価値の届け方を理解(4P視点)
⑥トレース企業の成功要因を仮説出し
⑦自分がその企業のCMOだったら?を考えて仮説出し
未来を予測するために、まずは現状を整理します。
今月に、冷凍食品に関するマーケティングトレースをやったので、この後のサンプルは「2050年の冷凍食品に関するマーケティング戦略づくり」をテーマに書いていきます。
2. 2050年の視点に組み替える
ここから、未来に視点を転換していきます。
既存のマーケティング戦略を整理したら、次に2050年のマーケティング戦略を考えるプロンプトを使って、未来仮説を考えていきます。
下記のような質問をChatGPTに尋ねながら思考を発散させます。
未来思考になるためのプロンプト
■未来の外部環境
現状の分析を踏まえて、2050年にどんな外部環境になっているかのシナリオ仮説を教えてください。
現状の視点を組み合わせたり、他に起こり得る未来の事象を掛け合わせてシナリオを作成してください。
下記は現状のPEST分析です。
※現状のPEST分析を記載
冷凍食品業界の2050年の未来シナリオ仮説を、ChatGPTと整理したのはこちらです。
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■未来の競合環境
現状の分析を踏まえて、 2050年にどんな競合が登場しているかの仮説を教えてください。
現在の競合だけではなく、他に新規参入や代替品として出てくる可能性を考慮して競合環境をまとめてください。
下記は現状の競合他社です。
#業界競合
#価値競合
先ほどと同じく冷凍食品業界の競合環境の変化をChatGPTで整理すると下記の通りとなります。
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■未来の顧客ニーズ
現状の分析を踏まえて、2050年にどんな顧客ニーズの変化があるかの仮説を教えてください。
現在の顧客ニーズだけではなく、外部環境や競合環境の変化を考慮して、新たに生まれる顧客ニーズの変化仮説をまとめてください。
#現状の顧客ニーズ
こちらは2050年の冷凍食品を利用する顧客ニーズの変化です。
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未来のマーケティングミックスや、組織の変化なども必要に応じてプロンプトを作成していきます。
3. 未来の戦略を小説にする
未来のマーケティング戦略を考えたら、最後に小説形式でブランドストーリーをまとめてみます。
SFプロトタイピング・SF思考の考え方からヒントをもらっています。
SF(サイエンスフィクション)の豊かな想像力をビジネスに生かす動きが、米国を起点に広がっている。日本の有力企業も、SF作家との創作や議論を通じて社員のアイデアを引き出そうと取り組む。新たな製品や事業企画などにつなげる狙いだ。
SFプロトタイピングも、SF作家を巻き込んだり、数ヶ月のワークショップを行うとなると大変なので、簡易的なSFプロトタイプはChatGPTを活用して行うのが良いと考えています。
SFプロトタイプを作成します。
あなたはSF作家として振る舞って、2050年のブランドを取り巻く環境変化をワクワクする形式で小説にしてください。
#参考情報
[2. の2050年分析の内容を要約して記載]
冷凍食品業界の未来小説を書いてもらいました。
2050年、地球環境や動物福祉が大きな関心事となった新東京では、サステナブルな冷凍食品が人々の食生活を支えていた。この時代の冷凍食品は、遺伝子情報に基づいて栄養バランスが最適化され、健康志向や機能性が重視されるようになっていた。
タカシは、この時代のニーズに応えるべく、革新的な冷凍食品を開発し、自らのブランドを立ち上げた。彼のブランドは、地球環境に配慮し、個々の遺伝子情報に基づく栄養素を提供することを目指していた。そのブランドは、急速に人気を集め、世界中に広がっていった。
技術革新により、冷凍食品業界は競争力を高め、食品のトレーサビリティが向上していた。AIやロボティクスが製造や物流を効率化し、IoTやブロックチェーン技術によって、消費者は食品の供給過程を透明化できるようになっていた。
タカシは、次世代に技術と環境への想いを引き継ぐため、若いリーダーたちに指導し、彼らも独自のブランドを立ち上げるようになった。このような取り組みにより、新東京では、多様な国際料理の冷凍食品が市場に登場し、人々は世界中の美味しい料理を楽しむことができるようになっていた。
異文化交流が盛んになった新東京では、バーチャルリアリティや拡張現実を活用した食体験サービスが登場し、人々は新しい食の楽しみ方を見つけていた。さらに、遠隔地からのデリバリーやスマート家電連携による自動調理が一般化し、時間短縮が求められるようになっていた。
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この後も続きますが割愛
外部環境分析を論理的に行うだけではなく、小説にして未来を具体的にイメージすることができます。
これ、かなり画期的だと思っています。
4. Midjourneyを活用して未来のコンセプトをビジュアル化する
さらに、未来の打ち手を画像生成AIを活用して、イメージを膨らませていきます。
参考にしたのが、Brandon K. Hillさんのツイート。
未来のブランドコラボレーションの姿を可視化する…といったことも画像生成AIを活用すれば即できるのは楽しいですよね。
【AIによって生成された画像】AIに「ブリティッシュ・エアウェイズとバーバーリーをコラボさせてみて」とリクエストし生成された結果がこれ。もう、このレベルまで来ている。AIはブランディング系プロジェクトにも重要な役割を果たしそう。#生成系AI #AI pic.twitter.com/l3A3wnVgUx
— Brandon K. Hill | CEO of btrax 🇺🇸x🇯🇵/2 (@BrandonKHill) February 15, 2023
こちらは、実際にやってみたもの。
ジョエル・ロブションと日清食品の冷凍食品がコラボレーションをした時の商品パッケージデザイン
Product package design for the collaboration between Joel Robuchon and Nissin Foods Frozen Foods
出してもらった画像はこちら。改善の余地はありそうですが、未来の冷凍食品市場の広がりを妄想するのには十分です。
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ここまでの未来の妄想を膨らませて、2050年のマーケティング戦略に関する考察を自分なりに考えてみます。
既存のマーケティング戦略を踏まえながら、自由に未来を考えるのは、思考トレーニングとして有効だと感じると同時に、何より楽しいのでオススメです!
まとめ
AIを活用しながら未来(2050年)のマーケティング戦略を考えるトレーニングをしてみると、既存の延長にない発想転換をする機会になると自分自身が実感できました。
改めて、未来を考える思考をまとめるトレーニング手順をまとめます。
STEP1
既存のマーケティング戦略をトレースする
STEP2
未来視点で分析視点を考え直す(ChatGPT活用)
STEP3
未来の戦略を小説にする(ChatGPT活用)※SFプロトタイピング参考
STEP4
未来のブランドの仕掛けやコンセプトをビジュアル化する(Midjourneyを活用)
STEP5
未来のマーケティング戦略に関する考察を自分なりにまとめる
ぜひ、ChatGPTを活用して未来を考えるトレーニングとして、活用してみてください!
AIを活用することで、今までとは異なる視点・表現を手に入れることができているわけなので…
フル活用しながらマーケティング仕事も発想の転換をしていきたいですね!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!