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米ニュースサイトAxios(アクシオス) が提唱する『Smart Brevity(スマートな簡潔さ)』とは

CIA、BP、エデルマン社も採用している「More with Less」の文章術とは?

スクープとニュースレター配信のスタイルで定評のある米人気ニュースメディア、Axios(アクシオス)の創業者3人により書かれた書籍『Smart Brevity(スマートな簡潔さ)』が2022年9月20日に発売されました。

2016年1月に設立された後、たった6年半で大手老舗メディアのコックス・エンタープライジズ社に5.25億ドル(約760億円)で売却するに至った成功を支えたのが、同書のタイトルでもあるニュースを伝える独自のフォーマット、『Smart Brevity(スマートな簡潔さ)』です。

アクシオスは現在政治、経済、サイエンス、スポーツ、医療、国際情勢等の42もの無料ニュースレター、そしてフィンテック、気候テック、メディア関連の5つの有料ニュースレター(年間購読料599ドル)を配信しています。更に、24もの地方都市独自のニュースレターも配信する規模にまで成長し(数年以内に100都市への拡大予定)、ニュースレターによる情報伝達のフォーマットの活用が広く支持を得ているようです。

自社ニュースレター配信で培った方法を企業内コミュニケーションにも活用するためのソフトウェアの会社も存在し、2022年2月時点で200社ものクライアントが利用しているとのことですAxiosHQは別会社として先月の売却の対象外) 。書籍の中では米国インテリジェンス機関のCIA、PR会社大手のエデルマン、金融機関のJPモルガンチェイス、石油大手のBP等にも導入された事例が紹介されてます。

SNSやスマートフォンの広がりにより多くの人が情報過多を感じるようになり、コロナ禍を経て社内や取引先とのメール、チャットツール等のテキストを通じた効率的なコミュニケーションが求められるようになってます。

書籍『Smart Brevity(スマートな簡潔さ)』は英語で書かれた、英語文脈での指南書になります(約200ページ)。ただ、国境を超えても活用できそうな文章術のヒントが数多くシンプルにまとめられています。ジャーナリストのみならず、ビジネスパーソン、研究者、学生等、幅広い層の人にとっても参考になる情報が得られそうです。

背景:多くの人は文章をじっくり読まない

アクシオスを設立する背景にあった著者らの発見に改めて驚かされます。

  • 多くの人は見出しだけを読み、ほとんどの記事内容やメールやを読み飛ばしている。

  • 私たちはほとんどの記事を読まずにシェアしている。

  • 目の動きに関しての研究によると、私たちがコンテンツを読むのに費やす時間は平均して26秒。

  • ある研究によると、私たちの脳は今クリックしたものが気に入ったかどうかを17ミリ秒で判断している。

解決策:短い文章、箇条書き、絵文字🚨🤣、読者目線に立つこと

書籍の中では、徹底した読者目線に立つことを重視し、アクシオスが生み出した文章フォーマットのノウハウやコツが惜しみなく紹介されてます。

  • ひとつの記事の文章量を短くする。合計1,200字以上は長すぎる。1,000字以内が理想的。

  • タイトル、リード文は簡潔に、要点を分かりやすく(最大6ワード)

  • ポイントが分かりやすい見出しの活用

    • One Big Thing(どうしても伝えたい大事なこと)

    • Why it matters(なぜそれが重要か)

    • What’s next(今後の展開は)

    • By the numbers(データを見てみましょう)

    • Between the lines(行間に込められていること)

    • Go Deeper(更に詳しく知りたいかたはこちら)

  • 絵文字の活用(速報は🚨、自動車関連は🚗等、ただし使いすぎには注意)

Go Deeper(更に詳しく知りたいかたはこちら)

▶アクシオス共同創業者のジム・バンダハイ氏によるTEDxスピーチ。書籍のエッセンスは全てこちらの15分強の動画で述べられてます。

早速書籍についてのMSNBCの人気番組でのインタビュー動画が紹介されてます。その他にも ニューヨーカーウォール・ストリート・ジャーナル等でも書評が掲載されてます。

▶Axosの看板ニュースレターである「Axios AM」「Axios PM」を執筆する共同創業者のマイク・アレン氏は、前職ポリティコ紙の看板ニュースレター「Politico's Playbook」時代含め過去15年間、毎日365日、1週間の休暇を除き毎日ニュースレターを書いているというツワモノジャーナリストです。以下は2010年のニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載されたプロフィール記事です。今日のSmart Brevityの成功の原点とも言えるアレン氏の偉業、ややミステリアスなワークスタイルが詳しく紹介されてます。個人的には何度も読んだ記事ですがぜひご紹介したい1本です🙂。

以上、「スマートな簡潔さ」を意識して書いたつもりが文字数は1,993字でした。簡潔に書くのは難しいですが今後も意識しておきたいヒントを学ぶことができました🙂👍


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市川裕康 (メディアコンサルタント)
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