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リモートワークで成果を出す鍵は、明文化と透明性

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

※ 本記事は日経新聞連動テーマ企画「#リモートワークで成果を出す組織とは」への寄稿です。

普段はコラムニスト的な肩書で記事を書いている私ですが、本業では米国企業の日本法人でカントリーマネージャーをしています。それまでは新卒からずっと日本企業でいわゆる大企業の中の人でした。スタートは証券系コンサルティング会社のフィールドエンジニアだったので、新卒研修などを通じてバキバキに日本方式がインストールされている身です。前職では300人ちょっとの統括部をみていました。IT企業なのでわりと柔軟な点もあるものの、マネージメントとしては日系大企業っぽい感じでした(今になって思えば、です。当時はあまり意識していませんでした)。

そして初の外資系への入社となった現職。一日目からワークスタイルの違いにびっくり!する毎日でした。

まず、上司が日本にいません。そして、日本語が通じません(笑)。さすがにこの2つは入社前からわかっていましたが、初めての経験なのでいざ出社すると戸惑いました。また、実は上司が2人いました。というのも、完全なジョブ型で、入社当時私は2つのロール(職務)を持っていました。すると、それぞれのラインに上司がつくことになります(メインとサブという形)。メインレポートは本社アメリカ、サブ(ドット)レポートはシンガポールという具合です。ですので、日々の報告や相談も2人にし、私の評価は上司2人が話し合って決めていました。

日々の働き方については、以前書いた記事がありますのでぜひご一読ください。

さて、かくして「オフィスに出社してリモートワークする」生活が始まりました。出社初日にした最初のことは、入社時研修を受けることでした。人事部はシンガポールにあるため、もちろんリモートです。TV会議をつなぎ、画面シェアされた資料をみながら質疑。終わったあとはすぐに資料が入っている共有ドライブのURLが送られてきました。細かいところは都度メールやチャットでフォローしてもらいました。実際に担当と対面であったのは、それから数カ月後のことでした。

その後、チームの中に入って仕事をしていきます。日常的にやりとりのあるメンバーは10名ほどでしたが、今度は誰がどこ勤務なのかがよくわかりません。それぞれと1on1をした結果、このチームはサンフランシスコ・ニューヨーク・シンガポール・シドニー・バンガロール・ダブリン・日本勤務の人が集まっていることがわかりました。なので、基本的に(時差の関係で)リアルタイムの会議をすることができません。それでも仕事は進み、着実に成果を出すことができました。

いま振り返ってみると、以下のようなことがポイントなのかなと思います。

・会社のビジョン、ミッション、カルチャー、バリューが明文化されており、その教育に並々ならぬ努力をしている。結果、日々の仕事の中でもカルチャー、バリューに照らし合わせて意思決定する癖がついている
・それぞれの役割が明確で、その内容をメンバー全員が理解している
・リモートワークを支える社内インフラが充実している(TV会議システム、メール、チャット、クラウドツール等々)
・あらゆる情報がクラウド上に載っている(組織、レポートラインからチームの紹介や関係する戦略、プロジェクトのドキュメントなど)
・社員同士が交流し仲良くなる仕組みがある(先の記事のカルチャーイベントなど)
・ミーティングで上司やチームメンバーとしっかり腹を割って話せる心理的安全性

特に明文化、透明性については重要です。人材の流動性が高いことも関係していると思いますが、基本的にいつでも引き継げるよう各人がドキュメントをタイムリーに残しています。これが社員であれば見られるクラウド上にあるので(もちろんモノにより適切なアクセス権限が設定されていますが)、途中からプロジェクトに入ってもこれまで何をしたか、いま何に取り組んでいるのかがひと目でわかります。

また、異なるバックグラウンドの人々の集合体なので、まず意見を出すことが尊重されると共に、なるべくわかりやすく端的に説明することが求められます。ミーティングの初めには「この会議は終了時にどうなったら成功なのか」を全員で確認してから始めます。あやふやな点をなくし言語化することで、全員が共通認識を持つ。そして、優先順位をつけ、大きな課題から順にやっつけていく。このやり方は非常に生産性が高いなと思います。

それを支えているのが、OKRと呼ばれる目標管理手法です。私も上司との1on1ではOKRをベースに進捗確認を定期的にしています。

逆に言うと、日々の細かいことの報告はほとんどしたことがありませんし、上司も聞いてはきません。スケジュールはクラウドに入っているので確認しようと思えばできますし、それより「投下時間に対してどんなインパクトを残せたのか」を問われます。それ以外は「ヘイ、メーン!最近どう?元気?ハッピー?」とか「いま一番なにが気になってる?」とか「何か手伝えることある?」という会話や雑談も多いです。マネージャーは部下が一番パフォーマンスが出せるよう最大限支援する、という考え方です。これはとても働きやすく、素直に良い会社だなぁと思います。

いわゆる日本式のホウレンソウが不要という話は、グーグルでも同じようですね。おそらく、シリコンバレー企業のスタンダードなのかもしれません。

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タイトル画像提供:SAMURAI / PIXTA(ピクスタ)

#COMEMO #NIKKEI  #リモートワークで成果を出す組織とは

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