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企業SNSの炎上、どう対策する?X上での顧客や批判コメントとの向き合い方を考える

今や企業広報には欠かせない存在の「SNS」。

特に、Xは自社の魅力をテキストと画像で伝えることに長けており、アカウントによる個性が出しやすいため、運用している企業は多いのではないでしょうか。

そんなXを運用する上で絶対に考えておきたいのが「炎上リスク」です。以前からXに炎上はつきものでしたが、特に近年は企業やビジネスパーソンの炎上がよく見かけるように感じます。

Xの運用担当者や企業経営者なら知っておきたい、Xにおける炎上との向き合い方や炎上を防止するための対策について考えてみました。

▼TikTokの炎上に関する記事も書いています!ぜひご覧ください

企業がXで炎上するケースが多発!

炎上にはさまざまな解釈がありますが、このnoteでは総務省が発表している下記の定義を参考にお話します。

「ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかなさそうな状態」「特定の話題に関する議論の盛り上がり方が尋常ではなく、多くのブログや掲示板などでバッシングが行われる」状態である

最近、企業アカウントの投稿に批判が集まり、炎上している様子をよく見かけます。

以前は迷惑行為をした一般人や、奇抜な発想でエンタメを発信するクリエイターが炎上するケースがほとんどでしたが、今は企業の公式アカウントや街中広告、プロモーションに対して批判の声が寄せられたり、議論が起こったりするケースが多発しているのです。

また企業においては、発信の内容だけなく、商品・サービスもしくは企業の方針そのものに対しても批判的な意見が寄せられています。

なかでも多いのは、商品を購入した顧客や店舗・企業オフィスのまわりに住む住人、従業員などが個人の体験をSNSに上げることで、企業に対して批判的な意見が集まるケースです。

以前からこういった投稿はありましたが、特に最近、カスタマーセンターに直接意見を言うのではなく、Xに投稿することで企業の対応を待つケースが増えているように感じます。

たしかに、わざわざメールをしたり電話をしたりするのではなくSNSへの書き込みをするほうが気楽ですし、「多くの人の目に触れることで対応が迅速になるかもしれない」と考えるのも理解できます。

つまり、企業側はより一層さまざまな面から炎上リスクに備える必要があるわけです。

「批判的な意見がくる=炎上」ではない?世界中全員に愛される企業であることは難しい

とはいえ、批判的な意見を過度に気にして発信を控えるのも適切だとは言えません。今は世の中のほとんどの人がSNSで情報を集める時代。発信を控えることは、顧客とのコミュニケーションの機会を逃すこととなってしまいます。

それに、多くの人に注目されている投稿に批判的な意見が寄せられる状況が、全て炎上となるとは限りません。

SNSには「バズ」という現象があり、一度投稿が拡散されると多くの人からさまざまな意見や感想が寄せられる特性があります。

投稿が多くの人の目に触れるということは、これまでアカウントに共感してくれているフォロワーだけでなく、これまで自分たちのことを全く知らなかった人や好感を持っていなかった人にも内容が届くということ。

人にはそれぞれの価値観があり「世界中全員が好感を抱く」ようなコンテンツを発信し続けることはほとんど不可能でしょう。つまり、Xでの発信にアンチコメントはつきものなのです。

批判的な意見が半数近くある場合はたしかに炎上と判断できますが、アカウントにファンがいる状態で2割程度のアンチコメントが来る状況は、むしろ多くの人に投稿が届いている証と捉えることができます。

ちなみに、Xは特に攻撃的な意見が集まりやすいプラットフォームだと考えています。匿名性が高いため日常では言いにくいことを書き出す場所として利用している人も多いですし、過激な発言をするほうが意見やリポストによって拡散される可能性が高いからです。

批判的な意見を過度に気にして発信を控えるよりも、炎上に対して正しいリテラシーを身につけて上手にSNSを活用する方法を考えていきましょう。

炎上は、企業の本質が問われる機会。炎上した後の対応の重要性

僕は炎上は「企業の本質が問われる」機会だと考えています。対応によっては余計に火に油を注ぐこととなる場合もありますし、状況が逆転してアカウントの好感度が上がることもあります。

そもそも企業の炎上には、いくつかのパターンがあります。

もちろん、企業が不誠実な対応をしたことに対して顧客が声を上げるなど、明らかに企業側の落ち度であるケースもあります。でも、自分たちの出した広告に対して最大限に表現に気を配っていたはずが、新しい価値観によって炎上してしまったり、企業のスタンスが体臭とは異なる価値観を持っているために炎上してしまうケースなど、「予期せぬ炎上」「仕方のない炎上」も存在するわけです。

つまり、状況や背景をきちんと説明すれば世間から理解を集められる可能性もありますし、その説明によって逆に好感を抱く人も増えるかもしれません。

例えば、炎上後の対応によって好感を集めたのが、チョコレートのお菓子「チロルチョコ」の事例です。とある購入者からチョコレートに虫が混入している旨が投稿されたところ、チロルチョコ公式Xはすぐに「昨年以前の商品」と予測し、購入後に混入した可能性を示しました。

その後、購入者は事実を誤認していたと投稿を削除し、企業側も経緯説明を行うこととなりました。異物混入問題に対して、初動として否定をするのではなく誤認である可能性を推察する投稿を行い、投稿主へのフォローも完璧だったとして賞賛の声が集められた形です。

このような対応は、常に炎上リスクやカスタマーサポートに対して向き合い、考えていなければできるものではありません。自分たちのアカウントにどのような意見やアンチコメントが寄せられるのか予測し、炎上への対策を考える必要性を改めて感じさせられる一件でした。

事例から学ぼう!炎上対策でやるべきこと

では、具体的には炎上に対してどのような対策をしておくべきなのでしょうか。

僕はXを運用するのであれば、この3つのことは最低限行うべきだと考えています。

投稿内容について気をつけるべきことを明文化する
  
情報を発信する前に、内容の正確性と信頼性を必ず確認する
  多様性(政治、宗教、ジェンダー等)への配慮...etc.
炎上した際の対応フローを明確にする
他アカウントの炎上に敏感になり、事例から学ぶ

特に、初動対応のスピードと適切さは、一連の事態の印象を決めるカギとなります。炎上してしまった際に慌てて対応し余計に事をややこしくしたり、対応が遅れて取り返しのつかない状況になったりしないためにも、事前にチームメンバーの認識を擦り合わせましょう。

そして重要なのが、炎上している事例を確認しておくこと。炎上する可能性を想像力で養うのには限界があります。そのため過去の事例から学ぶことが効果的です。

例えば広告の炎上について学ぶ際におすすめなのは、炎上チェッカーとして活動しているAD-LAMPの中村ホールデン梨華さんのような炎上の専門家の発信を追う方法です。

▼炎上事例を100本取り上げたサイト

▼事例をチェックするなら、下記の記事も参考にしてみてください

このような事例たちは、一連の流れを読み解くだけでかなり多角的な視点が手に入ります。ぜひ一度ご覧になってみてください!

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こうした炎上リスクもある一方、上手に使えば企業のことを一気に多くの方に知っていただける可能性の高いSNS。ぼくわたでも最近Xの運用をスタートしましたが、今の時代に使わない手はありません。

何も考えず自分本位な発信をするのではなく、こうしたリスクを理解した上で常識の範囲で発信を行い、批判的な意見が発生した場合には真摯に受け止め、落ち着いて対応を行えば、自然と炎上に対して適切な対応は行えるようになってくるのではないかと考えています。

ぼくわたでも引き続き、最大限に配慮した上で発信を続けていこうと思います!

他にも、このnoteではZ世代経営者の僕がZ世代の最新事情やZ世代のマーケティング会社「僕と私と株式会社」を経営するなかで感じたこと、ビジネスハックなどを発信しています。

「SNSがあることが当たり前の時代を生きるZ世代の価値観を知りたい!」
「Z世代に向けたマーケティングの手法を学びたい」

という方はぜひフォローしてもらえると嬉しいです。スキやコメントもぜひお願いします!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。他にもこんな記事を書いているので、ご覧いただけたら嬉しいです!

※このnoteは個人の見解です。

今瀧健登について

今瀧健登 / Imataki Kent
僕と私と株式会社 代表取締役 
日経COMEMO キーオピニオンリーダー
一般社団法人Z世代 代表

SNSネイティブ世代(Z世代)への企画・デジタルマーケティングを専門とするZ世代の企画屋。ハッピーな共感をフックに購買行動に繋げる「エモマーケティング」を提唱し、さまざまな企業・行政とタッグを組んでワンストップ・プロモーションを展開する。プロデュースしたアカウントやサービスは多くのZ世代の支持を集めている。「NewsPicks」や「日経クロストレンド」など、個人としても多数のメディアに出演。著書に『エモ消費』『Z世代マーケティング見るだけノート』など。(X(旧Twitter):@k_hanarida

日経COMEMOではZ目線でnoteを綴り、日経クロストレンドでは、「今瀧健登のZ世代マーケティング」を連載中。

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今瀧健登 / Z世代の企画屋
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