短尺配信アプリ「BUMP」が流行!タイパ重視のZ世代は、3分間のドラマに魅了される
「トイレに並ぶ1分間、電車移動中の3分間、友達を待つ5分間ー。」
そんな隙間時間でドラマの世界に没入し、気持ちが豊かになる「ショートドラマ」の配信アプリが、Z世代の間で流行っています。
スタートアップ企業のemoleが運営する、超短尺ドラマ配信アプリ「BUMP(バンプ)」。Z世代の女子を中心にユーザーを集めており、プロモーションをまったくしていないにも関わらず、2022年末のリリースから1年弱で累計55万ダウンロードを突破しています。
BUMPが配信する超短尺ドラマは、1話の時間が平均3分程度であることが特徴。
テンポ良く進む話をつなげた1つの作品が11〜15話で完結しますが、普段テレビやNetflixなどで配信される30分〜1時間ほどのドラマを視聴していると「物足りないのでは?」と思われる方もいるのではないでしょうか。
なぜ、Z世代は1話たった3分のドラマに夢中になるのか? その理由と、ショートドラマを活用したマーケティングの可能性について考えてみました。
“タイパ”重視のZ世代を惹きつける「ショート動画」
BUMPがここまで伸びた背景には、Z世代とショート動画の相性が良いことが関係しています。
Z世代は「時間対効果(タイムパフォーマンス)」を重視する世代だといわれています。便利な社会で暮らしてきたからこそ「時間がかかる」ことに対する免疫が弱く、効率化に対する意識が高いのです。
僕と私と株式会社が手掛けた、株式会社エイブルのZ世代に向けた会社紹介ムービーでは、それまで2.5時間にわたって行われていた会社説明会を15分間の動画にまとめました。
これは、Z世代学生に向けて行った会社選び・就活に関する意識調査にて、オンラインでの説明会を希望する声や説明会の尺は「1時間以内がベスト」だと答えた学生が多かったためです。
このようなタイパへの意識は、娯楽・エンターテインメントとの向き合い方にも現れています。
もっともわかりやすいのは、TikTokやInstagramのリール動画など、隙間時間に視聴できる短い尺の動画が好まれていることでしょう。
「いかに短時間で強い刺激を得られるかが最大の関心事。時間に対する心理的なハードルは以前とは比べものにならないほど上がっている」とemole代表取締役の澤村氏も話しているように、Z世代は短い時間で手軽に面白さを感じられることを求めているのです。
ほかにも、YouTubeや映画を倍速で視聴したり、先にネタバレを見ることで面白いかどうか分からないコンテンツに時間を割くことを避けたりするなどZ世代のタイパ意識はさまざまなところに現れています。
いつでもどこからでも再生でき、NetflixやAmazonPrimeと同じようなワクワク感をより短い時間で得られる「BUMP」が人気を集めるのは明白だと思います。
僕もショートドラマを見ることがありますが、1本あたりの長さが短く見進めやすいのがポイントだと感じています。20分を超えてくると「忙しいから」と更新を待って毎週見るのが難しくなりますが、ショートドラマの3分程度であれば隙間時間にパッと見ることができるのです。
また、もし10話程度のドラマを一気見をしたとしても、ショートドラマなら1時間以内で視聴することが可能です。今までであれば休日に丸1日テレビの前に座って見ていたものが、ちょっと長めの移動の間に見切ることができるのは嬉しいですよね。
▼BUMPについてより詳しく知りたい方は、こちらから
ショートドラマは、広告にも有効
ショートドラマは、TikTokなどの媒体でも流行しています。その特徴として挙げられるのが、劇団やインフルエンサーではなく、一般企業がプロモーション用にショートドラマを配信している点です。
リアルな演技と作り込まれた構成によるショートドラマはいま、新たなプロモーションの形としても注目されています。それはZ世代へのアプローチにおいて、ショートドラマは既存の広告施策に足りていない点を補う存在だからです。
Z世代はデジタルネイティブとして、幼いころから情報や見たいものが周囲に溢れている環境で育ってきたため、自分に必要な情報を取捨選択して選び取る力があります。そのため、たとえ同じCMを大量に流したとしても、瞬間的に「面白くない」「自分には関係ない」と思えばすぐに飛ばされてしまうのです。
また、Z世代は「多くの人に好かれようとしている」商品や広告に対して抵抗感があります。
そのため、従来のマーケティングではわかりやすくインパクトのある商品や広告をより多くの人に見てもらえるようにリリースすることが定石でしたが、Z世代向けにはインパクトには欠けたとしても見てくれた人の心に残り、最後まで見てもらえる広告が求められます。
つまり、既存の広告施策に足りていない点は「視聴する人を楽しませる姿勢」。そのためにはショートドラマなどの広告には見えない広告や、たとえ購買には繋がらなかったとしても「面白った」「気になる」と思わせるコンテンツが必要だと考えています。
プロモーションにも、コンテンツの質が重視される時代
ちなみに、最大級の短尺動画プラットフォームであるTikTokは、コンテンツが見られる仕組みに「フォロワー数」ではなく「コンテンツの質」が採用されています。
内容が良ければ動画が見られるため、質の良い広告を作ることが新たなアカウントの認知を拡大するうえでの近道となるのです。
これを踏まえて、僕と私と株式会社でもインフルエンサーを起用したショートドラマの制作やコンテンツの作り込みを重視したTikTok運用を行っています。
直近ではサントリーホールディングス株式会社の「BAR Pomum(バー・ポームム)」が発売中の「BAR Pomum〈キウイとラム〉」にちなんで、TikTokショートドラマ「6%の照れ隠し」を制作しました。
奈良岡にこさん、高崎凌さんなどの人気TikToker5名を起用し、「飲み会を抜け出して飲み直し」「幼馴染との恋の始まり」「大人の女子会」など、日常における“エモい宅飲み”シーンをお届けしています。
Z世代を惹きつけるショートドラマと、それらを利用したマーケティング・プロモーションにはまだまだ可能性があると感じています。
僕と私と株式会社としても引き続き、短尺動画を中心としたコンテンツ制作やTikTok運用などを行っておりますので、Z世代向け施策でお悩みのご担当者の方はぜひお気軽にご相談ください!
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このnoteでは、Z世代経営者の僕がZ世代の最新事情や日常で感じたことを発信しています。経営者やZ世代の皆さんの役に立てる情報をお話したいと考えていますので、ぜひスキやコメントお願いいたします!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。他にもこんな記事を書いているので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです!
※このnoteは個人の見解です。
今瀧健登について
1997年生まれ。SNSネイティブへのマーケティング・企画UXを専門とし、メンズも通えるネイルサロン『KANGOL NAIL』、食べられるお茶『咲茶』、お酒とすごらくを掛け合わせた『ウェイウェイらんど!』などを企画。
Z世代代表として多数のメディアに出演し、"サウナ採用"や地方へのワーケーション制度など、ユニークな働き方を提案するZ世代のコメンテーター。
日経COMEMOではZ目線でnoteを綴り、日経クロストレンドでは、「今瀧健登のZ世代マーケティング」を連載中。
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