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事件1か月、安倍元総理銃殺について山上容疑者の真の動機を検証する〜政治的背景と宗教2世〜
同情の余地のない計画的犯罪という事を忘れてはいけない
私は、山上徹也容疑者は犯罪者として正当な裁きを受け刑に服するべきと思っている。精神鑑定が予定されているが、事件の計画性、準備の周到さなどから責任能力は十分にある。市民生活を脅かす銃を製作して、政治的リーダーの人物を計画的に殺害したのだ。
安倍元総理は政治信条について、国民の支持が分かれていた。その死の原因となった旧・統一教会との関係、自分を慕ってくれる人物には甘く、敵と認定した人は能力に関わらず徹底して排除する政治姿勢等、様々な批判がある。
「政治家の人生は、その成し得た結果を歴史という法廷において裁かれることでのみ、評価される」。
私は、民主主義国家においてはどの様な批判も政治家は甘んじて受けるべきと思う。その死後も、その死の悲劇性に関わらず政治的結果については徹底して検証され批判されるべきだ。
そして、その事は故安倍元総理も望んでいる気がする。
「番組後、安倍氏から直接電話があった。その内容は「私は辞めないけれど、橋下さんはコメンテーターだから、意見としては言うべき。私は私の考えで辞めないけれど、そのことでお互いに考えを述べ合うことが政治を良くするからね」といったものだったという。」
但し、批判は言論によってだ。暴力は許されるものではない。
「僕の大阪での状況、メディアでの状況を見て『橋下さん、命狙われているでしょう?』と。『家族心配しているでしょう?』と」と指摘した。 「でもね、政治家って命を狙われるようになって、それが政治家なんですよ。大変だと思うが、頑張って下さい、私もそういう政治を日本のためにやっていきたい」
政治家は大変な仕事だ。選挙で選ばれなかったらただの失業者。そして時には命まで狙われる。
安倍元総理の政治信条全てに賛成でもないし、政治家として残したものには負の遺産も多くあると思う。
但し、安倍元総理が命がけで政治活動していたことは確かだと私は思う。直前の演説日程変更は、警備準備が整わないリスクを伴う事を、要人経験が長い総理が認識してなかったわけがない。
事件直後の衝撃と追悼の1ヶ月が経過し、報道は、旧・統一教会の実態と、その政権与党との関係に焦点が移っている。カルト教団に親が入信して家庭が崩壊してしまった子供は宗教2世、信仰2世と呼ばれるが、容疑者はその典型だ。
元総理銃殺の衝撃は早くも薄れてきており、容疑者の悲惨な境遇や旧•統一協会と自民党との関係、安倍元総理の弔い方を巡っての政治的議論に関心は移りつつある。
民主主義国家において、民主主義の象徴である元総理を銃で射殺する、決してあってはならない事だ。そこだけは忘れてはいけないと思う。
実行犯を決して英雄視すべきではない。
一人の殺害では異例の死刑も視野に入れて検察は動き出しているという。
それにも関わらず山上容疑者に対して高まる同情
それにもかかわらず、明らかにされつつある境遇と本人の供述から山上容疑者に同情する動きは止まらない。
山上容疑者は「不遇の秀才」だ。京大工学部卒の父と建設会社令嬢の母のもとに次男として生まれるが、母の実家が経営する建設会社へ就職した父はアルコール中毒とDVで暴れ、山上容疑者が4歳の時に自殺。長男と山上容疑者、長女の3人の子どもを連れて実家へ戻った母は、片親での子育てに加えて長男の小児がんが判明するなどの苦難もあったためか、旧統一教会への傾倒を深め、正常な判断力を失っていった。
「切長の目がいい」「塩顔イケメン」「二の腕の筋肉がいい」
「よく頑張った」「あんたは英雄だ」「ありがとう」「応援している」
起訴もまだなのに減刑を求める市民活動まで始まった。
「他の人を巻き込まない為に、爆弾をやめて銃にした本当は優しい人」という発言をみた時は驚いた。その人は、自分の大切な人や家族が、他人に白昼銃で惨殺されたとして犯人を許せるのだろうか。
違う、そうじゃない
犯人の動機は何だったのか?何故凶行に至ったのか、様々な報道が流れている。
ストーリー1 : 政治的背景
安倍元総理銃撃の動機について、当初反射的に語られたのが安倍元総理を批判するアベガーや、アベノセイダーズの罵詈雑言に感化されて山上容疑者が凶行に至ったとしたものだった。
「みんなが『死ね』と言っているんだから、安倍氏は悪い奴に決まっている」と山上容疑者が思い込んだ可能性を十分検討すべきだろう。
”反省すべきはネット上に無数にいたアベカー達だよな。そいつらに犯人は洗脳されてたようなもんだ”
左派は、その安倍氏銃殺による反安倍派への風当たりが本来の安倍批判を封じる新たな言論封殺になると非難の応酬をする。
だが、それらの両側のストーリーは、本人のものと見られるTwitterアカウントが発見されてもろくも崩れた。
山上徹也容疑者は、右派の主張のアベガーによる洗脳については安倍氏個人を全否定する言説について、安倍政権の功と安倍晋三という人間の政治的手法を分けて認識すべきと冷静に批判している。誹謗中傷によって全く洗脳などされていない。
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その一方で安倍氏の虚偽答弁等の政治手法が言論の低下と暴力による解決を招いたとするような左派の主張に対しても、安倍氏個人の政治手法を罵倒することしかできない学習能力のない永久野党と切り捨てている。
![](https://assets.st-note.com/img/1659430574647-qlH1gehc7h.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1659430527765-9YSUD6uavr.png?width=1200)
右でも、左でもなく極めて冷静に政治シーンを分析している。「あの子だったら、父親と同じように京大にも行けただろう」(弁護士の伯父)とされる頭脳の持ち主だ。
そもそも本人も「安倍元総理の政治信条に反対してのものではない」と犯行当日逮捕直後から明言している。
ストーリー2 : 宗教2世による復讐
事件直後は沈黙を守っていたマスコミも、選挙が終わると旧・統一教会とそのカルト的体質について連日報道するようになり、宗教2世の境遇の悲惨な実態にも光が当てられるようになった。
本人と思しきTwitterで読む限り、家族内の不幸がさらに母親の旧・統一教会入信によって加速している。複数の自殺と自殺未遂、エリート一家の家族3代に及ぶ壮絶な闇だ。
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2019年10月6日、山上容疑者は教団トップの韓鶴子(79)を、火炎瓶で殺害しようとしたが、部外者が会場に入場できず断念している。
但し、全ての宗教2世が暴力による宗教団体への復讐に向かうわけではない。
また宗教団体への復讐なら、暴力の対象が本来更に警備の壁が厚いはずの安倍元総理に向かったことが、やはり今ひとつ理解できない。
実は、兄もかつて包丁持って旧統一教会幹部を襲っていた。それに失敗した後、自殺している。
万一、韓鶴子総裁の殺害に成功しても、創始者の妻が殉教者の英雄になるだけで教団組織も教義も温存される。
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旧・統一教会の教義によると罪を負ったエバ国家である日本は、アダム国家の韓国に対して資金提供を行う義務があるという。実際、日本で行われているような献金は韓国では行われていない。エバ国家日本は、再び総裁殺害という究極の大罪を負ったとしてさらにその罪を償うべく、教団内で日本からの献金が強要されたことだろう。
聡明な山上容疑者は、兄の無駄死にと、自らの火炎瓶の失敗を通じて復讐について徹底的に考え抜いたのだろう。
それよりも、政権中枢で旧・統一教会とも関係の深い元総理を襲えば結果的に、旧・統一教会と自民党との関係にもマスコミの目も向く。警察や公安の教団監視の目も厳しくなるだろう。
実際に、山上容疑者は
「自分が安倍氏を襲えば、家庭連合に非難が集まると思った」
と取り調べに供述している。
そういう意味では、洗脳された左翼でもなく、狂信的な右翼でもなく、冷静に目的の達成を目指す知能犯と言える。そして、それはこれまでのところ達成されている。
それでも、憎しみの対象でない(むしろ政治実績を評価していた)国家的要人に極めて殺傷力の強い銃を向けて殺害する、その本当の動機としては解せないものがある。
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アメリカの警備であればその場で射殺されてもおかしくない。逮捕されれば重い刑罰を免れないことは理解した上での確実な犯行だ。
実際に殺害しなくても未遂だけでも逮捕されることで十分話題になり、取り調べの供述を通じて動機としての旧・統一教会と宗教2世としての自らについて語れば良い。
島根県の米本氏に当てた手紙にもあるように、精神的に追い詰められていたことは確かだ。
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それでも、宗教2世がカルト宗教団体への強い復讐心だけで、これだけの事件を引き起こしたということに私は完全には納得できない。
奥に更に、大きなストーリーがあるように私は感じる。
次回、それについて記したい。