気候変動対策・脱炭素関連のキャリアシフト支援の輪の広がり
気候変動・脱炭素に対する世界の関心が高まる中、気候変動対策に関わる仕事への就職支援の取り組みに欧米では注目が集まっているようです。
オンラインでの気候変動分野について学ぶ機会を提供する「Terra.do」、ポッドキャストによる学び、そして年間100ドルの有料会員同士が参加できるSlackコミュニティを提供している「MCJコレクティブ」(MCJはMy Climate Journeyの略)等がよく知られています。更にもう一つ、無料での登録が可能で、会員数約2万人にまで規模が拡がっているSlackを活用した支援コミュニティ「Work on Climate」といいう非営利組織もよく知られています。
今回は「Work on Climate」が設立から約3年間の活動をまとめた報告書のデータをご紹介しながら、気候変動・脱炭素分野へのキャリアシフトのトレンドについて触れてみたいと思います。
早速ですがレポートの概要として、以下のような項目がまとめられてます。
日本国内で暮らし、働いているとあまりピンと来ないかもしれませんが、米国、特にテックセクターにおいては昨年以降、空前の人員削減が続いていて、過去最速ペースとのことです。
以下は世界全体のテック業界のレイオフの状況がリアルタイムで更新されている「layoffs.fyi」によるグラフですが、2023年第1四半期のレイオフされた人数は、ITバブル崩壊後の2001年に通年でレイオフされた人数とほぼ同水準となってます。
リストラがこれだけの規模で行われることがない日本においては想像しにくいことかもしれませんが、世界的に気候変動対策を踏まえた新しい産業創出が行われている状況において、雇用の大移動の前兆なのではないかとも感じます。
気候変動対策という名の下にEV、電池、エネルギー、素材、代替肉、炭素除去、その他サステナビリティを推進するための金融サービス、マーケティング、コンサルティングビジネス等の成長も見込まれることと思います。
欧米の気候テック分野のデータプラットフォーム会社である「Net Zero Insights」がまとめたレポートによると、直近4半期の気候テック分野へのベンチャー投資額はテック業界全体の20%近くの規模を維持していることが伺えます(134億ドル[約1.8兆円]〜欧州は44億ドル[2022年第4四半期比58%減]、米国は90億ドル[2022年第4四半期比7%減])。
現在国内においてはChatGPTへの注目、そしてリスキリング、DXに対する政府支援の流れもあり、デジタル分野のスキルアップによるキャリア構築に注目が集まっているように感じます。
国際的な文脈で今後の雇用状況、新産業創出の動向を見据えた際、気候変動対策に取り組む気候テック、Climate Techと呼ばれるような分野でのキャリア構築、或いはそもそもの産業を生み出すための起業支援等への注目がもっと必要なのではないか、とも感じます。
国内でも少しずつ注目が集まりつつある「グリーン・リスキリング」、一方で欧米でいち早く起きている気候テックスタートアップへの就職・転職という機運。産業構造、雇用慣習が異なるとはいえ、「Work on Climate」が公表したレポートからどのような示唆やヒントが得られるか、今後もう少し掘り下げてみたいと思います。
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