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AI時代における人間の役割は「重みづけ」にあり ~データと文脈のバランス~

2024年もまもなく終わりますが、この1年を振り返ってみると「AI」との距離がさらに縮まった1年でした。AIの活用に関して、私も日経COMEMOの記事で以前書きましたが、少し前までは「こりゃすごい!」という存在だったのが、ビジネスの上でも「なくてはならない」という存在になっています。

私は経営者、マーケターとしてビジネスをドライブしていく上で、本当にパワフルな相談相手としてAIがなくてはならない存在になっていますが、AIの急速な発展に伴い、データ分析の分野においてもその力がますます注目されています。膨大なデータを迅速かつ正確に処理し、価値ある洞察を提供するAIは、ビジネス、医療、金融など多岐にわたる領域で革新的な変化をもたらしています。

しかし、AIが出す分析結果をそのまま鵜呑みにするだけでは、必ずしも最適な意思決定につながるとは限りません。そこで重要となるのが、人による結果の重みづけです。今回は、AIのデータ分析結果に対して人が重みづけを行うことの意義について、考察していきます。


1. AIによるデータ分析の現状と可能性

AI技術の進化とデータ分析への適用

AI技術は飛躍的な進化を遂げ、さらにコストが下がったことにより、膨大なデータセットから有用な情報を抽出し、ビジネスやマーケティング、顧客サービスなど多岐にわたる分野での活用が可能になってきました。例えば、ピーティックス (Peatix) のようなイベント・コミュニティプラットフォームでは、AIを活用して数百万件に及ぶイベント情報を分析し、ユーザーの興味や行動パターンを把握することで、よりパーソナライズされたイベントのレコメンドやマーケティング戦略の最適化が実現可能になってきています。

AIの強み

AIの強みの1つとして、大量のデータを迅速かつ正確に処理し、複雑なパターンやトレンドを見つけ出す能力があります。従来の手法では困難だったビッグデータの解析も、AIを用いることで効率的に行うことが可能となりました。例えば、AIを活用してユーザーの過去のイベント参加履歴や検索行動を分析し、今後参加しそうなイベントを予測し、ユーザーエンゲージメントの向上やリピーターの増加につなげていくことも期待されます。

ピーティックス (Peatix)におけるイベントトレンドの解析

ピーティックスでは、AIを活用してプラットフォーム上で開催される数百万件のイベントデータを分析し、現在のトレンドを把握しています。例えば、イベントページで使われているキーワードの傾向を分析することで、世の中のトレンドの変化を把握し、イベント主催者が活動をしていく上で役に立つデータや、参加者にとってもトレンドをもとに新たなイベントの機会を増やすことにつなげられます。

先日、ピーティックスの公式noteでも公開しましたが、2024年に公開されたイベント告知文の約25万件のデータから、2024年の社会トレンドを発表させていただきました。

この記事の中でも詳しく紹介していますが、例えば「AI」に関していうと、月ごとに注目度が上がってきていることが分かります。

ピーティックス 公式noteより

2. 人間による重みづけの必要性

AIの限界

AIはデータ処理とパターン認識に優れていますが、いくつかの重要な限界も存在します。まず、AIはコンテクストやニュアンスを完全に理解することが難しく、特定の地域や文化に特有のイベントの魅力や背景を考慮することが困難です。また、AIは倫理的判断を行う能力が限られているため、複雑な意思決定には人間の判断が不可欠です。

人間の強み

上述のピーティックスのイベントのトレンドデータの分析において、AIは25万件に及ぶイベントの告知文のデータを解析してくれるのですが、AIによる「キーワード」に解析結果だけで見ると、例えば「ライブ」「セミナー」などイベントのフォーマットに関するキーワードが上位に並びます。もちろんイベントのフォーマットも傾向としてみていくと見えてくるものもあるのですが、新しい潮流となる「ホットなキーワード」は埋もれてしまいます。

目的が「世の中のイベントの新しいトレンドを見つける」場合においては、その文脈(コンテクスト)をインプットする必要があるわけですが、この部分に関してはまだ人間の判断によるもののほうが出したい結果につながっています。

重みづけ

また、よりホットなイベントなのかを判断する際にも人間の判断が求められます。

例えば、イベント件数に関して
キーワードA : 11月 100イベント --> 12月 110件
キーワード B : 11月 1イベント --> 12月 21件
キーワードC : 11月 50イベント --> 12月 70件

というデータがある場合、どのキーワードがよりホットなのかを考える必要があります。キーワードAは実数という意味では一番多いですが、伸び率は他のキーワードより低くなっています。キーワードBは伸び率はかなり大きいですが、実数はまだそれほど大きくありません。キーワードCは実数値もまずまずあり、伸び率もある程度大きいと考えられます。

このように、実数で重みづけにするのか、伸び率を見るのか、実数の足切りはおこなうのかなどの「重みづけ」は、出したいデータによって人間が考える必要があるのです。

また、そのキーワードのライフサイクルの立ち位置によっても重みづけは変わります。そのキーワードがライフサイクルでいうところの「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」のどの位置なのかによっても、重みづけは変化していきます。

まとめ

2024年を通じて、AIはビジネスの現場でますます重要な役割を果たしました。特にデータ分析において、その高い処理能力と洞察力が多くの業界に革新をもたらしました。しかし、AIの結果を効果的に活用するためには、人間の視点による重みづけがまだ不可欠です。ピーティックスの事例が示すように、AIと人間の協働が新たな価値を生み出します。今後もこのバランスを意識しながら、AIと人間が共に動いていくことで、新しい価値提供が進んでいくでしょう。

2025年は「AIエージェント」の普及が広がるとも言われていますし、今後もしっかりとキャッチアップし、取り入れていきたいと思います。

2025年の進化も楽しみです!

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