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「自分の人生を世の中に決められたくない」…個人への寛容性が地方創生のカギ

小中学生の子供がいると遅くとも毎朝7時に起きます。(私、朝苦手なので七転八倒してますけど…)で、朝ごはん等が終わり子供が学校にでかける朝8時~、時計代わりのNHKにて連続テレビ小説が始まります。
普段ならここでテレビを消して仕事を開始します。(WAmazingは原則フルリモートワークの会社です)
…が、先日、ちょっとテレビがそのままついていたんですね。今やっている連続テレビ小説も見てはいないので、ざっくりしか知りませんがヒロインがパイロットを目指す話みたいですね。^^ 
先日、ヒロインの「自分の人生を世の中に決められたくない」というセリフが耳に飛び込んできました。これは、その直前に男性の同僚?友達?が「俺のせいじゃない。男は外で稼いで女は家庭を守るっていうのは世の中が決めたんだろ」的な台詞に呼応する形で発せられたものです。
この時間の視聴者は学生でも会社員でもなく家族を送り出した後の、やや年代高めの専業主婦世代が多いと思われます。たとえやりたいこと、なりたい自分があっても、叶えるために行動するのは「非常識」だった…そんな時代を一生懸命生きた方々でしょう。タイトルにした台詞は、その方々の溜飲を下げヒロインを応援し共感を得るのに効果的なのだろうな、と思いました。
前置きが長くなりました。今日のテーマは「地方の寛容性」です。

※読んでいただけたら、「スキ」でも「スキ」じゃなくても、「スキ」いただけると泣いて喜びます!(リアクション嬉しい)

地域の寛容性が地方創生のカギ

私の大好きな詩人、金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」という詩があります。
一言でいえば、この詩の「みんなちがってみんないい。」というような「多様な生き方・価値観に対する寛容性」があるかどうか?が地方創生に大きく関与しそうだという調査結果が、2021年発表されました。
▼[調査研究レポート] 地方創生のファクターX
https://www.homes.co.jp/souken/report/202108/

「 私と小鳥と鈴と 」
              金子みすゞ

   私が両手をひろげても、
   お空はちっとも飛べないが
   飛べる小鳥は私のやうに、
   地面を速くは走れない。
   私がからだをゆすっても、
   きれいな音は出ないけど、
   あの鳴る鈴は私のやうに
   たくさんな唄は知らないよ。
   鈴と、小鳥と、それから私、
   みんなちがって、みんないい。

地域の寛容性が低いとUターン率が低い

その調査は、ライフルホームズ総研が「地域の寛容性」について6つの観点から調べたものです。その調査結果が指し示すものは、一言でいえば「寛容性の高い地域ほど、Uターンする若者が多い。」逆にいえば「寛容性の低い地域ほど、若若者は地元に戻りたくないと思っている」という、地域からすれば、ショッキングな内容となりました。

東京に女性が集まる現象が続いている。女性の転入者数から転出者数を差し引いた「転入超過数」をみると、東京都は足元ではコロナ禍もあり減少しているものの、プラスが続く。一方、地方は21年は38道府県でマイナスと、「転出超過」となった。若い女性が進学や就職のために上京した後、地域に戻ってきていない。ライフルホームズ総研は21年9月、「地方創生のファクターX」というリポートを発表。「女性の生き方」や「個人主義」などの観点から都道府県ごとに「寛容性指標」を作成し、寛容性が低いほどUターン率が低くなりやすいと結論付けた。

日経新聞

寛容性指標のための観点は6つ「女性の生き方」~「少数派包摂」など

ライフルホームズ総研 [調査研究レポート] 地方創生のファクターXより

寛容性指標をはかる観点は「女性の生き方」「家族のあり方」「若者信頼」「少数派包摂」「個人主義」「変化の受容」の6つがある。それぞれの観点の中に「リベラル指標」と「保守的指標」がそれぞれ4つ示され、「リベラル指標」のスコアが地域は「寛容性が高い」としています。
そして、上記の緑色の折れ線「Uターン意向層」については、リベラルな考え方をする地域(つまり寛容性の高い地域)のほうが高く出ています。

「女性の生き方」をめぐる「リベラル」「保守」それぞれの考え方

例えば、女性の生き方について「リベラル」「保守」はそれぞれ以下のような指標です。
◎リベラル
・女性の頑張りを積極的に応援する社会の空気がある
・自分の意見や考えを堂々と主張する女性が多い
・古い考え方に縛られないで自由に生きている女性が多い
・政治や経済の場面で活躍している女性が多い
◎保守
・結婚して子どもを持つことこそ女性の幸福だと考える人が多い
・女性は家庭や子育てを最優先するべきだと考える人が多い
・この地域では女性向けの求人は補助的な仕事ばかりだ
・出世したり責任ある立場に就くことを望まない女性が多い

ライフルホームズ総研 [調査研究レポート] 地方創生のファクターXより

全体的に「女性の生き方」については、日本全国で「保守」が「リベラル」を上回る結果となっています。また特に女性の60代以上については保守の項目の1つ「この地域では女性向けの求人は補助的な仕事ばかりだ」が58.6%と突出しており、本noteの冒頭に紹介した、NHKの連続テレビ小説の視聴者層の不満が数値にも表れているのではないでしょうか。

47都道府県の「寛容性ランキング」、上位は都市部が並ぶ

寛容性総合指標のランキングで見てみましょう。
結論を簡単にいえば、「女性活躍推進!と言っているのは、都市部だけ。女は家にいて家事と子育てを最優先すべきという地域が日本では殆どである」という身も蓋もない事実が露呈しております。(;'∀')
寛容性が高いのは首都圏+東名阪+札仙広福(さっせんひろふく)みたいな組み合わせである。(基本は上記組み合わせなのだがトップ10から漏れた愛知県、宮城県などもある)

◎寛容性総合指標上位の都道府県(TOP10)
1位、東京
2位、神奈川県
3位、大阪府
4位、千葉県
5位、埼玉県
6位、兵庫県
7位、北海道
8位、福岡県
9位、沖縄県
10位、広島県

そして、ワースト10の都道府県も抜き出しておきましょう。
この共通項は何でしょうか?まぁ地方部というのはあるが、それ以上に私は「雪が降る地域」だと思っています。雪が降る地域というのは、米どころが多いのです。雨はすぐに川に流れ海にいってしまうけれど、雪は徐々に解けて地中に沁み込みミネラル分豊富な地下水や伏流水になることが多い。そういう「水が美味しい」地域というのは美味しいお米がとれます。日本人の主食というのは米であり、ちょっと前までは税金を稲で払っていたのだから(年貢米ですね)米どころというのは豊かな地域なのです。豊かだったからこそ、女性が外に出て働く必要がなかった、男衆に任せておけばよかった、ということでしょう。また、今のようなスマートIoT農業などない時代、農業は肉体労働だから男性優位の産業、かつ、美味しい米がとれれば美味しい日本酒ができて、冬は雪に閉ざされ、やることないので、誰かの家で酒を飲むということになります。それゆえ、ボーイズネットワークが強化され、より男性優位社会になるのではというのが私の仮説です。
※徳島県に雪が降るの?と思われるかもしれないが、降る!!天然雪のスキー場もあります!(井川スキー場)

◎寛容性総合指標下位の都道府県(ワースト10)
47位、島根県
46位、秋田県
45位、富山県
44位、山形県
43位、青森県
42位、福島県
41位、徳島県
40位、岩手県
39位、長野県
38位、新潟県

ライフルホームズ総研 [調査研究レポート] 地方創生のファクターXより

地方創生が必要だと言われて久しいにも関わらず、東京一極集中傾向にはあまり変化がないが、その背景は「私の地元には仕事がないから」だけではないのだ。
若者や女性たちの「私の生き方に対して、私の地元は理解がない!認めてくれない!とにかく自由がない!」という心の叫びが聞こえるようだ。

「消滅可能性自治体」で衝撃を呼んだ「増田レポート」の論拠は「若い女性の域外流出」

2014年5月、日本創成会議で「2040年までに全国の市町村の半数が消滅する可能性がある」という、通称「増田レポート」が発表され、大きな波紋を呼びました。(会議の座長が、岩手県知事を務めた経験のある増田氏だったため、この名前がつきました)
当時、消滅可能性都市として、政令指定都市の行政区を含む全国1800市区町村のうち、49.8%にあたる896自治体がリストアップされたからです。
本レポートの論拠についてですが、出産可能年齢の95%にあたる若年女性人口(20~39歳)を、人口の再生産力を中心的に担う層ととらえ、その若年女性人口が減少し続ける場合、人口の再生産力も低下し続け、総人口も減少する、というのが基本的な考え方です。
日本全体にとって少子高齢による人口減少は深刻な問題ではありますが(自然減)、地域にとっては、既に地域内に存在する若い女性たちが社会的な理由によって都市部に流出してしまう(社会減)ことこそ危機だと警鐘を鳴らしたのです。そしてこの「社会減傾向」は今も多くの自治体で続いています。ここに日本全体での「自然減の加速」がコロナ禍により加わりました。
2021年はコロナ禍で、過去最少の84万人の出生数を記録しましたが、なんと、まもなく終わる2022年はさらに減って80万人を割り込むということです。これからの地域は「恐ろしいスピードで進む自然減」×「従来からの社会減」のダブルパンチに立ち向かうことになります。

地域の未来はまだまだ明るい!可能性しかない!

ここまで暗いことばかり書きましたが、地方ほど個人の生き方に不寛容で、例えば好きな仕事をして生きていきたい女性たちが都市部に流出してしまっている…という今の状況を、逆に捉えれば、可能性しかないのです。
地方に魅力的な仕事を生み、個人の生き方に対する寛容性を地域が持つことさえできれば、「全人口の約半分」の可能性を花開かせることができるということです。
そもそも、私が日ごろから感嘆しているのは全人口の約半分の可能性を眠らせたままで、「世界第3位の経済大国」って本当にすごいな、と。そもそも、中国に抜かれるまでは、米国についで、世界第2位でしたよね。
未稼働エンジンが活用できれば、日本には明るい未来しかないんです。そんなコラムを以前書きました。(以下)

人口の約半分の社会参画を促進しなくても日本は世界の主要7カ国であり、米国や中国に次ぐ世界第3位の経済大国なのだ。人口は国力に大きく影響するが、日本は半分のエンジンで世界レースの先頭を走っている。フル稼働して日本をけん引しているエンジンは中高年の男性なので該当する皆さんは大いに自信と誇りを持っていただきたい。諸外国はエンジンを半分休眠しておく余裕はない。例えば、シンガポールの人口は兵庫県とほぼ同じ560万人程度。限られた人的資源を最大限に活用するための能力主義を推し進めてきた結果、女性の就業率は7割を超えている。

[日経産業新聞2021年4月14日付]

アフターコロナの時代に、半分の休眠エンジンを稼働させられたら日本の未来はかなり明るいと私は思っています。また、孤軍奮闘するエンジンである男性陣も少しは羽を休められるかもしれないな、と。
そして、もちろん、WAmazingは日本最大の外貨獲得産業になりうるインバウンド観光市場にて地域に魅力的な仕事を生み出していきたいと思っている。

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