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欧州の知性、ルトガー・ブレグマン氏に聞く「幸福な社会」前編

世界46カ国で翻訳されベストセラーとなった「Humankind 希望の歴史」の著者である歴史学者のルトガー・ブレグマンさんの来日に際して、90分間インタビューをする機会を頂きました。

私が最初にルトガーさんを知ったのは2019年のダボス会議の発言でした。

ダボス会議の参加者の大多数は富裕層に属する人たちですが、その欺瞞を暴きました。

  • ダボス会議では正義、公平性や透明性などの言葉が飛び交っている

  • しかし、誰も根幹の問題である税金逃れの話を議題にしていない

  • 富裕層が相応の税金を支払っていないという問題だ

  • 「世界が衰退しないように経済界は何をしたら良いのか?」への答えは、慈善ではなく税金について議論をすることだ

  • 他の議論は無意味である

この発言は世界中で話題となり、この動画は180万回以上閲覧されています。

インタビューでは、まずこの発言について深掘ってみました。

高税率の社会では、やる気が起きずイノベーションが生まれないのでは?

自分の本業は歴史学者です。歴史的な事実に基づいて話をします。

欧米諸国において、これまで最も資本主義が成功した時代は1950年代~70年代です。沢山のイノベーションが起き、成長率が高い状態が続きました。

そして、その当時の累進課税の最高税率は90%に到達する国もありました。富裕層が沢山の税金を支払いながらも社会ではイノベーションが起きていました。

高税率とイノベーションを同時に実現することが可能なことは、歴史が証明しています。

富裕層は政府の再分配能力を信じておらず、むしろ寄付などの手段で自分たちの方が上手く分配できると考えているのではないですか?

それはあまりにも傲慢な考えです。税金の支払いを逃れてプライベートジェットを購入することが社会の役に立っているとは到底思えません。

難しい話ではなく、単純な税金の分配先はあります。貧困者にとっても誰にとっても、質の良い教育や医療は必須です。そのためには税金が必要なのです。

ただし、税金をしっかり支払った上でお金持ちになることを否定するつもりもありません。富裕層が税金から逃れられないことが重要です。その上に成立する調整された資本主義を信じています。

ルトガー・ブレグマンさんは、地に足のついていない理想論ではなく、事実に基づき、現実的にどうすれば人類がより幸福になれるのかを考察されていました。

次回は、著書の「Humankind 希望の歴史」の内容に関するインタビューへと続きます。(後編はこちら)

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遠藤 直紀(ビービット 代表)
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