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これからやってくる孤独の時代と、つながりの本質を考える。

「ソーシャルディスタンス」をとり、できる限り「三密」を避けるように、仕事もプライベートもとにかく「STAY HOME」で。「新しい生活様式」では、人とのつながりを見直し、価値基準を変えなければならなくなりました。

このような社会状況の中、改めて問い直されているのが、そもそも「なぜ、私たちは人と一緒に働かなければならないのか?

私たちは「孤独」に向かっているのか?

コロナの影響で私たちの働き方は今、大きく変わろうとしています。在宅ワークが進みこれまでの「都心一局集中」は解消されていくのではないか、「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」への転換が進むのではないか、そのようなキーワードもよく耳にするようになりました。

「みんなで一緒に」が基盤となり構築されていたものが、バラバラに小さくなる方向に進み始めたような印象です。

先日、COMEMOに投稿されたこちら。

この投稿の中で小島さんは、すべての人にとって「孤独は、より身近になった」と言っています。

これまでの「みんなで一緒に」の社会の中では、「孤独」とはそこからはみ出した一部の人だけが味わっていたものでした。小島さんの投稿の中の言葉を借りれば、「主流」の流れに乗ってさえいれば、何事に対しても「自分らしく生きること」を強要されることはありませんでした。

「主流がない世界」にわたしたちはいる

小島さんと同じく、COMEMOのキーオピニオンリーダーとして投稿している篠田真貴子さんに先日、インタビューを行いました。(インタビュー記事は後日公開しますので、お楽しみにお待ちください。)

篠田さんは就職試験のとき、「一般職を受けるのか?総合職を受けるのか?それを選ぶ理由はなんなのか?」「結婚したら?子供ができたら?仕事はどうするつもりなのか?」など、自分のライフイベントと仕事をどう両立していくつもりか、「キャリアプラン」について詳しく聞かれたとおっしゃっていました。(※篠田さんが社会に出たのは「男女雇用機会均等法」が施行されて間もないタイミングだったそうです。)

しかしそれは女性であったためで、同世代の男性は、社会に出た瞬間にこれらのことを問われることはなかったと。早い段階から常に考え続けなければならない状況にあったことは、ある意味ラッキーだったとも言っていました。

今、「主流」が消失し、「で、あなたはどうするつもりなの?」とすべての人が問われているのではないでしょうか。その中で、これまでとは違う「新しい孤独」に、すべての人が向き合わなければならない状況になっているのではないでしょうか。

単に「みんなで集まること」は解決策にはならない

すべての人が孤独に向かうのであれば、孤独にならないように「みんなで一緒に」いればいいじゃないか、と考える人もいるかもしれませんが、話はそれほど簡単ではありません。

私たちが向き合わなければならない、これからやってくる「新しい孤独」は、物理的に群れることで解決できるものとは、おそらく質の違うものです。

以下の河原あずさんの投稿にヒントが隠されているように思います。

緊急事態宣言の解除以降、「共創スペース」はすぐに営業を再開。しかも、新しいスペースのオープンも増加し続けていると。加速するこのトレンドをどのように見るか。

河原さんが投稿の中で提案しているのは、「単にみんなで集まればいい」ということではなく、これからくる「新しい孤独」に対しては、これまでとは違う「新しいつながり方」を模索する必要があるということです。

歩み寄ってくる「新しい孤独」を察知している人たち

「共創スペース」に、現時点で集まっている人たちは、「新しい孤独」が歩み寄ってきていることを、ある意味いち早く察知して行動を起こしている人たちなのかもしれません。先を見据えている人たちは、「孤独」をすでに重要なキーワードと捉えているようです。

では、その人たちは「新しい孤独」に対して、何を感じ、どう対策しようとしているのでしょうか。

「Tokyo Work Design Week」のオーガナイザーを務める横石崇さんは、このような投稿をされています。

横石さんの「一緒懸命」という造語による説明が非常に面白いので、ここでは本文をそのまま引用します。

夏になっても収束の目処が立たないコロナとの共生時代。安全と経済の波を乗りこなしながら、これからどんな働き方が求められるのだろうか。何を大切にして働いていけばいいのだろうか。ぼくは「一緒懸命」の時代になると思っている。一所懸命でもなければ、一生懸命でもない。離れていようとも、他者と共に働くことが、最大の武器であり、最高の喜びになる時代だ。

そしてもう1つ、私たちがこれから「新しい孤独」と向き合いながらも、より豊かにより幸せに働くための手がかりも、記してくれています。

「Know-How(ノウハウ)」ではなく「Know-Who(ノウフー)」こそがリモートで働く組織においては超重要な生存戦略になる。

「みんなで一緒に」の社会では、右を見て左を見れば、自分がどのように立ち居振舞うべきかがある程度わかったものです。それを「一緒懸命」の時代には、まず右には誰にいてほしくて、左には誰にいてほしいなど、ひとり一人がゼロから考えなければなりません。

そして、リアルに隣にいてくれるような距離感の関係性を、オンライン時代にどうやって築いていけばいいのか、模索していかなければならないのです。

これからやってくるであろう「新しい孤独」の時代に、何を選択し何を大切にしていくのか。今日から考え始めても、早すぎることはないのではないでしょうか。


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