4.6億人の若者が熱狂するZEPETOに見る、日常化するメタバースの2つのポイント
お疲れさまです。メタバースクリエイターズ若宮です。
今日はメタバースクリエイターズでも注目している、グローバルで4.6憶人が使うソーシャルメタバース『ZEPETO』について書きます。
4.6億人(!)世界中のZ世代が住むZEPETO
『ZEPETO』というメタバースプラットフォームをご存知でしょうか?
若者に爆発的に人気になったカメラアプリ『Snow』のNAVERから生まれたアプリで、2018年にサービスを開始し、ユーザー数は右肩あがり、今やグローバルに4.6億ユーザーに成長しています。
メタバースクリエイターズでも3人のクリエイターがZEPETOでもクリエイターとしてデビューし、3週間でなんとフォロワーは約6万人に。人気クリエイターになっています。
ZEPETOは現時点ではVRに対応しておらず、スマートフォンやPCから入るメタバースです。「メタバース」というとイコールVRと思われがちですが、僕はメタバースにVRは必須ではないと考えています。
僕の定義では、メタバースとは、①現実空間とは異なる広さをもった空間に、②アバターなどによって主体的に存在することができ、③他者や世界に関与できるもの、と捉えています。なので、VRを使わずともその世界に入って関与し他者とコミュニケーションできるならメタバースですし、逆にVRを使っていても、一人で体験するアミューズメントのようなものはメタバースではないというのが、僕の考えです。
先日出た、メタバースの市場規模についてのレポートでも
2兆円を超えるとされる市場にはXR以外のメタバース拡大が見込まれています。
XRデバイスが当たり前になった時こそメタバースの真骨頂、ではあるかもしれませんが、デバイス普及率も加味すると非VRでのメタバース体験が利用としては一定先行すると考えるべきでしょう。たとえばVRChatもスマホ対応したり、RobloxがVR対応したり、メタバースのマルチデバイス化やクロスデバイス化も進んでいきます。VRChatにVRから入るとメタバース体験でスマホだとメタバースではない、というのはやっぱりおかしいのでVRは必須要件ではない、ということですよね。
物理身体に囚われない自分
ZEPETOはほとんどスマホからの利用ですが、ユーザーは物理世界とは違うアイデンティティを持ち、アバターで様々な活動や交流をしている点で、まさにメタバースです。「その世界にアイデンティティがあるか」というのはメタバースにおいて非常に重要なポイントだと思っています。
ZEPETOはアバターアイデンティティで遊ぶSNSと見ることもできます。アバターでのセルフィーを投稿したり動画を投稿したり、アバターでのライブ配信もあったりとInstagramやTikTokとアクティビティはとても似ています。(こうしたところが受け入れられてZEPETOではメタバースPFには珍しく女性ユーザーの方が多数なのかなと)
ただし、そこでは物理身体ではなくアバターがアイデンティティの主体です。InstagramやTikTokでは(フィルターでだいぶ実物とはかわっていることもありますが…)それでもやっぱり見た目がよい人が有利です。
YouTuberから派生したVTuberも今では非常に人気で、見た目に囚われず顔出しをせずに活躍できる可能性を開きましたが、ZEPETOでも、物理身体に関わらず自分がなりたい存在として活動・交流できます。(物理身体の見た目や制約からフリーになれる点でメタバースはルッキズムからの解放や多様性の観点からもメリットがあります)
ZEPETOでさまざまなアバターを見てみると、独自進化していてとても興味深いです。K-POPや韓流メイクの影響を受けて顔がとても小さく9等身くらいあったり、あるいはすごく幼い見た目だったり。「2Dアバター」といってアニメライクなアバターもつくることができます。
個人的には、メタバースは自分そっくりに物理的な身体をコピーしたアバターより、物理身体とはちがう新しい自分になれる、という点が面白いと考えているのですが、ZEPETOのアバターの多様な進化をみるとまさにそのことを感じます。
ZEPETOの特徴① やりこみ要素
物理世界の自分とはちがう存在になる、というところにZEPETOのメタバース的価値があるわけですが、ZEPETOがとりわけ力を入れているのがアバター機能です。
ZEPETOのアバターは、自由度が高くやり込み要素がすごくあります。(↓の動画をみるとその細かさに驚くはず)
以前こちらの記事でも書いたのですが、
メタバースにハマっていく段階では、ただ受け身に体験するだけでなく、自分自身のアイデンティティをもちアバターやワールドを「つくる」側へと入っていくことが重要です。
ZEPETOのアバター機能では、顔の輪郭や顎を調整できるレベルで、細かいチューニングが可能です。この機能によって9等身のプロポーションにもデフォルメにもできます。これがやりこみ要素になっていて、最初は基本的なパーツの組み合わせからスタートしても、どんどん深くカスタマイズをしていける。
先程の記事でも
と書きましたが、深く「やり込み」ができることがユーザーが没入していける要素となるわけです。
そういえばメタバース的なアプリとして少し前にBondeeが話題になりましたが、期待されたよりも一過性で終わってしまったようです。僕はこれも見た目おしゃれで気軽にはつかえても「やりこみ要素」が薄かったからだと思っています。どこまでも「自分」をつくっていけるような「沼」にはならず、やれることがすぐ尽きてしまうとそこは居場所にはならないのです。
日々自分磨きをするようにつくりあげ、アバターがどんどん「まさにこれが自分」と感じられるようになってくることがメタバースが居場所になるうえでも重要です。メタバースにおけるリアリティというのはそういう存在性のことで、物理身体の3Dスキャンをしたからリアルな自分、というものでもないと僕は思っています。
ZEPETOの特徴② 非同期型のFEED
もう一つ注目すべきは「FEED」機能。これはインスタグラムのストーリーズやTikTokに似ているのですが、ZEPETO内で日常的に投稿する場となっています。
さきほど述べたように「やり込み要素」のあるアバター機能でつくった「自分」の写真や動画を多くのユーザーが投稿しています。FEEDにはテンプレート(アバターが特定のポーズをとったり「踊ってみた」動画を簡単につくれる)が用意してあり、(自分でアイテムやワールドをつくることが出来ないユーザーでも)それを上手くコーディネートすることで自己表現し、気軽にポストすることができます。
FEEDにはInstagramやTikTokのように多くのいいね!やコメントがつき、日常的なコミュニケーションが生まれています。
そして他のメタバースに比べてZEPETOの利点は、FEEDがあることで非同期でもコミュニケーションが機能している点です。
多くのメタバースでは、リアルタイムで同時にログインしていないとコミュニケーションが取れない仕様になっています。しかし、ZEPETOのFEED機能はそれを解消していて、投稿されたフィードに対してアプリを開いていないときにでもリアクションがたまり、コミュニケーションが生まれます。
↓こんな感じに友達のユーザーと一緒にいるような動画を生成して、タグ付けすることもできます。
FEEDを介した非同期のコミュニケーションもあることでゆるいつながりがされていて、再び同期した時には同じワールドに招待して一緒に話せる、みたいな相補的な機能になっています。
また、FEED機能はユーザーに投稿するきっかけをつくることで「受け身ではなく」「日常的に」「参画する」ことを可能にしています。
他のメタバースでもこうしたフィード的な非同期コミュニケーションを取り入れるのはメリットがあると思います。たとえばVRChatなどでも、ワールドに足あとやコメントをつけることができたり、ワールド内で撮った写真(友達と一緒に取った写真にタグ付けもできる)を投稿するフィードなどがあればクリエイターのモチベーションになりリアクションを確認しに頻繁にログインしたり、それを起点にコミュニケーションが広がったりするはずです。
現状ではこうした機能がないため、Twitterなどの別のSNSに非同期のコミュニケーションが出てしまっているのですが非同期も活用することでさらにメタバースの中への滞在時間をあげることができるのではないでしょうか。
ZEPETOは以上述べたように、①やりこみ要素と②FEEDの機能があることで、Stickyに使われ「日常化」しているメタバースとしてさらに活用されていくでしょう。
企業のZEPETO活用も増えており、特にファッション業界ではZEPETOへのアイテム展開が盛んになってきています。
メタバースクリエイターズとしても、グローバルなクリエイターの活躍の場としてZEPETOには引き続き注目していきたいと思っています。
最後に宣伝です。メタバースに興味はあれどどう活用したらいいかよくわからない、という企業向けに、新規事業の相談や企業向けのメタバース研修やワークショップもクリエイターとともに実施しています。ZEPETOの人気クリエイターもおりますので、ZEPETOも含めて興味のある企業は↓からお問い合わせください