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GMOに学ぶ、リーダーの心得4選。次世代を担うリーダーの在り方とは。

皆さん、こんにちは。今回は「リーダーの心得」について書かせていただきます。

「ビジョンを描き、明確な目標を掲げる」
「メンバーの能力を引き出し、成果を最大化する」
「一人ひとりに自信を持たせて自主的・能動的な行動を促す」
「市場やチームの状況に合わせて、柔軟性を持って変化に適応する」
「リーダー自身がチームに良い影響を与えられる存在になる」
など、リーダーとして意識すべきことを挙げようとするときりがないくらい、大事な要素は多々存在します。

ビジネスシーンにおいて、チームや組織が目標を達成するためには、チームを率いるリーダーが必要不可欠ですが、リーダーにはどのような素質や資質、能力、行動パターンが求められるのでしょうか。また、優れたリーダーを目指すためには、どのような点を意識すべきなのでしょうか。

今回引用した記事をもとに、経営トップからこれからリーダーを目指したいという人まで多くの人にとって重要なポイントを、いくつか切り出して具体的に考えていきたいと思います。

電子商取引(EC)支援やドメイン、暗号資産(仮想通貨)などIT(情報技術)関連で110社超を傘下に持つGMOインターネットグループ。黎明(れいめい)期の1995年にインターネット事業に参入した熊谷正寿会長兼社長は、栄枯盛衰が激しいIT業界で「100年単位で世の中に役立つグループを目指している」。そのためにもリーダーは目立たず、経営戦略の基礎となる主義「イズム」を社員一人ひとりが共有できる組織が重要と語る。

■リーダーの心得①やる気のある人に任せる

記事の中には、人事を考える際、

「グループ会社のトップは立候補制で、『やる』と自分から手を挙げた人に任せるようにしています。グループ会社のトップ人事で『次は君だ』と言ったことがなく、『君をリーダーに任命したから指示に従え』ということもありません。こうした企業風土のあるGMOは、一般的な企業と全く異なると言えます」

とありました。本人のやる気や自主性を尊重して、周囲の9割が賛成すればグループ会社のトップとして経営を任せる、とのこと。

どんなに本人が自ら手を挙げるほどやる気に満ち溢れた熱量が高い人だからといって、経営者自らが指名するのではなく、「本人の意思と周囲の賛同でトップ人事を決める」というのは、口で言うほど簡単ではありません。むしろ、それが自然と実現できる企業風土が前提としてないと、「経営者が思い描いていた人ではなく、能力や人望がない人しか手を挙げない」とか「お互いに足を引っ張り合って社内がギスギスする」といった状況にもなりかねません。

特にトップ人事であればあるほど、株主などあらゆるステークホルダーに対しても納得のいく人選や決定プロセスが必須です。企業文化が全く異なる企業が同じような仕組みを導入しても、うまくいかないことは明白でしょう。

ただ、どの企業でもヒントになるポイントとしては、「権限移譲」の在り方ではないかと思います。権限移譲を適切に行っていく上では、単に「部下やチームメンバーに仕事を任せる」のではなく、「信頼関係を構築しながら組織全体の成長を促す」ことが欠かせません

  • 「権限」を渡すだけでなく「責任」もセットで渡す

  • 任せる以上、決定権自由度も渡す

  • 任せる人の能力や経験、意欲などを考慮し、それに見合ったレベル(高すぎず低すぎず)の仕事を与える

  • どのように目標やゴールを達成すべきか、本人に考えさせて成長の機会を提供する

  • 任せたポストや役割、ミッションに対しての責任感主体性を引き出す

  • 任せた人とそのチームの能力を信じ、期待して任せる

  • 失敗を許容し、失敗を通して学びや成長を促す

  • 定期的にフォローアップ進捗確認サポートフィードバックの機会を作る

というような、「本人のやる気や意欲を引き出した上での適材適所をする」こと、「リーダーが全て事細かに指示を出して決めるのではなく、権限も自由度も責任も渡す」こと、そしてやるからには「信じて任せきる」ことが重要ではないかと思います。

■リーダーの心得②リーダー自身がアンテナを張り、自分で使ってみる

「『その技術が将来どうなるのか』『3年後、5年後にどう進化するのか』を絶えず想像し、勝てる領域でのみビジネスをするようにしています。そのためには、リーダーである自分自身で新しいテクノロジーを体験してみることが大事です。約2年前に米オープンAIが対話型AI(人工知能)『Chat(チャット)GPT』を発表した際も、すぐに試してみました。30年前にインターネットと出合った時に受けたのと同じ衝撃が本能的に走ったのを覚えています」

とありましたが、よくある話としては、経営トップやリーダーが、何か新しい技術やプロダクトなどが誕生した時に、自分では調べたり使ったり体験することなく、周囲の詳しい人に調査や導入、新規立ち上げなどを丸投げしてしまうことがあります。

IT業界では特に新しいテクノロジーが次々と誕生していますが、このような変化を敏感に察知しまずはリーダーが自分で実際に体験・体感することその流れを捉えて自社で何をすべきかを判断することが何より重要です。
 
また、流行や世の中の関心事は次々と変化していく中で、その度に「確実に抑えておくべきもの」なのか、「一過性の高いもの(すぐに消えてしまうもの)」なのかを見極める必要もあります。この判断を誤ると、ビジネスにおいて致命的な遅れをとってしまうことにもなりかねず、常に新しいこと、自社の既存または新規のビジネスにプラスになることを、見極める姿勢や視点を持つことも重要です。
 
世の中のトレンドに対して常に変化に気づきやすい人や、ビジネスチャンスを察知できる人は、日常生活において変化を発見する敏感さを持ち合わせています。逆に、技術の進歩や市場のトレンドに敏感でないリーダーは、業界の革新や消費者の要望の変化などに適応するのがいずれ難しくなってしまうことを、常に頭に入れておく必要があるでしょう。
 

■リーダーの心得③リーダーの能力以上の成長を遂げるために、会社全体で価値基準を共有する

記事の中には、

  • 自分の能力以上に会社は大きくならない

  • 多くの人の能力が事業に向けられる仕組みを作ることが大事

  • その仕組みの根幹が「価値基盤」であり、それを皆で共有して昇華させられる組織を作る

とありました。圧倒的な企業成長を実現していかなければならないタイミングでは、経営トップやリーダー自身の限界を大幅に超えていかなければならず、そのためには様々な能力や経験値、専門的な視点などを結集させて、より高いレベルに押し上げていかなければなりません。

以前こちらにも書かせていただきましたが、会社の「パーパス」や「ミッション」、「バリュー」などが明文化されていると、

●企業は社会のために何をすればいいかが具体化する

●企業活動の軸となるものができると、組織に属する人たちの目線や足並みが揃い、同じ方向を向きやすくなる

●一人ひとりの行動と組織の目線が結びつけば、市場での高い評価につながる

というメリットが生まれます。ただ会社の存在意義や価値観を制定し、社員に対して共有していればいいわけではなく、それを“浸透”させる必要があり、さらに社員の“共感”を得る必要もあり、それを軸とした一人ひとりの“行動”を伴わせなければなりません。

リーダーが役割として「①会社全体のカルチャーや行動指針の根幹となる、“価値基準”を作り明文化すること」、そして「②それを組織に浸透させ、行動を伴わせること」を意識し、「③企業の持続的成長へとつなげるための基盤にして一貫性を持たせること」が重要なのです。
 

■リーダーの心得④企業が長続きするための仕組みを考える

事業承継、サクセッションは、どの企業にとっても重要なテーマの一つですが、「誰に任せるか」「誰を選ぶか」よりも、「企業が長く繁栄し続けるための“仕組み”を作る」ことが最も重要であると紹介されています。

「後継者は、重要なテーマの1つです。『この人に任せる』というよりは、企業が長続きするような『仕組み』を作ることを考えています。仕組みさえ完成すれば、あとは創業者として仕組みがうまく動いているかどうかを確認するだけだと思います。誰もが顔や名前を思い浮かべる著名な後継者がいなくても、組織が成り立つような仕組みを作りたいと思っています」

●企業が長続きするための基盤や仕組みを作る

●誰に任せるか、どのような経営チームを作るかを決める

●作った仕組みが適切に機能しているかモニタリングする

●うまく動いていなければその原因を取り除く
 
というようなループを構築することが経営トップの役割である、ということだと思います。

こちらの記事には、

帝国データバンクが東京都内の企業を対象に実施した後継者の不在率に関する調査によると、後継者が不在とした割合は51.1%だった。2023年の53.9%から2.8ポイント低下し、調査を始めた11年以降で最も低かった。

とあり、後継者不在率は年々低下し、改善傾向にあるそうです。ですが、都内ではなく全国で見てみると、

東京商工リサーチは9日、11月の全国倒産件数(負債額1000万円以上)が前年同月比4%増の841件だったと発表した。

とあり、その中で「後継者の不在」を要因とする倒産も少なくありません。
 
事業承継は「後継者候補がいない」「後継者育成が進まない」「経営資源・企業文化・経営理念の継承が難しい」など難易度の高さもあり、計画通り後継者育成を実現できている企業は決して多くはないはずです。

従来の親族内承継や従業員承継に加え、時代の変化や社会のニーズに合わせた多様な承継手法(第三者承継やプロ経営者活用、第二創業など)を取り入れていかないと、単なる世代交代をしただけで事業成長に繋がらずに終わってしまうか、事業存続すら危ぶまれてしまうこともあり、未来に繋がる事業承継の在り方を模索し続ける必要があると思います。

当社でも、既に報道されている通り、26年に社長交代を予定しています。創業社長からのサクセッションの場合は特にその交代の難易度は高く、私たちも社長が会長になるという判断があってからこれまで、試行錯誤を重ねてきました。創業者である現社長が、独断で後継者を決めても何ら問題はなく、文句を言う人も社内外においていないのかもしれませんが、候補者となるメンバーを人選した上で、選抜プロセスや個別のアセスメント結果を社外取締役も含めた現経営陣の間で数年かけて共有・可視化しながら、まさに上述してきたような企業が持続的に成長するための「仕組み」を整えてきたのです。

経営トップであるリーダーの一番の大仕事は、「自分自身がいなくても企業のビジョンや目標の実現に向けて、自律・自走できる会社にしていくこと」「そのための基盤や仕組みを作ること」なのかもしれません。

これまで、GMO熊谷社長の記事をベースにリーダーの心得として紹介させていただきました。他にも、

  • 窮地でも逃げずに向き合う

  • 何よりスピードを重視して、感度を高める

  • 常にアンテナを高く、マーケットが何を求めているかいち早く察知し、新しい提案をする組織を作る 

  • 決断こそリーダーに課された重要な役割

  • 数字にこだわり、数字に対する責任を持つ

  • 社員が自ら考え、判断して動ける体制を作る

など、リーダーを目指す人、リーダーになったばかりの人、リーダー経験が長くなってきた人、そして経営幹部まで含めて、リーダーとしての在り方を追求する上で参考になる要素が多々あります。

私たちそれぞれが追い求めるリーダー像は、時代背景やマーケットの競争環境、自社の置かれている課題、社員の価値観やニーズの変化に合わせて、その時々で変えていっていいと思います。
 
2024年がもうすぐ終わろうとしていますが、来年はどのような年にしたいか、どのようなリーダーでありたいかを、改めて自問自答する時間を取ろうと思います。


#日経COMEMO #NIKKEI

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