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#自宅フライト で実感した「偏愛力」の効能

コロナ禍まっさかりの2020年夏。

外出ができない辛さから「#自宅フライト」という謎の趣味にハマり、ここ日経COMEMOでも猛烈な熱意でマニュアルを執筆&公開。予想以上の反響を頂き、たくさんの方に機内食づくりを実際に楽しんでいただくことができました。

そんなことも忘れて過ごしていたある日、突然メールボックスにNHKから「自宅フライト取材のご相談」というメールが。

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!!??

なんと↑のマニュアル記事がきっかけとなり、NHKの報道番組「ニュースシブ5時」で「自宅フライト」を特集していただくという事案が発生。
"自宅で機内食"の火付け役」として紹介され、自宅フライトのコツを視聴者の皆様にがっつりレクチャーしました。なんだこの状況は。

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本業のアーティストとか関係なく、「機内食が異様に好きなヤバい人」として出演しました

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機内食界の3種の神器である、丸パン、冷凍インゲン、BIOヨーグルトを紹介

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「当然やりますよね?」というニュアンスで紹介した機内モードが予想外にウケていた

正直「感染症や地震で世の中大変なタイミングにこんなふざけた内容をNHKで流して良いのだろうか……?」と心配になりながら放送日を迎えていたのですが、スタジオでもSNSでも予想以上に好意的に受け入れられて安心しました。


それにしても、これはただの個人的な趣味(どころか自分のセラピー)としてはじめた活動であり、こんなに広まり、反響があるとは全く予想していませんでした。

感染症の影響で、今は人類全体が共通の苦しみを持っている時代だから、個人が始めたちょっとしたことでも世界中に広まるのだ……と当時は結論付けていましたが、それだけじゃないのかもと最近は気付き始めていて、
何かがめちゃくちゃ熱狂的に好きである」ことは、今の時代それ自体がものすごくバリューを持っているんだな、ということを感じています。

そう、謎のニッチなものを愛でてしまう「偏愛力」です。

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偏愛は突き抜けたものを生み出す

「偏愛力」で真っ先に思い出すのが、先日に多摩美メディア芸術コース卒業制作展のまとめ記事でもご紹介させて頂いた、ハッピーターンが好きすぎてハッピーターンの包装紙4000枚で作ってしまったドレス「幸服」。展示されてから早々に様々なメディアで話題になっていきました。

やはり、「おま……そんなにそれが好きなのかよ」と周囲がドン引きしながらツッコミ入れたくなるほどの熱量や偏愛から生まれたものは衆目を惹きつけるのだな、と改めて実感しています。

自分自身も、何か新しいものを作る時には「何かが猛烈に気になる、興味がある、好きである」というところからスタートすることが多いです。
ライターとして執筆する記事も、大人の都合ではなく「この事業や人がすごいから広めたい」という個人的な偏愛に近いモチベーションで書いた記事ほど爆発的に拡散しやすい印象があります。

↑「え、、、この事業やべぇ、伊勢市大好き」みたいな熱意でうっかり書いてしまった記事、めちゃくちゃ拡散されました

偏愛は嘘っぽくない

最近、買うはずのなかった3Dプリンターを思わずポチってしまったのですが、これもやはり人の「偏愛力」に触発されてしまったケースでした。

(自分のツイートを見て、友人も思わずポチってしまった模様)

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我々の指先が狂って決して安くはないガジェットを思わずポチってしまったのは、確実にこの記事から溢れ出る偏愛のせいです。

記事に終始溢れている楽しさや興奮、そして膨大な実験・試作の成果
広告収入目当ての宣伝記事やアフィリエイトブログとは真実味が全然違う。「特定の何かを猛烈に愛して、楽しんでいる」ことの放つ圧倒的な信頼性のようなものを感じてしまい、思わず購入してしまったと……

特に、フェイクニュースやステマ、アフィリエイト、誇大広告などで様々な「真偽のわからない情報」が飛び交っている昨今だからこそ、「何かが猛烈に好きである」ということは絶大な信頼性と真実味を放つのではないかと感じています。

偏愛は仲間を集めていく

偏愛が持つ面白い性質として、「偏愛はコミュニティを生み出す」という点があります。「私、これがすごく好きで好きで……」という偏愛はやはり人と共有したくなる。
何より対象はなんであれ何かを楽しんでいるところには熱量が集まるし、楽しそうな所に人は集まってくるからです。

こういった状況を説明するものとして、ムーブメントの起こるプロセスを解説した「裸の男とリーダーシップ」という動画を思い出しました。1人のバカによる偏愛や熱狂がコミュニティやムーブメントへと変貌していく様子がまざまざと描写されている、、、、

「リーダーはたった1人で立つ勇気が必要、そしてバカっぽくみえる」
「成功のカギは、リーダーは単純な事しかしない事だ。フォローされるよう、リーダーはわかりやすく!」
「最初のフォロアーは、単なる1人のバカをリーダーに変える」
「ムーブメントはみんなのものにしよう」

名言が溢れていますが、何より大事なこととして強調されているのは、
単なるバカを1人のリーダーに変えたのは最初のフォロアー」だということ。

「#自宅フライト」のムーブメントで言うと最初に実践してくださったのはこの方だと記憶しており、いきなりめちゃくちゃ高いクオリティで再現してくださって感動したのをよく覚えています(NHKの特集でも事例として紹介させていただきました)。

「自宅フライト」も「発狂したアホがはじめた気味の悪い趣味」として世間から蔑ろにされても全くおかしくなかったのですが、こういった方々がいらしたおかげでひとつの「ムーブメント」として天下のNHKさんにもご紹介いただけたので、本当に感謝しております。
ここ1年は感染症の影響で総じて出会いの少ない1年ではあったのですが、自宅フライトのおかげで、これまで出会うはずのなかった人とのオンラインでの繋がりが増えたのは、偏愛力の賜物であり醍醐味だなと。

ということで、「偏愛力」こと、この時代に偏愛の持つ力について解説してみました。
まったく何の役に立つのかわからないけれど、これが好きでしょうがない」ということは、合理性を重んじる資本主義社会だと「何の役に立つの?」とぞんざいに扱われて切り捨てられがちですが、実は金の卵である可能性も大(自分自身は特に自宅フライトで金銭的に得はしておりませんが……😂)。

特に今のような既存の産業が立ち行かなくなり、社会に真偽のあやふやな情報が流布し、人々が隔絶し孤独になっている時代、もしかしたら「偏愛力」こそがこの先の未来を照らすのかもしれない……と考えたりしました。

皆様も己の偏愛、大事にしていって下さい。


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