「The Agency」という体験
ロールプレイは、VRとは異なる没入感をもたらしてくれます。
高品質な即興演劇に巻き込まれる観客は、登場人物となり、物語を即興で進める重要な役割を担います。
人は、自分なりの世界を脳内に構築します。それは、言ってみれば、フィクションです。自分のまわりに存る事実を、そのまま受け止めるのではなく、解釈が施され、自分なりの文脈で意味付けされ、脚色された世界が、その人だけの「真実」となって頭の中に生まれ、それが自分を取り巻いていると信じます。
だからこそ、フィクションであるとわかっていても、小説や映画やマンガや演劇で、人は涙するのだと思うのです。
そして、自分が巻き込まれていく即興演劇の波に翻弄されている中で、湧き上がってくる感情を押しとどめることができないのだと思うのです。
虚構、架空、その世界に没入することによって、現実世界の状況が自分ごととして染み渡り浮き上がる体験。生身で体験する中で見えてくる世界。
以前書いたLARPにも通ずるものを感じました。そして、かつて「ゲーム」という映画があったことを思い出しました。
この「The Agency」という存在を知ること、そこに対して、何かを感じ、想い、考えること自体が、ひとつの体験になっていくのだと思いました。