年をとったり、起業した会社が軌道にのってきたり、サラリーマンの方であれば働いている会社内である程度の役職になってくると、守らないといけないものが増えてきたりもあり、ハングリースピリット、挑戦する気持ちがいつの間にか減退してくる。
自分の場合でいうと、起業して10年以上が経過し、経営しているメガネ店の店舗数も17店舗になり、社員数も増えてくると、日常生活においても、すごいですね、と承認される機会が多くなってくる。当然ながら社内においても創業経営者であるから常に気をつかわれる立場にいることになる。社外においても、初対面でも既に相手方が自分のことを知っているケースも増えてくる。疲れているときは、自己紹介するのも面倒になってくることさえある。
”常に白帯の気持ちで”、というタイトルで今日は文章を書いているが、それではいけないな、と日々痛感することが多い。
白帯というのは、柔道であり、空手でありのいわゆる初心者の意味であるが、要するに常に挑戦者の気持ち、初心を忘れてはいけない、ということになる。
日本国内において高単価のメガネ店としてそこそこの店舗数になってきたといえども、いざアジアに出たら、また白帯になる、つまり無茶苦茶しょぼいことになるということで、結局は、自分の意識をどこに置いているかですごくもしょぼくもなる、ということだ。
人の成長も企業の成長もこの繰り返しと言える。
スタンフォードMBAに27歳で入学した時もそうだったが、日本にいた時は、学業においても仕事においても、それなりに評価されていたけど、いざスタンフォードに入学したら、底辺近くにいる感覚を味わった。特に1年目はこれまでの自分が否定されてるような気分にもなり本当につらい日々だった。要は、どのレベルに身を置くのか、の話になってくる。
年をとればとるほど、より厳しい環境で再挑戦する、より高いレベルで再挑戦していくのが難しくなっていくのを感じる。
そういう守りに入る気持ちを少しでもなくすために、仕事以外でもとにかく挑戦するようにしているのだがそれがすごい良い。
数年前から競技として日本一を目指して極真空手をしている。タイトルの通り、白帯からスタートし、雑巾がけをさせられ、上級者に差をつけられ、そういうところからスタートした。修行の過程でさらに強くなるために肉体改造を行い、7キロほど減量したり、強い人にKOされて救急車で運ばれたり、楽な道ではないが、常に挑戦者でいるこの状態が事業にも好影響を与えている気がする。極真空手に関しては、今年のはじめには小さい大会でも優勝できるようになり、目標を決めて取り組めばこんなに進歩するのか、と自分ながらに感心するところもある。
極真空手でも少しずつ強くなってきてしまったこともあり、事業ほどではないが少し承認されるようになってきてしまったのと、だいぶ練習サイクルも効率化されてきたので、最近新しい趣味をはじめた。
ワインのブラインドテイスティングだ。まず今年ワインエキスパートの試験を受験中であり、この前はじめてブラインドテイスティングの試合にも出た。もちろん無残に予選落ちをした。最下位に近いパフォーマンスだったのでは、と予想する。このブラインドテイスティングだが、体を動かす極真空手とかぶらないのも良い。
こっちはこっちで簡単な問題を外すと恥をかいたりするんだが、そういう経験こそが無茶苦茶貴重と感じる。
常に白帯の気持ちを何もせずにもてたらそれはそれでいいんだけど、意図的に挑戦する環境に身をおくことは、仕事のモチベーションを保つ意味でも、常に気持ちを挑戦者として奮い立たせるためにも無茶苦茶いいので、年齢関係なく、新しいことにチャレンジしてみてほしいと思う。