幸せにつながる、お酒の飲み方

酒は百薬の長のはずでは?少量でもNGの最新事情 (日経Gooday 2019年11月21日)

この記事で述べられている結論は、「健康にとっては飲酒量はゼロが最も良い」という驚きのものです。

「酒は百薬の長」と、長年言われてきました。そして、少量の飲酒であれば、心疾患や脳梗塞などの病気の罹患率が下がるという事実は、研究結果に裏付けされたものでした。お酒好きの方々にとっての、なぜ飲まなければいけないのか説明でもあり、心の支えにもなってきました。

しかし、高血圧や脂質異常症、脳出血、乳がんなどの病気では、たとえ少量であっても、飲酒量が増えると着実に罹患リスクが上がることがわかってきました。

こういった、飲酒が悪影響しか生まない病気も数多くあることが分かっており、最近では本当に少量の飲酒が総合的に死亡リスクを高めないのかが、論点になっていました。

最新の研究結果では、「たとえ少量であっても、飲酒は死亡リスクを高める」という報告がなされています。

そして、飲酒量が増えれば増えるほど、2次関数的にリスクが高まることもわかっています。

この飲めば飲むほど病気になるという観点を反対に捉えると、ごく少量であれば大きなリスクにはならないとも言えます。

安全な飲酒量は、一週間にアルコール換算量100g以内、1日では10g程度以内になります。つまり一週間で飲める量は、「ビールであれば中びんで5本、ワインであればグラスで8杯」が限界になります。

厚労省の健康日本21の指針である1日当たりアルコール換算量20gの半分程度しか飲めないという厳しい指針にはなりますが、事実は事実として受けとめるしかありません。

そもそも酩酊すると、自分にとっても、周囲の人にとっても辛いことしかありません。飲み過ぎないことが基本的な飲み方の指針になります。

では、健康だけを考えて、本当に禁酒すべきかというと、単純にそうとも言い切れません。

アルコールは社会に不可欠? (COMEMO 2018年10月21日)

マウスでの実験ではありますが、飲酒は共感性を高めることが、研究からわかっています。人間でも、個人的な経験からみると、飲み過ぎない限りは、同じことが言えそうです。

同僚と苦労や悲しみ、そして成功の喜びを分かち合う際に、お酒は仲間意識を醸成する一助になってくれる側面があります。

長い人生、健康でなければ、幸福は得づらいです。しかし、健康でさえあれば人生が満たされるわけでもありません。健全な精神と肉体を維持しながら、他者と良い関係性を築いていければ、人生は豊かになっていきます。

お酒に飲まれるのでなく、自身で適切な量に対する節度を持って、社会性を高めるためにお酒を活用していく飲み方を心がけましょう。

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遠藤 直紀(ビービット 代表)
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