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アメリカでtiktok難民が中国SNSのRED(小红书)に大量流入で大丈夫?RED原住民の中国ネット民の意見

この件は、日本でもたくさん報道されているようでご存知の方がほとんどかと思いますが、RED(小红书)を使っている人は多いでしょうか?

アメリカでtiktokがバンされることが秒読みという状況ですが、アメリカ国内でも1.8億人くらいの莫大なユーザー数を誇るtiktok。そんなtiktokユーザーのアメリカ人皆さんが困った末の行く先がまさかの中国のInstagramことRED(小红书)。

これがどうやら本当なのですが、なぜそうなっているのかのストーリーが興味深いのです。

REDでは「#tiktokrefugee(TikTok難民)」のタグがついた投稿がバク増。タグがついた投稿の総閲覧数は8億回を超えたとのこと。一般的な理由の「TikTokが禁止されるからREDを始めた」と話す動画投稿が目立ち、TikTok規制をめぐる米国政府の動きに疑問をもつユーザー同士の交流の場となっているとも記事にあります。でも本当ですかね?

そもそもREDって何って方はこちらを↓


■REDの登録者数が爆増。なぜ大量のtiktok難民がREDを選んだのか?

REDの件があまりにもセンセーショナルだったため目立っていますが、実際にはInstagramやYoutubeもtiktok難民の囲い込みを頑張っていたようです。ただ、圧倒的にユーザーが増えたのがREDでした。その数や恐ろしく、REDのユーザー数は数百万単位で増加したとのこと。

(画像:Weiboから)

↑REDが連日アメリカのアプリストアの1位をジャック。

(画像:Weiboから)

↑ロイターの記事によると、REDは2日間で新規ユーザー70万人増(情報源はREDの運営社に近い人間だそうです)。

日本のみなさんもご存知のように、中国といえばグレートファイアウォールです。「全部政府に検閲されてるでしょう」と揶揄されまくってるわけですが、「自由最高」と声高に主張するアメリカ人がなぜ、よりにもよってREDを選んだのでしょうか?

(画像:Weiboから)

これを分析している議論も多数存在。まず、今回のアメリカのやり方に理由があります。アメリカのTiktokユーザーは、アメリカ政府がBANすることに不満があって、SNS中心に文句が溢れていますよね。新しいアプリでその不満をぶちまけたい、それもTiktokのような、すでにアメリカでローカル運営しているものではなく、REDのようなサーバーもサービスも完全に「中国」のものがいいというもの。

REDは積極的に海外を狙っていたわけではないですが、昔から海外で生活している中国人や華人もターゲットなので、登録時に中国の携帯電話番号を必須としない。これも今回、アメリカ人が登録しやすかったことの要因とされています。

アメリカ人が大量に流入しているとのニュースが全世界に拡散されたこともあり、1月15日には世界75か国のダウンロードランキングでトップとなるという影響力の凄まじさ。最強のマーケティング施策となりました。

画像:互联网思维の記事より

REDが国際版を作成せずに国内版をそのまま海外に提供していたことが結果的に海外で受けたのは面白いです(海外向けに頑張っていた人たちのヘイトも)。

tiktokはbytedanceの国際版のアプリで、中国のアプリはdouyin。この2つは別アプリであり、国によって(douyinは中国エリアでしかインストールできない、いちおう)完全に分かれているし、アプリの機能もコンテンツや配信者も全然別。

↑もはや買い物も含めたスーパーアプリとなっている中国tiktokのdouyinは、日本の皆さんが使っているTikTokとはもはや全然違います。詳しくはこちらをご覧くださいませ。

■中国目線では、グレートファイアウォールよりアメリカの規制の方が悪なんじゃないかと思ってきた(お急ぎの方はスキップください)

泣く子も黙るグレートファイアウォールによってXやYouTubeを見ることができない国ですが、中国は決して中外間の情報交流を遮断したいわけでなく、中国の法律や規制に従って運営されていない違法サイトを規制するためです(ツッコミどころがあることは同意見)。あくまで中国の法律や規制に従って運営されれば問題ないのです。

そのため、ほとんどの中国のアプリが海外進出する際には、2つのバージョンを作成し、リスクを回避するために努力していますが、最近の状況を見ると防ぐべきは中国の「壁」ではなく、アメリカ側となります。

というのも、現実には中国のアプリやWebサービスはアメリカの要求に従って特別なバージョンを作成し、サーバーをアメリカに設置し、アメリカに支社を開設し、大量のアメリカ人を採用して管理し、アメリカの法律や規制に従っているのです。なぜなら、大量のリソースやお金を投入して事業を拡大した後、アメリカが法律や規制を無視して、いちゃもん理由で事業を停止させてくるリスクを恐れているからです。

特にtiktokの場合は、ByteDanceはあそこまでやっていたにもかかわらずこの封殺騒動です。tiktok以外でも、国際化を目指し、国際化に成功する可能性がある巨大なインターネット企業の多くは、アメリカによる封殺の潜在的な政治リスクを回避するため、すべて国際バージョンを作成しています。

幸か不幸か、アメリカでみんなが使うアプリやサービスは日本は作り出せていませんが、他の理不尽はたくさん経験していますよね。怒るべきだし対策すべきなのです。

■REDに大量の外国人が流入して、RED原住民の中国人と遭遇するとどうなるのか

一方REDは例外で、国際バージョンを作成せず、海外でのプロモーションや運営を考えることもなく、国内バージョンをそのままコピーし、海外のアプリストアにそのまま置いてるだけ。もはや中国人以外は誰もダウンロードしなくても構わないという感じでした。

実際、REDは中国バージョンのみでサーバーは中国にしか置いていないし、運営スタッフはほとんどが中国人で、アメリカ政府には一切のコード公開もしていないとのこと。今後どうなるのかはいろんな意味でとても楽しみです。

そして、そのおかげでREDは中国のSNSサービスの中で中国・欧米ユーザーが同じサーバーを使用している初の存在と言ってもよいものとなりました。その結果、外国人がREDをダウンロードした後に中国人と交流することとなり、大量のおもしろ出来事が起きているのです。

ここからはネット民の意見を次々紹介していきます。まずは、原住民ユーザーの困惑です。

(画像:Weiboから)

↑普通にREDを立ち上げたら英語の動画ばっかりで、コメントも中国語だったり、英語だったり。。一瞬REDのバグかと思って、立ち上げ直してみました。

(画像:Weiboから)

↑自分のIPがバグったかと疑いました。

中国の学生さんは今ちょうど冬休みなので、現状をすぐに理解した原住民ですぐに“アメリカからのユーザーを使い始めた”人も笑

(画像:Weiboから)

↑英語の宿題協力してくれませんかの依頼に対して、素早く回答が来ました。

(画像:Weiboから)

↑しかし、母国だからといっても、必ずしも全問正解ではなかったです。5問中に3問しか正解してなかった件はすでにメディアに取り上げられました。嫌がらせでワザと間違えたんじゃないか…

(画像:Weiboから)

↑逆にアメリカのユーザーから数学の宿題の依頼が笑

(画像:Weiboから)

↑他にも、家庭で簡単に作れる中国料理の作り方を聞く投稿だったり

(画像:Weiboから)

↑だんだんお互いの国の仕組みをやり取りするようになっていく。医療費用の現状を交流したり

(画像:Weiboから)

↑イーロンマスクの母親がREDで活躍していることに対して驚きながら悪評しているアメリカユーザーがいることに対して驚いたりしてました。

もちろん大丈夫なのかと勝手に不安になるような投稿と交流も。けっこうコメントのやり取りがされている

(画像:Weiboから)
(画像:Weiboから)

↑アメリカ軍からの利用者が現れ、それに対して誰かが最初に言い出したかは不明ですが、「職場見せて」「今操縦してるもの見せて」みたいなコメントに対してちゃんと返しが来ました(返したものは少なくとも一部は本物だと思われます)。

(画像:Weiboから)

ーー貴国の空母を見せて、いいねするから

(画像:Weiboから)

ーー空母大好きです。特にアメリカの。アメリカ空母の原子動力システム見せて

(画像:Weiboから)

REDに上げられたF35A戦闘機の写真に対して、Weiboの航空機カメラマンから評価されました。

感覚的には、これは中国のユーザーがジョークの感じで言い始めたのに、まさに本当に返事が来るとは。。大丈夫なのかな

(画像:Weiboから)

ーーあれ、守秘義務ないの?
ーーアメリカ軍そういう意識が弱いみたい。アフガニスタンでアメリカ軍がアップしたTiktokでタリバンに位置情報がバレたらしい。

(画像:Weiboから)

ーーギャグでも面白すぎるわ
ーーコメントにしている人、本当にスパイではないよね?
ーーREDを使ってるアメリカ軍いいやつ多くない?聞かれたら全部回答してくれるし、撮ってと言われたら撮ってくれるし、撮れなかったものあったらちゃんとsorryといってくれますね。
ーー本当に国家の安全に影響を与える感じがしてきました。。

(画像:Weiboから)

ーーアメリカ政府の不安も、一理感じられました
ーーこの画像の一枚で、CIAが私のことをスパイとマークしないよね?笑

また、和気藹々しながらも難民の流入に不満な人たちもいます

(画像:Weibo)

↑みんな今日は外人にめちゃくちゃいいねしましたよね。私は(昔から)海外のSNSから中国のSNSに移民したもので、REDでのフォロワ数がわずか3万程度。しかしtiktok難民たちは二日間で3つの動画で、すでに私の数倍のフォロワ数になってます。

あまりにも増えた外国人コンテンツに疲れて、いつものREDに戻って欲しい声もあります。

(画像:Weiboから)

↑外国人コンテンツに疲れました。インフォメーションコクーンに戻って一休みします。

一方、REDではなく、ちゃんとDouyinに辿り着くアメリカユーザーもいます。

(画像:Weiboから)

↑Douyinに自称「tiktok難民」のアメリカ人に対してコメントで、「場所間違ってない?みんなREDにいるよ」との親切かどうかはわかりませんが、ちょっとツボった。

また、少し前にtiktokのCEOを担当しているCHOU氏が、アメリカでの公聴会で詰められた動画も中国でものすごくバズりました。これは日本でもたくさん回っていたので見た人も多いですかね?今回の一件でREDのCEOも同じ目に遭うのではないかとの議論もあり面白いです。

(画像:Weiboから)

ーーREDのCEOは早く英語能力の向上をしないと!早くIELTSのレッスンを受講しないと。
ーー早めにお金を用意する方がいいですよ。時期が来たら素早くそのお金でCHOUをヘッドハンティングする方が効率です。CHOUも慣れたし。
ーーCHOUは公聴会代行企業でも作ったら良い

(画像:Weiboから)

ByteDanceの複数のサービスがすでにアメリカでのサーバーを止めましたが、トランプの一声で復活している現在。TikTokがどうなるのかも興味ですが、これだけ海外ユーザーが流れ込んできたREDがどうなっていくのかが特に気になってます。

また、中国ローカルで全くノーマークだったREDが世界で一番影響力を持つアプリになるかもしれません。日本の皆さんに中国人インフルエンサー直伝のREDの伸ばし方をシェアしようと思いました。ぜひフォローしてお待ちください!

(参考資料)


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中国情報局@北京オフィス
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