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ブロックチェーンと仮想通貨を読み解く2つの視点〜情報の裏取りの大切さとキャッシュレス社会

2019年、初めての投稿になります。今年もどうぞよろしくお願いします。引き続き社会インフラとしてのブロックチェーン、仮想通貨の可能性、そしてデジタルメディアのトレンドを、海外ニュースのキュレーションをしながら国内の文脈を踏まえて紹介する、というスタンスでお届けしたいと思ってます。これは面白い、気になる、という発見、或いは「これはぜひ共有したい」、というトピックを、時に自分なりの視点も織り交ぜて発信していきたいと思います。

併せて、せっかく日経新聞さんが運営されているメディア(COMEMO)、ということもあり、日経電子版などの記事、そしてFT、エコノミストの翻訳記事など、普段は有料記事なのでちょっとツイッターなどではシェアしにくい記事も、この場では気兼ねなく自由に記事リンクなども埋め込んでいけたら、と思ってます。

ニュースを見る視点〜情報の裏取りの大切さ

さて、今日気になったのは特集シリーズ「新幸福論 Tech2050」の中で紹介されていたミャンマーで迫害されているロヒンギャ民族の人々に対し、ブロックチェーンを活用することでアイデンティの証明に役立てるという取り組みです。人道支援の文脈でとても可能性を感じさせてくれる事例ですね。

「国家に支配されないコミュニティをテクノロジーの力で作る」。マレーシアの首都クアラルンプール。起業家のムハンマド・ヌール氏の口調に熱がこもる。
ヌール氏は少数民族ロヒンギャの出身。ロヒンギャはミャンマーで迫害され、マレーシアやバングラデシュに逃れた難民は100万人規模とされる。1982年にミャンマーの国籍を失い、自分自身を証明するすべを持たない。「銀行の口座を開けず、学校にも行けない」と語る同氏はこう続ける。「この状況を打破できる技術が現れた。ブロックチェーンだ」
仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンは参加者が互いに承認する仕組み。日本の戸籍など国による証明に代わって、IDで個人を特定する。国家が介在しない生活圏がサイバー空間に生まれ、銀行口座を開いて働けるようになる。「人々が経済的に自立できる」とヌール氏は話す。

個人的にはこうした取り組みは今後ぜひ発展してほしいと願っています。ただ、気になったのは、去年国際協力とブロックチェーンに関しての「オンライン講座」を受講している際、実はこの事例〜「ロヒンギャ・プロジェクト」は、ブロックチェーンの流行(ハイプ)を象徴する事例なのか?というテーマで、議論の対象に選ばれていたのです(関連ブログ記事)。

国際協力分野で情報技術を活用していこうとしているコミュニティの一部では、このプロジェクトの妥当性・安全性に対して疑問を呈する記事があり、ロヒンギャ・プロジェクトの代表もコメント欄に参加する形で厳しく批判され、話題になっていた経緯があります。

批判の内容としては、ある難民の人がどの民族に属しているかを国家でないひとつの民間プロジェクトが判断できるか、という正当性に関する点がひとつ。そして、迫害され弱い立場に置かれている人々のセンシティブな個人情報を集め管理することに対してセキュリティ上の問題はないのか、という安全性の点などが挙げられていました。

その後ロヒンギャプロジェクトはメディアでも継続的に前向きに取り上げられていて(ガーディアンCGTN)、着実に進化・成長していることと推察・期待します。ただ、ブロックチェーンの今回のような人道支援、難民支援、貧困解決の事例は疑問を持つことなく鵜呑みにされがちで、拡散・シェアもされやすいこともあるので、冷静に読み込みつつ、可能であればオリジナルのサイトでの裏取り、確認作業も必要になる場面も求められていくのではないかと思います。

ノイズが溢れるブロックチェーン・仮想通貨関連ニュースだからこそ、ぜひ習慣としての「裏取り・確認」の視点、大切にしていきたい、と自戒を込めて感じます。

昨年の8月にもシリア難民の自立支援にブロックチェーンが活用されている記事が掲載されていました。世界的に注目されている事例ですがこちらも併せて今後継続的に進化や発展していくことを期待しています。


増税のタイミング、そしてオリンピック・パラリンピックのインバウンド需要を見込み、加速していくキャッシュレス社会

もう一つ、注目したい視点は「キャッシュレス社会」への加速的な変容です。先日の投稿でも触れましたが、まだイメージしにくいブロックチェーン、仮想通貨が具体的に生活に浸透するかもしれない突破口として期待されているのがこの、「お金」の進化なのではないかと思います。お金に関して今まで当たり前と思っていたことが一気にその常識が変容していくのではないかと感じています。

買い物する際のキャッスレス決済、割り勘、仮想通貨利用、ステーブルコインなどなど、2019年を通じて、それがブロックチェーン・仮想通貨という言葉を聞いたことがなくても、浸透していくことがあるのではないかと感じます。

スウェーデンの中央銀行はブロックチェーンを利用した法定のデジタル通貨発行を検討中だ。発行するかの見極めは2020年ごろに行う見通し。将来、現金を廃止することも視野に入っているという。

年末から何度となく放送されている三井住友カードのTVCMを見て、「お金ってなんだんだろう」と家族や友人と話をした人も多いのではないでしょうか?今年一年の注目トピックとして、こちらも追いかけていきたいと思います。


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