リスキリングとポジショニング 世界一でなくとも社会に価値を提供できる
提供価値と対価
長くフリーランスで社会と向き合ってきたためか、自分が提供できる価値と、それに対する期待値や評価としての対価について、いろいろと思い悩むことがありました。
また、その提供価値と対価という関係性をデザインすることが、フリーランスには重要だとも考えています。自分の値決めとも言えるものだからです。
ライター時代、価格をつけてもらい、仕事を発注してもらっている間は、そうしたことを意識することはありませんでした。
見積もりの難しさ
しかし、コンサルティングを軸に働くようになってから、見積もりを求められるようになって、自分の値決めをする必要に迫られ、そこに思い至りました。
見積もり難しい、と。
考えてみれば、フリーランスであろうが、組織に属していようが、そこに何の違いもなく、自分が社会に対して提供する価値と、その価値を定量的に評価されたものが、対価として提示される金額なのだと思うのです。
期待値を含めたもので、提供しているものよりも過分に提示される場合もあれば、何らかの事情で低く抑えられる場合もあったりしますが。
いずれにせよ、自分の価値を自分で評価して提示する難しさを感じたことは、よく覚えています。
繁栄
あるとき、『繁栄ーー明日を切り拓くための人類10万年史』という本を読みました。
今から10年ほど前、2010年に発売された書籍です。文庫は、2013年に出版されています。
昨今、いくつかの書籍でも語られていますが、悲観的な未来像を目にしない日はないが、それでも人類史を眺めれば、多くは良い方向に進んでいる、という趣旨の内容です。
本書は、その要因として「分業」と「交換」を軸に語られています。
価値の交換
端的な例として、釣り針と魚釣りの話があります。
現代社会の課題のひとつとして、行き過ぎた分業があります。が、今回の主題はそこではないので、それはまた別のお話としたいと思います。
ここで注目したいのは、AさんとBさんとをみたとき、Bさんは、釣り針づくりも魚釣りもAさんより優れている、という点です。
僕がAさんだったとしたら、かなり引け目を感じる関係です。が、それでも、自分が得意なことで相手と取引すると、双方がプラスになれるのです。
これは、僕にとって、大きな救いになりました。
見回せば、自分より優秀な人だらけ。何をどうやってもかなわない。そんな厳しい環境に身を置くことは、そう珍しいことでもありません。不安になります。
しかし、そんな中でも、自分が最も得意することで価値を提供すれば、全体がプラスに働くのです。
リスキリングとポジショニング
新たなスキルを身につける。自分が得意なスキルを磨き上げる。他人と比較するのではなく、自分の中で、最も得意とするものを認識すること。それが大切です。
さらに重要なことは、ポジショニングだと思います。自分が提供できる価値を、より評価してくれる場所を見極めること。それによって、全体に与えるポジティブな影響力は大きなものとなります。
僕自身、僕が最も得意とすることを、チームに提供することで、チーム全体がより大きな社会にポジティブな影響を与えられるようになることを信じて日々を過ごしています。
自信を失いそうなとき
自分が世界一ではなくてもよい。自分より優れた人と比較して落ち込まなくてもよい。自分の得意なことをしっかりと見極めて、それをもって貢献することで、しっかりと価値を提供できる。
自信を失いそうになったとき、僕はいつも、この釣り針と魚の話を思い出します。