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年末年始はZ世代がテレビを見る唯一の時期?デジタルネイティブの正月の過ごし方の3つの特徴

昨年12月21日、若者向けのアパレルショップ「WEGO」を展開する株式会社WEGOから、フォロワー36万人を対象に、「年末年始」にまつわる行動や消費についてのアンケート調査が行われました。

また、株式会社RECCOOも同じく12月に最新のZ世代調査として「大学生の大晦日テレビ事情」をテーマにした調査レポートを発表。人の動きが多くなる年末年始にZ世代はどのように生活をしているのか、注目が集まっているのだと思います。

そこで今回はZ世代当事者でもある僕が、メンバーのほとんどがZ世代である「僕と私と株式会社」の代表として、メンバーやまわりの友人の行動を見ていて感じた「Z世代の年末年始事情」をお話します。

1.Z世代は親子仲がいい人が多い。家族と過ごす年末年始

まず思うのは、Z世代のなかには年末年始を家族と過ごしている人が非常に多いことです。

僕も年末年始は地元大阪に帰省し、家族とともに年越しを迎えましたが、コロナウイルスが落ち着き、ライブなどの年越しイベントが各地で開催されていた昨年末も、まわりの友人たちは家族と過ごしている人がほとんどでした。

SNSに実家の様子を上げている人も多く、それぞれが家族団らんを過ごしているのだなと感じました。

冒頭でお話したWEGOの調査では、「誰と年末年始を過ごす予定か?」という質問に対して、回答の最も多くの割合を占めたのが「家族」でした。

「推し活」「界隈消費」の代名詞とも呼べるZ世代なら、年末年始を推しのライブや特別なイベントとともに過ごしているのでは? と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではないのです。

▼Z世代と「推し活」についての詳細はこちら

彼らが家族と過ごす理由の1つに、「Z世代は親と仲のいい人が多い」ことが挙げられると考えています。

Z世代の親にあたるX世代(2024年現在で40代前半から50代後半を迎える方)は、アナログからデジタルへの変化を経験しており、変化や新しいチャレンジに寛容だと言われる世代です。

また、国や職場のために働くことよりも、ワークライフバランスや家族を優先したいと考える人が増え、仕事観が変わってきた世代とも呼ばれています。

こうした親に育てられたZ世代は、「この職業に就いてほしい」「絶対にこうあってほしい」と親の要望や価値観を押し付けられずに育ちます。そのため、思春期にあたる中高生でも反抗期がほとんどなく、仲の良い親子が多いのです。

SNSやLINEで気軽にメッセージのやりとりができるようになり、一緒にいなくても近い距離に感じられる人が増えたことなども理由に挙げられますが、こういった親子仲の良さは、Z世代が年末年始を家で過ごす理由に大きく影響していると考えます。

2.大晦日だけテレビの前へ。リアルタイムのコミュニケーションを重視

では、年末年始を実家で過ごすZ世代は一体何をして過ごしているのでしょうか。

それはズバリ、「映像を見ること」。 学業や仕事で忙しいZ世代にとって、年末年始は見たかった映画やドラマ、アニメを一気に見られる数少ないゴールデンタイムだからです。

それに、Z世代が映像を楽しむ定番の方法であるYouTubeやNetflixなどの動画配信サービスは、実家に帰るときの新幹線や車の中など「暇だけど細かな作業はやりにくい」移動中でも楽しめるため、視聴時間が格段に増えます。

しかし特徴的なのは、Z世代が年末年始に「テレビを見ている」ことです。

昨今は若者のテレビ離れが叫ばれていますが、僕は年末年始だけは例外なのではないかと考えていました。普段テレビをほとんど見ない僕でも帰省中だけはテレビを見ていますし、今年も数々のテレビ番組の話題がXでトレンドに上がっていたからです。

▼若者の「テレビ離れ」については、ぜひこの記事をご覧ください

実際、冒頭でお話した「大学生の大晦日テレビ事情」調査では、「大学生の78%が大晦日にテレビを見る予定である」ことが判明したといいます。

理由としては、

・子供の頃からの習慣だから。
・年越しはテレビを見て過ごすという恒例行事になっているから。
・家族団らんの場にテレビがあるから。
・大晦日特番は豪華で面白いから。

といった意見が挙げられていましたが、僕は「家族団らんの場にテレビがあるから」に注目してます。というのも、僕はここにもZ世代が家族を大切にすることが影響すると考えているからです。

個人の好きなもの・コトを尊重するZ世代は、世の中全員にとって共通の話題よりも、同じ価値観や趣味を持った人同士で盛り上がることが多い傾向にあります。

しかし年末年始は、自分たちとは違う世代であり、共通の話題を持ちにくい家族や親族と話す時間が増える時期。そんなとき、テレビは一緒の時間を共有して盛り上がるためのツールとなるのです。

何をするかより「誰と過ごすか」を大切にするZ世代だからこそ、家族を大切にし、テレビを通じてコミュニケーションをとっているのだと思います。

ちなみに、年末は生放送が多いこともZ世代がテレビを見る理由の1つだと考えています。年越しの瞬間はもちろんですが、年末年始は『M-1グランプリ』や『日本レコード大賞』など、特別な番組が増える時期です。

普段は再生速度を倍にしたり、繰り返し視聴ができたりする配信サービスのコンテンツを好むZ世代ですが、生放送の番組は友達と「あれ見た?」と話したり、速報や翌日のニュースで盛り上がっている様子を楽しんだりと、リアルタイムのコミュニケーションにこそ醍醐味があります。(僕が考えるZ世代の消費の特徴『エモ消費』に該当します!)

そのため、たとえ倍速視聴ができないテレビでも視聴するのではないでしょうか。

3.続いてきた「年賀状文化」はどうなる? Z世代の最新年末年始カルチャー

最後に、年賀状についてはデジタル化の影響もあり、ほとんど送っている人は見かけなくなりました。Z世代に該当しない方でも「出さなくなった / 届かなくなった」という方は多いのではないでしょうか。

▼こちらの記事によると、2024年用のはがき発行枚数は2023年に比べて12%減少したそうです

今では年賀状の代わりに、LINEやInstagramでのメッセージ交換がお正月の文化のようになっていますが、僕は「写真で1年を振り返る」こともデジタルネイティブ特有の文化になると感じています。

2023年末は「CapCut」などの動画編集アプリで配布されている無料のテンプレートを使って、1年を振り返るスライドショーのようなものをTikTokやInstagramのリールで非常によく見ました。

このような写真や動画での振り返りをSNSに載せるのは、スマホで気軽に写真として思い出を残すことが普通となったデジタルネイティブならではの行動であり、次第に恒例行事のようになっていくと考えています。

では、年賀状文化はこれから衰退し、いずれはなくなってしまうのでしょうか?

僕は、そうとは言い切れないと考えています。「不便益の法則」といわれるように、効率や「タイパ」を重視するからこそ、時間をかけて一人ひとりに想いを伝えることに魅力を感じ、いつか年賀状がブームになったり、文通にハマる世代が出てくる可能性は、決して低くないはずです。

個人的には、いずれぼくわたでも年賀状のリブランディングに取り組み、Z世代の間で年賀状を流行らせたい…! と思う次第です。

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このnoteでは、Z世代経営者の僕がZ世代の最新事情や日常で感じたことを発信しています。2024年も経営者やZ世代の皆さんの役に立てる情報をお話したいと考えていますので、ぜひスキやコメントお願いいたします!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。他にもこんな記事を書いているので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです!

※このnoteは個人の見解です。

今瀧健登について

今瀧健登 / Imataki Kent(Twitter:@k_hanarida)

僕と私と株式会社 代表取締役 
日経COMEMO キーオピニオンリーダー
書籍『エモ消費』『Z世代マーケティング見るだけノート」など

1997年生まれ。SNSネイティブへのマーケティング・企画UXを専門とし、メンズも通えるネイルサロン『KANGOL NAIL』、食べられるお茶『咲茶』、お酒とすごらくを掛け合わせた『ウェイウェイらんど!』などを企画。
Z世代代表として多数のメディアに出演し、"サウナ採用"や地方へのワーケーション制度など、ユニークな働き方を提案するZ世代のコメンテーター。
日経COMEMOではZ目線でnoteを綴り、日経クロストレンドでは、「今瀧健登のZ世代マーケティング」を連載中。

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