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決算書を読んでみよう 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎①

新型コロナウイルスの感染拡大で、研修のオンライン化や在宅勤務など、異例の形で始まった新生活に戸惑っている方も多いかもしれません。それぞれの場所で頑張る新社会人を応援するため、日経電子版をまだよく知らない方にも分かりやすく、記事の紹介を交えて仕事に役立つ知識をお届けします。

初回はビジネスパーソンに必須の会計の基礎知識「決算書」についてです。

1、決算書で何が分かる?

決算書は企業の活動を記録したもので、株主なや投資家など、外部の人に説明する目的で公開されます。経営の結果である決算書を読み解ければ、会社の実力を見極める手がかりになります。

決算書は、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー(CF)の3つに分かれています。元の取引は同じで、会社の1年間のお金に関するすべての取引を、わかりやすいように視点を変えて説明しているのです。上場企業ならホームページなどから入手できます。

▼日経電子版のビジュアルデータで詳しく解説しています

2、売上高と利益の関係

まずは損益計算書(PL)です。文字通り、企業が利益を生んだり、損をしたり、それがどういう過程で生まれたのか、という計算が書かれています。

PLを読んで、企業の規模や稼ぐ力をおおまかに判断する時には売上高を見てみましょう。売上高は商品の売り上げ、手数料収入など、企業の収入の合計です。

ランキングでみるとトップのトヨタ自動車が約30.2兆円、2位三菱商事は16.1兆円、3位はホンダの15.8兆円と続きます。ほかにもNTTや日産自動車、日立製作所など名だたる企業が並んでいます。

では、「売上高が多い=強い会社」なのでしょうか。売上高を伸ばすために商品を安くたくさん売っている、という会社が必ずしも強いとは限りません。

そこで重要になるのが「利益」です。

日本の会計基準では利益は5段階に分けられ、PLに記載されます。企業が商品を売ったりサービスを提供したりして得た対価である売上高から、かかった費用を引いたのが利益です。下の表のようになります。

利益

ここで営業利益のランキングを見てみましょう。

やはり1位はトヨタです。ただ、2位は売上高では9位だったソフトバンクグループが浮上します。逆に売上高で7位だった日産自動車は営業利益では25位まで下がります。

売上高に対して人件費や広告費などが重くなってしまうと営業利益が減ってしまいます。値下げをしなくても売れる商品があったり、少ない人数で生産できていたりすると、営業利益が改善します。

最後に純利益のランキングです。これが株主に対する配当のもとになるので、極めて注目度が高い指標になります。

ここでもトヨタがトップです。営業利益から様々な費用を引いた上で計算されるため、営業利益のランキングと似たランキングになります。

日本経済新聞ではこの純利益が黒字の場合は最終利益純利益、赤字の場合は最終赤字(または最終損益が赤字)と表現しています。この純利益が「○%増」と記事に書いてあれば、去年1年間で貯まった現金よりも、今年はより多く貯まった!ということになり、企業の成長力や安定性を見る1つの指標として使うことができます。

会計基準には日本基準と、近年採用が増えている国際会計基準とがあります。国際会計基準では営業利益に含まれる項目が日本基準と異なる点に注意が必要です。国際基準には特別損益の概念がなく、これに相当する損益は営業利益の段階で反映します。

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2回目の記事はこちら
決算ニュースを読んでみよう 日経電子版で学ぶ新社会人の基礎②

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