起業家に向けた「世界で活躍するシリアル起業家からの金言」 世界経営者会議
『世界に通用する起業家が出現するためには、何が必要か?』を、2015年にフォーブスが選ぶ「米国で自力で成功した女性50人」に日本人で唯一選出されたフェニクシー共同創業者の久能祐子さんと、メルカリ社長の山田進太郎さんが「日経フォーラム世界経営者会議」にて対談されました。
大きな夢を抱いている起業家にとって、とても意義深い内容でした。
久能さんが『起業家は跳ぶように考え、這うように証明する』とおっしゃられたのは、起業の醍醐味と、挑戦に対する心構えを端的に表したフレーズでした。
個人的な解釈を含みますが、お二人の知見をご紹介させてください。
起業は科学である
「こんな世界にしたいと、自分が確信したより良い世界観を語り、そのビジョンに共感する仲間が集まって挑戦を始める。結果を出して、収益を生み、良い循環が回って組織が大きくなり、生み出す価値が高まっていく。そして、夢が結実する。」これが成功する起業です。
しかし、華麗に成功したように見える起業が数多あったとしても、どの起業家も、苦労なくビジョンを実現したわけではありません。
起業家は、最初に誰も実現していないビジョンを掲げます。自分が信じたビジョンを実現するための方法は、当初は仮説に過ぎません。ビジョン実現に向けた挑戦は、正しそうな方法の仮説に対する実験なのです。
最初から成功させる方法を知っている人はおらず、必ず不確実性に対峙します。実験が簡単に上手く行く確率は極めて小さく、壁にぶつかるのは必然です。
すぐに結果が出ないことは失敗ではありません。繰り返す必要のある実験の過程と捉えて、途中で投げ出さない辛抱する力が必要です。落胆せず、結果から学び、より上手くやる方法を考えれば良いのです。
起業は「仮説と実験」を繰り返す科学的な手法であり、そこに失敗は存在していません。そして、真実に近づくためには、何よりも実験量が重要なのです。
起業に必要な生態系
世界に価値を提供できるビジョンを実現させるには、想像よりもはるかに長い時間が掛かることが、前提です。
その時間を乗り越えて成果を上げるためには、揺るがないビジョンを堅持し続けるビジョナリーリーダーと、物事を上手く進め続ける優秀なマネージャーと、成果が芳しくない実験に付き合い続ける忍耐強い投資家の三つの存在が必要です。
明確なゴールをぶらさず、持てる資源を有効に活用しながら、どれだけ多くの挑戦回数を積み重ねられるかが、最終的な結果の明暗を分けるのです。
挑戦結果をすぐに判断し、失敗者のレッテルを貼ってしまう社会では、世界に通用する起業を成功させることは困難です。挑戦者に対する寛容さが求められます。
ビジョナリーリーダー、優秀なマネージャー、忍耐強い投資家、そして、それらを支える挑戦を奨励する文化が、大きく成功する起業を育みます。
起業家は米国を目指せ
自分のビジョンが大きな価値を生むと信じ、多くの人に影響が与えたいと思うのならば、米国は最適な場所です。世界で最も競争が激しく、難しい市場ではありますが、3億人市場の後ろには世界全体の市場が存在します。米国で通用するサービスや製品は世界中へ展開され、活用されます。
また、米国では仲間を集めることが容易です。ゼロからの挑戦に共感する人が沢山います。ビジネススクールを卒業した優秀なマネージャの層も厚く、夢が大きければ、それに見合った資金を提供する投資家も多数存在します。
世界を変えたいという志のある人は、米国を目指すべきなのです。若者は、挑戦志向と広い視野でどんどん旅立って行って欲しいのです。