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カテドラル効果と知の探求とクリエイティビティ

高い天井がもたらす効果

カテドラル効果という言葉を耳にしたことのある方も多いと思います。天井の高さ・低さが、人の思考に影響を及ぼすというものです。カテドラルとは「聖堂」のことで、高い天井を持つ聖堂のような空間が及ぼす効果ということから名付けられているようです。

A:天井が高い場所では、抽象度の高い、創造性の高い思考を広げやすい。
B:天井が低い場所では、細部を掘り下げ、具体性をもった思考を深めやすい。

そのため、手術室などの細心の注意が求められるような場所は、低い天井に設計されているそうです。

一方、ブレストなどを行うには、天井が高い空間の方が適しているそうです。

知の探求と視野の広がり

これは、物理空間だけでなく、頭の中でも同じかもしれません。

a:無関係な領域の知の探索
b:直接的な領域の知の探索

その探索領域がもたらす知的空間によって、見えてくる世界が異なるように思えます。

無関係な領域の知の探求は、知の地平の広がりです。その広大な地平を、より俯瞰して見渡すために抽象度を高めていくことができ、無関係に見える点と点を結びつけるダイナミズムが生まれます。遠くに見える点、無関係に思える点が結びつくラインを見出した時の興奮は、たまらないものがあります。

抽象化の重要性についての記事がありました。

僕は、この抽象化が好きで、以前「神話の研究」と「センサー」との関連について記事にしたこともあります。

一方、直接的な領域の知の探求は、専門性の高まりと、その領域の深堀です。深く深く掘り進むことで、埋もれたものを見出すことができます。俯瞰して眺めるだけでは決して辿り着くことのない、根源的なものに触れる手応えには、なんとも言えない充実感があります。

高校時代に美術系の学校に通っていたころ、毎日のように絵を描き続け、深堀に深堀を重ねていました。対象物を見る目と、それを自分なりに咀嚼し、それをアウトプットすることを繰り返す中で、自分なりに手にした感覚は、いまだに仕事に役立っています。

探求の方向性

それぞれの視点は、仕事の役割や、見渡したい対象によって適したものがあると思います。今、自分が立つ場所、そこから見える風景、どのように進んでいこうとするのか。それらによって、適した知の探求の方法があります。

一般的には、経営・戦略などに携わる場合には無関係な領域の知の探求を、現場に携わる場合には直接的な領域の知の探求が、その仕事のクリエイティビティとパフォーマンス向上に貢献する、と言われているようです。

しかし、無関係な領域の知の探求も直接的な領域の知の探求も、共に広い知の空間が生まれ、カテドラル効果に似た、豊かなクリエイティビティが生まれることには違いと思います。両方の知の探求を行うことで、さまざまな状況に直面した際に、それらを乗り越える基礎となる思考力を養ってくれるのではないかと思うのです。

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