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「あれっ、日経の記事にツッコミが入ってる!」 (IT・テクノロジー編) 電子版Think!で専門家の視点を得る。

日経電子版の記事を専門家がリアルタイムで解説していることをご存じですか? 12月から「Think!」のマークがついた記事に、池上彰さんや中林美恵子さんなど各界の第一人者が投稿を寄せています。

注目ニュースの背景や展望を専門家が素早く読み解くことで、多角的な視点が得られる「Think!」。12月の投稿から「IT・テクノロジー編」「国際情勢編」「政策編」の3つに分けて記事への優れた〝ツッコミ〟を紹介していきます。今回は「IT・テクノロジー編」です。

テックの「なぜ」を斬る

12月は「GAFA」を始めIT(情報技術)の巨人たちのニュースが世界を駆け巡りました。まずはこの話題から。

米アップルがアプリの個人情報利用を開示

米アップルは14日、同社のアプリがユーザーの個人データをどのように用いているかの情報配信を開始。データのプライバシー保護に一石を投じる動きで、iPhoneなどを通じて取引のある約2800万のアプリ開発業者が対応を迫られるといいます。

このニュースに対して米グーグル日本支社での勤務経験もある山本康正・DNX Venturesインダストリーパートナーは、アップル社の狙いを以下のように解説。

「アップル自社のビジネスモデルはデータに依存する分野が少ないため逆に透明性を前面に出している」

続いて数分後には、コンテンツビジネスに詳しい福井健策・骨董通り法律事務所代表パートナーが、影響の大きさを指摘。

「膨大な数のアプリ開発者が個人情報ポリシーの改定対応を急がなければならなくなる」

さらに福井氏はアップルなどビッグテックと欧州連合(EU)など国家による「二重統治」が進むことで、「ついて行けない会社は振り落とされる」と見通しも示しています。

投稿全文はこちらからご覧ください。

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米サイバー攻撃、インテルやシスコなども標的に

サイバー攻撃の被害も後を絶ちません。12月中旬には米政府機関や主要企業が採用するソーラーウィンズ社のネットワーク管理ソフトが狙われ、米政府はロシアによる攻撃と断定しました。

サイバー問題に詳しい土屋大洋・慶大総合政策学部長は同社のサーバーのパスワードが「solarwinds123」という単純なもので、

「2019年から問題があると専門家から指摘を受けていた」

とニュースの背景を深掘り。

さらに中国政治のエキスパートである青山瑠妙・早大教授は、米国がロシアだけでなく中国ともサイバー攻撃をめぐる交渉を重ねてきた経緯を紹介。

「バイデン政権の誕生後、サイバー問題で米ロ、米中の交渉が進む可能性もあるが、容易に対立は埋まらないであろう」

との展望を示しました(投稿全文はこちらからご覧ください)。

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中国当局、アリババを独禁法違反の疑いで調査

その中国では、政府とネット大手アリババ集団との対立が深まっています。中国の規制当局は12月下旬、アリババを独占禁止法違反の疑いで調査を始めました。11月にアリババ傘下の金融会社アント・グループの株式上場を差し止めて以来、同社に一貫して厳しい姿勢をとっています。

国際政治を専門とする鈴木一人・東大教授は以下のようにニュースの構造を解説。

「中国はIT産業を育成し、国際競争力を持った中国企業を通じて他国に影響を与えているが、他方で企業が巨大になりすぎ、共産党の権力を脅かすようなことになると攻撃を始める」
「外から見ると『中国』とひと塊に見えるが、より細かく見ていく必要があるだろう」

と述べています(投稿全文はこちらからご覧ください)。

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デジタル庁、民間人材は非常勤・兼業可 4月に先行採用

ITで米中に遅れをとる日本は政府がデジタル庁の開設準備を進め、巻き返しを図っています。採用する民間人材については「非常勤・兼業・テレワーク」を可能とする柔軟な働き方を可能にするという方針を示しました。

給与は年収換算で最大1千数百万円程度とする方向というニュースに対し、IT人材の動向に詳しい村上臣・リンクトイン日本代表は、

「待遇面だけを見れば民間に太刀打ちできないでしょう」と指摘。集まってくる民間人材が「デジタル庁にいる期間に『何が達成できるか』が大事。民間では経験できないような規模や難易度を持つプロジェクトを募集時に提示できるかが鍵となる」

と政府にアドバイスもしていました(投稿全文はこちらからご覧ください)。

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今回はIT・テック分野で4つの話題を取り上げてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。専門家の視点が、ニュースを読み解き、これからの経済社会を考える(Think!)ヒントになるとうれしいです。

また、視点を得るにとどまらず、ご自身の考えをオープンにシェアしたい方は、noteで#日経COMEMOを付けて、自分のThink!を投稿してください。日経の紙面で紹介されることもありますので、ぜひ!

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