人口が減少する中国社会。2022年の人口発表に対しての中国ネット民の意見が切実
中国国家統計局が2022年末の総人口を17日に発表しましたが、これについて日本のSNSや中国のSNSでも議論が面白かったので紹介しましょう。
発表では、香港とマカオを除く中国本土の総人口は2022年末時点で14億1175万人で前年から85万人減少。これほど人口が減ったのは毛沢東時代の1961年以来とのことです。
ちなみに、ニュースなどで出ている今回のこの数字は全体を調査して出した数字ではありません。今回の数字は0.1%の抽出調査での数字。国土も人口の数も日本とは比較にならない中国では毎年全体を調査していたらとんでもない負担になるのでこうした方法がとられています。具体的な調査の方法は以前紹介しましたので気になる方はこちらを見てください↓
今回のデータで目につくのは高齢化と男女の比率。65歳以上の人口は2億978万人で、総人口に占める割合は前年の14.2%から14.9%に拡大。そして男女別では、男性が女性より約3200万人多かった。やはり中国の男子のみなさんはいろいろ厳しい競争にさらされていることがよくわかります。。
ここからは中国ネット民のみなさんの議論を紹介していきます。
まず面白かったのは、この発表に対して中国のネット民が話題にするよりも日本メディアが素早く報道したことがバズりました。そして自然な流れで日本の高齢化と比べることに。
簡単にまとめれば、中国は日本より生育率が低く一人当たりの平均GDPも大幅に下回り、高齢化社会から高齢社会に移る期間も短くてやばいんじゃないですか、と。高齢社会に入っている日本の閉塞感はみんな知ってます(高齢化社会と高齢社会の呼び方も上記の過去noteを参照ください)。
また、現状の揶揄や自分事ではないといった感想も多かったです。いくつか紹介すると
(自虐皮肉で)やった、これで一人当たりのGDPが上がりますねw
(過去の新聞のタイトルには「2022年に人口のゼロ成長を実現する目標」が発表されていたのを見て)そりゃあ20年前から計画してるからね、ってよくこんな新聞を見つけましたね。
35歳の転職ですでに高齢だと思われる。60歳の定年は若すぎだと思われる。新卒が1000万人で人数が多いと言われる。新生児が900万で人数が少ないと言われる…
(就職の時には)未婚子なしの場合結婚してすぐに子供を産むと疑われる。既婚子なしの場合入社してすぐ子供を産むと疑われる。既婚子持ちの場合入社してすぐに二人目や三人目を産むと疑われる。すでに二人目三人目を産んだ場合、子供が多くて仕事をする余裕がないと疑われる。本当に生涯独身だと主張すれば極端主義者で頭がおかしいと疑われる。
また、今回発表の数字をみても楽観的に考えてる人もいます。
人口数が減っても良いじゃないですか。中国の根本的な矛盾と問題は人が多すぎることにあります。資源が足りないから狂うほど“内巻き”して“996”してます。人が少なくなれば一人当たりの資源のパイが増えるでしょう。
(高齢社会になっても)日本と韓国がいるから様子を見れば大丈夫でしょう。
2022年の出生人口数が965万人で、2052年にはこの子達が社会保険を払うコア人口になる。定年が変わらなければ、1992年に生まれた2113万人が2052年から年金生活が始まる。
80年代生まれのボクには全く影響がない、90年代生まれはどう思いますか。
中国の社会問題の“内巻き”についてはこちらのnoteを読んでください↓
また、ちょっと変わった目線でこの数字を読み取る人もいます。
皆さんはこんな社会とこの考え方をどう思われますか?さらに
人口ボーナス=廉価労働力
人口ボーナスは資本家のボーナスであり、一般人のボーナスではない。
1番上に立つ人間は人口ボーナスが永遠に存在して欲しいと思うでしょう。
また、同日にこんなニュースも見ました。
人口も注目ですが、2022年中国のペット数(犬と猫)がすでに1.1億を超え、安定的な成長を遂げています。中国ペット市場のチャンスについては何度か紹介してきました。
ということで、日本とは桁違いの人口をもつ中国の皆さんの考え方は日本の皆さんとは違っているでしょうか。ただ、高齢社会の先輩である日本のことを比較で議論している機会も多く、日本や韓国に注目している人は多いです。日本でどんな問題が起き、どう改善して、何をみんなの幸せとして考えているのか。Twitterを見てると悲観的な気持ちになることが多いですが、高齢社会の先輩の日本には期待しています。