仮説はアップデートされていくもの、行動を起こして解像度を上げ続けること!ー世界を動かす仮説の立て方
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仮説はアップデートされていくもの、行動を起こして解像度を上げ続けること!ー世界を動かす仮説の立て方

2021年10月21日(木)に開催したNIKKEI LIVE「世界を動かす仮説の立て方」では、客観的なデータと直感力をうまく融合させながら、常識にとらわれない思考によって発想を生み出すにはどうすればいいかについて議論しました。イベント内容の一部をご紹介します。

『ぼくらの仮説が世界をつくる』『観察力の鍛え方』の著者で、クリエイターエージェント会社コルク代表取締役の佐渡島庸平さん、実名登録された有識者の生の声を直接ヒアリングできるナレッジプラットフォームビザスクCEOの端羽英子さんをゲストにお招きしてお話を伺いました。聞き手は、日本経済新聞社DXエディター杜師康佑が務めました。

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ー杜師エディター
参加者の方から「仮説を立てるにはいろいろな情報を収集すると思いますが、情報を集める基準となるポイントは何ですか」という質問です。情報収集の際に意識していることがあれば教えていただけますか。

ー佐渡島さん
情報収集するとその情報から考えることになるので、そこからの仮説は世の中にすでにあるもののような気がします。賢い人が、うまく説明してくれているものを、仮設ではなくて答えだと思ってしまうことが多いように思います。だから僕は、情報を集めずに決めつけています。

例えば「NFTはこういうことだ!」と決めつけて、いきなりNFTで有名な人にそれを聞いてみたりします。すると「そういう考え方があるんだ」とか「いや違うと思うな」とか、いろいろ話してくれるので、そこで出てきたキーワードの中から気になったものを調べるようにしています。その後で、自分の仮説が違っていれば変えるし、合っていればそれについてさらに考えていきます。

ー端羽さん
何かをやろうとするとき、まず仮説があって、その仮説に基づいて情報を集めていかないと効率が悪いと思います。起業した頃は、やりたいことがあって、仮説があって、「これだ!」と思っていたので、それに合う情報を集めていたような気がします。でも今は、広げる時期だと思っているので、情報の定点収集をしている感じです。

実は今年から「日経ビジネス」を定期購読しているのですが、毎週くるものをパラパラめくりながら「今どんなことが言われているのか?」を見るようにしています。SNSなどでは、自分の興味があるものばかりが入ってきてしまいますから。

ー杜師エディター
佐渡島さんは著書の中で「経営に役立つ能力は観察力である」と書かれていますが、観察と仮説の関係性について教えていただけますか。

ー佐渡島さん
よく「ピボットする」と言いますが、あれは仮説が更新されている状態だと思います。仮説をもとに実験すると、その実験から情報が集まります。それによって仮説は更新されるはずで、「このままで正しい」とはならないはずです。

実験をすることで解像度が上がるので、もしそうならなかったら、観察が間違っているということです。だから、「仮説は更新されるもので、更新できなかったら観察が悪い」と思って、立ち止まって観察の仕方を考え直す必要があると僕は考えています。

ー端羽さん
私はいつも「昨日より今日は賢い」と言っているのですが、昨日作った仮説は絶対にアップデートされていくものだと思っています。昨日と同じことを考えているならば、それは学べていないということです。

仮説をもつことは大事ですし、「今のベストな仮説」はもつべきだと思います。ただ、これは「今」の状態でベストな仮説だと理解しておくこと、明日はもっといい仮説になっていると思うこと、そういう変化を認識すること、が大事だと思っています。

同じ情報を見ても「これで自分の仮説をアップデートできる」と思う人と、何も思わない人がいます。感度をどれだけ高くして、1日1日仮説を変えていけるかだと思います。

ー杜師エディター
ここで参加者の皆さんに投票を募りたいと思います。「普段の仕事で意思決定する際、最も重視する情報は何ですか?」この結果について伺いたいと思いますが、佐渡島さんは直感を大事にされていますか。

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ー佐渡島さん
フェーズによりますね。例えば、「縦スクロールオールカラーの漫画を作るぞ!」と、大きく旗を立てることを決めたときに、漫画家との打合せの仕方やどんな企画にするかまで僕が考えると、「じゃあ、お前やれよ」となってしまいます。だから、後からはメンバーの意向が優先になりますが、旗を立てるときはメンバーの意向は聞きません。

僕は、10年、20年先のことを考えて、売上げや仕組みを作っていくにはどうしたらいいか、うちのクリエイターが60歳まで食べていくためにはどうしたらいいか、そんなことを考える中で意思決定をしています。

だから、旗を立てるところでは相談しませんが、そこへの行き方についてはみんなに連れて行ってもらおうと思っているので、僕は考えていません。

ー杜師エディター
端羽さんはビザスクで、今年8月に112億円という巨額のM&Aを実現しました。意思決定には勇気が必要だったと思いますが、戦略はありつつも直感の部分もあったのでしょうか。

ー端羽さん
お金を借りなければいけませんし、ロジカルに説明できる必要がありますが、1つ1つの意思決定は、最終的には直感や好みで決めていると、自分自身で認識しておいたほうがよいと思っています。

特に私たちのようなスタートアップでは、必ず成功するとわかっていないことばかりやるので、どんなに説明できる材料を用意したとしても、最終的にはどうしても直感や好みになります。

もちろんチームの意見の中から決めることもありますし、他の人の話を聞いて決めることもありますし、自分が大事にしたいと思ったデータで決めることもあります。

正解がわからない中で、「どれが正しいか?」ではない部分で決めていると思います。だからこそ、全部の情報が集まらないと決められないという人は、最後まで決められません。完璧に情報が集められることなどないからです。どこで決めるかの問題です。

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ー杜師エディター
冒頭でも、あまり情報収集をしないという話がありましたが、自分の仮説とデータの擦り合わせのような作業はしていますか。

ー端羽さん
もちろん、いろいろなデータをとって分析します。物事は分解していくと何かしら良くなるところが見つかる、と私は思っています。どこが自分たちの改善ポイントなのか、データをとって分析します。

それから、自分にとって都合のいいデータだけを見ないようにするためには、データの分析を一人でやらないようにすることだと思っています。何人かで意見を言い合いながら見ることが大事です。

世の中のデータを広くとりにいくというよりは、自分たちのやったことをデータで分析することを重視しています。

ー佐渡島さん
仮説を実行したら必ずデータが出てくるので、そのデータは見なければいけないと思います。そのデータを「自分にはバイアスがかかっているので、まっさらな状態で見ることはできていない」という前提で見ることが大事だと思います。

だから僕は「どうやってフィードバックを集めるか?」が重要だとも思っています。フィードバックはある種の定性的なデータだと思うので。一流の経営者の方と話していると、「その人にまでそういう聞き方で意見を引き出すって、上手いな」と思うことがあります。フィードバックの受け方、データの集め方が上手いというのは一流の条件だなと感じます。

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ー杜師エディター
環境が変わるとものの見方も大きく変わると思いますが、違う視点をもつために意識している行動などはありますか。

ー佐渡島さん
「雲孫財団」という九代先の孫のために役立つことにお金を使おうという活動をしている財団が福岡にあるのですが、福岡に移住してから、その財団の評議委員をやっています。

例えば、何かの仕組みを作ったとしても、その仕組みが九代先まで続くことはほとんどないと思うので、そうなると、九代先のためのお金の使い方というのはなかなか思いつかないものです。その財団の会議に出たり、合宿に参加したりしていますが、普段の僕なら絶対に思考しないこと、物事が今までの視点からでは見えなかった別の見え方がするようなことを、延々とやっています。

ー端羽さん
私は茶道を再開しました。大学のとき茶道部だったのですが、2回ほど再開しようとして挫折して、今回は3年続いています。茶道は総合芸術なので、建物を見たり、絵を見たり、美味しいものを食べたり、そこから人の縁が広がっていったり。普段会わないような人に会えたりすることは、とても面白いです。

それから、実は今、鎌倉に移住しようとしていて、それも楽しみにしています。しばらく東京に住んでいたので、住む場所を変えることで何が見えるのかが楽しみです。

ー杜師エディター
最後に、お2人からひと言ずついただきたいと思います。

ー端羽さん
とにかく「情報収集オバケ」にならないことだと思います。情報収集だけして何も行動を起こさない人は、その情報を無駄遣いしているだけです。仮説をもって情報収集をしたら、必ず動いてみること。すると仮説はアップデートされていくはずです。動いてみてアップデートしていくこと、これがすごく大事だと思います。

ー佐渡島さん
行動することが怖くて、しかも、自分が怖がっていることに気づかずに、怖がっていることを正当化するデータを集めて、動かずにすむ理由を論理的に作っていることが多いような気がします。怖がっていることに気づいていないことで、すべての情報集めを間違えてしまう、だから、今の自分がどのような状態にあるのかを徹底的に考えることが重要だと思います。

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佐渡島庸平さん
コルク代表取締役

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2002年講談社入社。週刊モーニング編集部にて、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当する。2012年講談社退社後、クリエイターのエージェント会社、コルクを創業。著名作家陣とエージェント契約を結び、作品編集、著作権管理、ファンコミュニティ形成・運営などを行う。


端羽英子さん
ビザスクCEO

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東京大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックスにて投資銀行業務、日本ロレアルにて予算立案・管理を経験し、MITにてMBAを取得。ユニゾン・キャピタルにてPE投資に5年間携わった後、ビザスクを立ち上げる。2020年3月マザーズ上場。


杜師康佑さん
日本経済新聞社 DXエディター

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2010年入社、新潟支局を経て自動車や化学、エレクトロニクス分野を取材。2019年から大阪本社でエネルギーや機械、スタートアップなどを担当。日本の組織に合ったデジタルトランスフォーメーションのあり方を模索。


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