見出し画像

チームが育つ「対話型会議」のはじめ方

こんにちは、ナラティブベースのハルです。ひとり淡々とオンラインで仕事をしていると「この仕事飽きたな〜」なんて思ってしまうことはありませんか?でも、そんなネガティブな発言、会議ではもちろんできませんよね。ところがナラティブベースではこの「飽きた」を発言できる会議があります。その会議とは?
今回は日経COMEMOのテーマ「#コロナ禍で変えた働き方 」を受けて、自社の取り組みから生まれ、コロナ禍で働き方を変える企業様にご提供している「対話型会議」のやり方と効果について書いてみたいと思います!

なぜ、対話型会議?

コロナ禍、次々と会議をオンライン化し、無駄な移動や話しかけたり話しかけられたりがなくなったと喜んだのもつかの間、半年もするとコミュニケーション不足心の問題が表出してきました。

今年の2月に書いた上記の記事でもご紹介した通り、そんなコロナ禍の問題に直面した企業様におすすめしているのが「対話型会議」です。

オンラインでは業務進行は無駄なく効率的に進むのですが、背景理解や関係性構築のための対話(情報量)が圧倒的に不足します。それが働く人の「心の問題」(=不安)に直結しているのです。
オフィスで顔を合わせている場合、「業務進行」と「関係性構築」は無意識に同時進行が可能なのですが、リモートではこの同時進行が不可能です。オフィスワークをリモートワークに切り替えた場合、「どうやって同時進行させるか?」と考えがちですが、経験上、これは割り切って切り離すのが正解です。そこで、お勧めしたいのが「対話型会議」です。

対話型会議とは?

「業務進行」と切り離して「関係性構築」だけの会議をする???それってオンライン飲み会のこと?と思われた方、違いますw
前回「組織とナラティブ」の中でも触れたのですが、今の企業の課題は実は「課題解決型」では解決できない問題が多くを占めているのです。これは、コミュニケーションの質が成果の質に直結している事業内容の組織ほど如実で、時代の流れからもそういった企業が増えているからとも言えます。

例えば、ある問題が顕在化したときに、それを大きく捉える人(部署)と小さく捉える人(部署)がいた(あった)とします。そのときに最優先すべきなのは解決方法を決めることではありません。まず、「大きい」「小さい」と考えるそれぞれの背景を理解し合い意識を揃えることです。そのために、「業務進行」と切り離した対話の場が必要となってくるのです。

スクリーンショット 2021-08-07 10.35.03

余談(会議あるある):「話し合い」だと始めた会議も、業務進行を切り離さず(決議をゴールにしてしまうと)声の大きな人の意見が背景もわからないまま採用されてしまったりします。納得感のない解決法にみんなモチベーションは上がるでしょうか…?

対話型会議①「ゴールのない会議」

それでは早速、「業務進行」から切り離した「対話型会議」のやり方と効果を2種類ご紹介したいと思います。

ひとつは、通称「ゴールのない会議」です。その名の通り、ゴールを設定せず、テーマだけを決め自由に考えていること、感じていることを話します。その場に出てきた話をグラフィックにしたり、付箋で簡単なフレームワークに貼り付けていったりしながら、眺め・観察して時には沈黙し考える時間も取りながら…また話します。ファシリテーションには、例えば「好き(こうありたい)」「嫌い(こうありたくない)」といったシンプルな問いやフレームワークを使います。ロジックよりも感じていることに関する発言を促し、なぜそう感じるのかを語ってもらいます。

スクリーンショット 2021-08-31 21.44.41

冒頭ご紹介した「飽きた」というキーワードが出てきたのも自社で実施した「ゴールのない会議」の中ででした。その時は『成功のために手を伸ばしあうためには』をテーマに話していたのですが、「モチベーショの下がった状態では手が伸びない」→「モチベーションが下がった状態ってどんな状態?」→「その状態を過去どう打破した?」といった具合に話が掘り下げられました。対話の中で参加者の持つエピソードをどんどん表出化していきます。

まさしくゴールのない対話の中で、話の展開から「良くも悪くもその仕事への関心が薄れる=飽きてしまった状態」「それはその人の成長の兆しなので積極的に表出させると次のポジションへの意欲が湧く」といった一つのパターンに行き着き、参加者全員の意識がすり合わせられました。それをきかっけに「飽きた」がポジティブなワードとして受け入れるようになったのです。

小さな積み重ねですが、こういった言葉のその組織ならではの定義を共創したり、それぞれに「当たり前」だと思っていることが違うことをすり合わせていくことが、共通言語やカルチャーを育むことにつながっていきます。

「ゴールのない会議」の効果
・事象に対するそれぞれの視点とその背景=当たり前が共有される
・それぞれの当たり前が違うことを前提に、判断基準を共創できる
・ひとりで解決しようとせずチームで解決しようとする習慣ができる

対話型会議②「ひとりでやらない脳内会議」

もうひとつご紹介するのは、通称「ひとりでやらない脳内会議」と呼んでいる定例会議です。これは、KPT法(*)という手法をアレンジし、ビジネスチャットタスク管理ツールオンライン会議(同じチームで行う定例会議)を連携させて行います。普段ひとりで頭で考え結論を出すこと(もしくは飲み込んでしまうこと)をあえてチームで共有し合同で意思決定していく会議です。
思考回路をオンライン上で気軽に語り共有することで チームの関係性を深め相互成長を生み出します。

スクリーンショット 2021-08-31 21.41.11

(*)KPT法とは?
「Keep(このまま継続すること)」「Problem(課題)」「Try(解決策)」を書き出す 改善のための振り返り方法のひとつ。アメリカのコンピュータープログラマーであるアリスター・コーバーン氏がアジャイル開発の手法として発案したと言われています。

例えば、「問題を挙げる(Problem)」について話をするとき、よくビジネス上の会話や上司部下の関係では「問題を挙げるなら提案も出そう」となりがちです。これは、個人の課題解決思考を強化するためには一定の効果があるかもしませんが、特に新人や異動者などその場の背景や情報が少ない人からしてみると、極端に発言しずらくなり、場に馴染んだり成長するのに逆に時間がかかってしまう原因にもなります。オンラインツールを使い「問題の言いっ放し」もうまく受け取り、「問題も提案も共に考えよう」という姿勢をチーム全体に作っていきます。

また、「解決策を実践する(Try)」についても、ありがちなのが、一部の人や上司が決めて(そのつもりはなくても)「決めたからやって」的な伝達に聞こえてしまうことです。これもチーム全体で対話し合意する工程を踏むことで、「チームで決めて、まずやってみよう」と全員が腹落ちした状態で実行に移せる状況を作れます。

「良い行いを維持する(Keep)」について話し合う時には、あえて、「誰が始めたのか?言い出したのか?」を意識して話していくことで、お互いのいいところに気付き合うきっかけをつくり、承認しあうことができます。承認を受けたメンバーは、「自分の力が場に影響している」ことを実感し、より一層積極的に発言しよういう気になります。

「ひとりでやらない脳内会議」の効果
・情報の少ない新人や異動者でも声が上げやすい
・全員参加で意思決定するので腹落ち感を持って行動に移せる
・承認し合うことで自己効力感が増す


さて、今回はコロナ禍で働き方を変える2つの「対話型会議」についてご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか?

いずれの会議も続けて慣習化することが大切です。会議に名前をつけたり、ファシリテーションをローテーションで行なったりしながら楽しんでトライしてみてください。積み重ねることでチームにとっての新しい共通言語やカルチャーが徐々にできあがっていくと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

ナラティブベースでは…
今回ご紹介した「対話型会議」の設計やファシリテーションをサービス提供しています。自社で行うことが難しい、初めは伴走してもらいノウハウを習得していきたいという場合はお問い合わせください。

#日経COMEMO #コロナ禍で変えた働き方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?