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愛されるということは、変えられるということ

英語圏のツイッターで今話題になっているフレーズがある。それは、なんともない一つのリプライから始まった。

「これらの投稿を見て、人生に対する視点が劇的に変わった。今年は本当に回復をして、休息をして、しかるべき時に愛を真剣に与え、受け取るためのものだと感じる。とても美しことだと思うし、愛はどんな形であれ変革を起こす可能性を持つ。」

ボロボロになったぬいぐるみは「愛によって変わった形」。そして自分がラーメンを作る方法は友達が高校の時に教えてくれたやり方だったりと、「自分は自分が今まで出会ってきて一瞬でも愛した人々のモザイクでできている」。

トラウマやネガティブな経験によって考えも身体も変わってしまうことは頻繁に言及されるが、愛によって人間が「変化」を起こすことに関しては、言語化される機会が少ない。

さらに、定期的に(主にアメリカで)「友達に空港に迎えに来てもらうのをやめよう」「友達に頼るのをやめよう」「友達にお願い事をするのは迷惑だからやめよう」などという言説が出てきては議論され、批判される。

「「引っ越しの手伝いは頼まない」「空港への出迎えは頼まない」「断りもなく長文メールを送らない」......友達付き合いが自分に迷惑がかからないかどうかに全てがかかっているなら、少しは内省したほうがいいぜ。」

個人主義が加速するアメリカで、人々の孤独が社会問題となっている。「エピデミック」だと言われているほど、アメリカの大人たちは友達を作るような社交の機会を失い、セルフケア・セルフラブという虚構の名目でどんどん人とのつながりに境界線を引き、「自分を優先する」ためにコミュニティや友情の基礎的な「助け合い」を拒絶するような社会のムードになってしまったのだ。「ノー」と言うことも大事だが、自分に「不利益」「迷惑」になることをとことん排除した結果、コミュニティも失い、全て独立して生活することが美徳となりつつある。そうなる前に、「大人の友情」について考え直す動きも出ている。

https://www.inc.com/jessica-stillman/american-adults-are-struggling-to-make-friends-meet-11-apps-trying-to-help.html

そんな中で、「愛」について考えるきっかけを作ったこのTwitterのコメントは、些細で下らないように見えても、ここまで広まって話題になっていることには、大きな社会現象・社会問題の反映であるともいえる。


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