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ドイツ風アニメのドイツ上映とイベントについて

2月下旬、ドイツの映画館でアニメ映画『劇場版 幼女戦記』が一斉上映されました。現在、ドイツでは「外出制限」が行われており映画館も営業が禁止されています。今回の内容は2点です。1)ドイツ風の世界設定を採用する作品について、2)ドイツにおける上映イベントについて、です。

アニメ映画『劇場版 幼女戦記』のイベント上映は、ドイツとオーストリアの映画館250か所で上映されました。音声はドイツ語吹き替え版です。フランクフルト会場では、平日火曜日の夜20時という開始時間にも関わらず、多くのアニメファンが集まっていました。

今回は上映後に会場で簡単なインタビューを行いましたので、まずはその内容を見てみましょう。

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会場でお会いしたカリム・アーサンさん、マイク・ミュンシュさんは、作品のファン。『幼女戦記』と言えば、ドイツ風の世界設定が特徴的です。筆者の日本人的感覚だとドイツ風なのが作品の良さのひとつだと思っているのですが、ドイツのファンの目にはどう見えたのでしょう。これについては、「特に気にならない。他のアニメと同じ感覚」と筆者の「ツボ」を共有できず肩透かしな結果に。ただ、2人にとっては、ドイツ語吹き替えによる感情的なセリフの言い回しが面白かったそうです。というのも、表現が現代的な言葉に訳されていて、いい意味での違和感、落差を感じたそうです。

話しは少しそれますが、筆者は2月上旬にアニメ映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』の上映イベントにも参加しました。一緒に観に行ったドイツ人に同様の質問を投げかけたところ、背景に描写された大通りの屋台など、作品の時代設定とはミスマッチなものもあったと指摘していました。

誤解のないように書きますが、ドイツでの両作品の評価は非常に高い印象です。ただ、改めて感じたのは、ドイツ風の世界観は必ずしもヒットの条件ではなく、ヒット作品がドイツ風の世界観を採用していたということだと思います。

さて、話しを進めましょう。

今回の『劇場版 幼女戦記』は、ドイツのアニメ販売ブランド「KAZÉ」による「KAZÉ Anime Nights」というイベントシリーズの一環として上映されました。1月から10月まで、およそ月に一度のペースで、ドイツ・オーストリア中の映画館を通じて作品を一斉上映するという内容です。参考までにラインアップを見てみましょう。(ラインアップは発表当時のものです)

1月28日 『ワンピース スタンピード』
2月25日 『劇場版 幼女戦記』
3月31日・4月1日 『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System I-III』
4月28日 『千年女優』
5月26日 『東京喰種トーキョーグール【S】』
6月30日 『名探偵コナン 紺青の拳』
7月28日 『きみと、波にのれたら』
8月25日 『あさがおと加瀬さん。』
9月29日 未定
10月27日 『龍の歯医者』

ドイツにおけるアニメ映画のイベント上映については、筆者は過去にも何度か紹介してきました。(参考:アニメ映画「天気の子」と上映イベントについて=ドイツから考える映画館でアニメ体験:都市移動型アニメ映画祭という興行モデル=ドイツ)

過去に紹介した上映イベントに今回のものを加えると、ドイツでは既存の映画館を活用したアニメ映画を上映する様々な枠組みが展開しているのが見て取れると思います。このほかにも、日本映画(主に邦画)が上映される映画祭などでもアニメ映画は上映されます。

ドイツの事例を紹介してみました。アニメ映画は世界各地で上映されています。世界各国の上映イベントを比較すれば、今後、さらなる日本のアニメ映画の成功につながるような「仕掛け」が考えられるかもしれません。皆さんはどう思われますか?

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タイトル画像:『劇場版 幼女戦記』のイベント上映を伝えるニュース記事のスクリーンショット。出典:Anime2You

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