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企業のデジタル人材教育と一緒に行いたい、企業の将来議論


多くの企業でデジタル人材教育が盛ん

 今年は、AI元年かもしれません。私も、この一年で、こんなに生成系AIを、自分の仕事に取り込むことになると思いませんでした。もはや、私のコンピューター・プログラミングの多くは、AIが書いているといっても過言ではありません。
 そして、このような流れは、多くの企業の社内教育にも影響を与えており、多くの企業でデジタル人材教育が行われています。

この記事に限らず、多くの企業でDXや、データサイエンスに関する、社内教育が盛んに行われていることでしょう。実際、私自身も、今年は企業へのデータサイエンスの講義は、今まで以上に増えました。
 ところで、このデジタル人材の育成の目的は、正しく理解しているでしょうか?というのも、多くの企業では、「デジタル人材の不足」「デジタル・リテラシーの不足」が、会社の事業の成長に必要と思っているのではないでしょうか?この企業の成長と、デジタル人材育成は、本当に同じ方向にある事柄なのでしょうか?少し整理してみましょう。

デジタルは、効率化が得意

 DX(デジタルトランスフォーメーション)に代表される、デジタル技術の教育の最大のメリットは、業務の効率化が容易になることでしょう。
  例えば、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)というデジタル技術は、人に変わって、コンピューターに仕事を任せることで行える仕事の効率化が目的です。

 ChatGPTのような生成系AIの導入は、大量にある過去の文章から、効率的に関係文章を参照するに有用であり、これも効率化がゴールです。

 このように、多くのデジタル技術の導入は、業務の効率化を促進します。従って、仕事を効率的に行うことで、今まで以上に、人にしかできない「思考」という仕事時間は確保されますが、この思考は「デジタル技術」とは関係なく、「人」の能力に依存します。

データサイエンスは、過去理解と近未来予測が得意

 デジタル人材教育では、「データサイエンス」の取り組みも盛んです。データサイエンスは、理系科目でも、文系科目でもないので、社員への教育は有効です。
 経営者の中には、「データサイエンス力」が高ければ、会社の経営の精度も高くなると考えている方もいるでしょう。しかし、「データ」とは、正しくは「過去の数値、事象」です。そして、データサイエンスは、現状理解と、近未来予測くらいしかできません。

 10年先の予測は、会社の経営のように、非自然現象の場合は難しいでしょう。そして、実際には自然現象でも、過去と異なる条件が重なれば、予測は不可能なのです。

 つまり、データサイエンスは、今と同じ状況が継続的に続けば、かなり有効な手段ですが、大きく変化するビジネスの現場では、活用可能な場所と、そうでもない場所に分かれるのです。

将来の企業は、高付加価値な事業

 ところで、話を企業に戻しましょう。多くの企業は、企業の持続性を考え、そのために、今までよりも、「高付加価値」な事業、経営を考えているのではないでしょうか?
 この高付加価値のために、低コストの視点から、デジタル技術の導入は、短期的には有効ですが、コストの削減に限界が訪れます。
 データサイエンスでも、コスト削減のアイディアを出すことが可能ですが、逆に「高付加価値な事業」の予測は難しいでしょう。

企業の強みの整理と、将来の大胆な議論が必要では

 デジタル人材育成は、会社の基礎体力を高めるためには、行うべきことであることは、間違いありません。しかし、今までの整理では、これだけでは、不足している部分があります。それは、「企業の将来議論」です。マーケティング的には、将来の3C分析と、その分析に基づいた、その企業の将来のあり方の大胆な議論が必要です。
 3Cとは、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)のことです。将来のお客様はどうなりそうか?将来の競合はどのようになりそうか?その時、自社はどの強みを活用して、事業を経営するか。
 デジタル技術は、ツールです。ツールは、事業戦略によって、どのツールを使うかが決まります。ぜひ、デジタル人材育成と合わせて、企業研究や経営研究も必要なのではないでしょうか?


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