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「社長や上司に出社してほしい、出社してほしくない」という会社は、コミュニケーションエラーが既に生じている


皆さん、こんにちは。

今回は「 #社長に出社してほしいですか」というテーマについて書かせていただきます。

結論から言うと、「どちらでも良い」に尽きると思います。社長が出社していようがいまいが、社員一人ひとりがやるべきことは変わりません。
ただ、もちろん会社のトップである社長が自ら率先して新しい働き方を実践していれば、それが全社的に促進される可能性は高まります。

▼新しい考え方や価値観を浸透させたい場合、トップが背中を見せるべきか否か。

別の事例で考えてみます。たとえば「男性の育児休暇」に置き換えて考えた場合。
会社のトップである社長が自ら育児休暇を取得すれば、育休を取りやすい雰囲気が生まれることは確かです。ですが、社長自ら取得しない場合においても、育休取得を促すことは可能なのではないかと思います。むしろ、社長1人が取得するよりも、ミドルマネジメント層10人くらいに率先して取得してもらった方が会社の風土として早く根付く可能性すらあります。
なぜなら、社長と現場社員は業務内容や働く環境がかけ離れ過ぎていて、「社長だからできるんだよ」の一言で終わってしまうからです。

▼自分で背中を見せられないものに対しては、まずは事例を作る。

「女性抜擢」の場合。女性の活躍、抜擢が推進され始めている今の時代の流れを受けながらも、まだまだ女性の幹部候補の数の少なさに課題感を持っている企業が多いと思います。社長が男性であった場合、男性だらけの経営幹部層が「もっと女性を抜擢しろ」と指示だけ出していても結果が伴うことはなく、まずは複数の女性をリーダーに据えて、それから全体の抜擢数を増やしていく方が早いですし、推進されていくイメージも沸きます。物理的に自分で背中を見せられないものに対しては、まずは事例を作るしかないと思います。

▼大事なのは、「経営メッセージ」を伝えること。

「トップが背中を見せる」ことは大事です。
ですが、必ずしも全てにおいて、トップが部下に模範を示す必要はありません。ただし、経営メッセージを実践以外のなんらかの形で明確に伝える必要はあると思います。
経営メッセージの伝え方には様々な種類があると思いますが、たとえば、一昔前の時代のようにとにかく朝から晩まで猛烈に働く社員が評価されていたとして、今後は働く時間ではなく、いかに限られた時間で生産性高くパフォーマンスを出せるかに評価軸をシフトしたいとします。その場合、社内での表彰や抜擢、昇格基準などを見直し、明確に「ただオフィスにいる時間が長い人を評価するのではない」という打ち出しが必要です。それが経営メッセージとして現場に浸透していくようにするのです。

▼「社長や上司に出社してほしい、出社してほしくない」という会社は、コミュニケーションエラーが既に生じている

話を元に戻しますが、「上司が出社していたら他の人も出社しなければいけない」とか「上司もリモートワークをするべきだ」と思う人が大勢いる組織は、既に上司と部下との間で、信頼関係が成立していないと言わざるを得ない状態です。
現場の社員からはその雰囲気を変えづらいので、管理職側がその風土を変えていく工夫を積み重ねていかなければなりません。
新しい働き方における工夫は以下noteもあわせてお読みいただければと思います。

そんなに簡単ではない在宅と出社のハイブリッド型勤務。二者択一の先を目指す理由
「会社のカルチャーを犠牲にしない働き方制度設計のヒント。」


最後に、当社の経営層やマネジメント層は、リモートワークとオフィス出社をうまく組み合わせており、社長もリモートワークを普通に取り入れています。人によっては、毎日出社するという管理職もいるかもしれませんが、部下に同じような出社スタイルを強要することはありません。

「上司が(または部下が)自分と違うスタイルで勤務している」という状態はもはやイレギュラーではなく、この状態が当たり前になっていくという前提で、働き方だけでなく働き方に対する価値観のギャップはこれからも広がっていく可能性が高いです。ギャップによって生まれた違和感や負の感情を緩和していくためには、これまで以上に密なコミュニケーション、相互理解、帰属意識やつながりの醸成などが求められていくと思います。

「社長や上司が出社しているかどうか、出社してほしいかどうか」は、近い将来には、論点ですらなくなっていく気がしています。



#日経COMEMO #社長に出社してほしいですか

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