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価格破壊でスポーツテックが身近になってきた

こんにちは、高木聡一郎です。在宅勤務が長く続いている方もいらっしゃるかと思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

運動不足の解消には体を動かすことも必要ですが、スポーツの分野ではテクノロジーの活用が急速に進んでいます。プレイヤーの動作やパフォーマンスをデバイスで捉え、データ化し、分析する。そして、プレイヤーに最適な道具を提案したり、パフォーマンス改善の方法をアドバイスするわけです。

これまで、こうしたスポーツテック機器はプロのアメフトやサッカーチームなどで導入されてきましたが、一般の人が使うには高額でした。しかし、ここ最近、低価格化が進みつつあり、普及の兆しを見せています。

新しい技術は何でもそうですが、技術的に可能になってから普及するまでには、価格という最大の壁があります。これが破壊されたとき、一気に普及する傾向にあります。そのような例として、最近の事例をいくつか紹介したいと思います。

身近になるスポーツテック

まず一つめが、ブリジストンで行われているゴルフのフィッティングです。以下の記事では、セイコーエプソンの開発したセンサーをクラブに取り付けているのが肝だとされています。そのセンサーは3万円程度で購入でき、自分のスイングの癖や特徴を解析し、その人に合ったクラブを選択することができるというのです。

何を隠そう、実は私も過去にブリジストンでゴルフクラブのフィッティングを受けたことがありますが、その時も様々なデータが瞬時に解析され、大画面に表示される光景には驚いたことがあります。

ブリジストンは他にもスポーツ用自転車での解析技術(プロフォーマット)など、そのデジタル力を発揮しています。同社は経済産業省と東京証券取引所が発表した「DX銘柄」にも選定されていますが、これまでフォーミュラ1でのタイヤ開発での蓄積もあり、そうした経験の蓄積が活かされているのでしょう。

上記のセンサーは個人でも購入できるようなので、一般の人でも自分のスイングを解析することが容易になりそうです。

自転車の話が出たところでついでに紹介すると、イタリアの企業「ファベロ・エレクトロニクス」は発売したパワーメーター「Assioma」が、自転車界隈では話題になっています。

パワーメーターとは、人が自転車を漕ぐときに、どのくらいの力を出しているかをワット数で計測するデバイスですが、従来13万円以上するものが多かったのに対して、Assiomaは両脚タイプで8万円。片側タイプだと約5万円という低価格を実現しています。

以前バーチャル・ツールドフランスを紹介した際にも触れましたが、自転車は現在センサーの塊で、またデータをソーシャルと結び付けることもかなり進んでいます。そんな中でパワーメーターは非常に重要なデバイスの一つですが、価格が下がってきたことでさらに普及が進むでしょう。

パワーメーターがあると良いことの一つに、製品によってはサイクリストのペダリング特性を分析することができるというものがあります。このAssiomaもそうですが、無駄な力を使っていないか、効率的なペダリングになっているか、左右差は無いかなど、細かく分析し、その後のスキルアップにつなげていくことができるのです。うーん、欲しい。

重要になるエキスパートの分析力とサポート

さて、上記で紹介したスポーツテックの事例は、実はこれまでもお伝えしてきたデフレーミングの第2の要素、『個別最適化』の一例です。一人一人に合ったサービスを提供し、サポートしていこうというもので、それがテクノロジーで容易になってきました。


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その一方で、これらのサービスが本当に真価を発揮するには、逆説的に人のサポートが欠かせなくなっています。例えばゴルフクラブの例で言えば、現在のスイングの癖やレベルが分かったとしても、それが今後も続くという前提でクラブを選ぶのか、それともそのプレイヤーは今後スイングを変えていく可能性があるのか。どれくらい潜在的なスイングスピードを出せるようになるのか。どんなゴルファーになりたいのか。そういったことは、なかなか機械では分析できません。

もちろん、本人にあらかじめ決めておいた選択肢から選んでもらうということは可能ですが、エキスパートとの会話の中で気づくこともあります。「あなたは本当はこういう能力がありそうですよ」、「こうすればもっと上手くなりますよ」、「こういう使い方をすると楽しいですよ」といったアドバイスによって、自己認識も大きく変わることがあるでしょう。

データが取れるようになったからこそ、その一歩先をサポートできるエキスパートの存在が、これまで以上に重要になるのではないでしょうか。


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