テレワークとリアルはインド料理と和食のようなものであり、比べるものではない
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

テレワークとリアルはインド料理と和食のようなものであり、比べるものではない

「一番好きな食べ物は何か」と聞かれたら、筆者はインド料理を選びます。子供の頃から40年以上にわたり、香味野菜とスパイスが複雑に醸し出す辛さや香りが大好きで、海外に行った時、ご当地のものに飽きたらまず試したくなるのもインド料理です。

一方、お寿司や天ぷらなどの和食も好物です。出汁の風味が好きで、蕎麦やうどんは言うまでもなく、人目を気にせずねこまんまを頂きたくなる欲求も、定期的に訪れます。

というわけで、インド料理と和食を両方好む筆者なのですが、インド料理に対して出汁の味がしない、と不満に思ったり、和食に対して「スパイシーじゃない」と怒ったりすることはありません。それぞれの良さは別々のところにあるので、お味噌汁にカルダモンだコリアンダーだをぶち込んだりしたら、それこそ別物になってしまいます。

今回のCOMEMOのテーマ「テレワークで上げる生産性」を拝見し、筆者は上記のようなことを想起しました。

今更指摘するまでもないことですが、テレワークで上がる生産性は確実にあります。

テレワークは、場所の移動から働き手を解放するので、単純に移動時間のロスがなくなります。また、ミーティングにおいては、三々五々人が集まるリアルだと発生しがちな、開始時のだらだらした雰囲気を、テレワークだと開始時間に一斉にカメラ・マイクをオンにする、などの仕切りをすることにより、うまくマネジメントできます。
リアルと違ってだらだらしていると間が持ちにくいので、一つひとつのミーティングが短く完結します。筆者の体感だと一日の間でこなすことができる打ち合わせの数は、リアルとテレワークだと5割増しくらいにはなるのではないか、と思います。
人にもよりますが、自宅から仕事する場合は、お化粧や着替えなどの「お出かけ準備」が簡便に済む、ということもあるでしょう。
まとめると「テレワークで上がる生産性」とは、リアルに集まるスタイルと比べて、時間の無駄を省き、時間あたりでこなせるタスクの量を上げる、というところでしょうか?

一方で「生産性」という言葉がカバーする事柄は、時間的な効率だけではありません。
「アイデア生成のような創造的スループットが上がること」も、生産性の範疇であるように思われますが、これはテレワークの不得意分野なんじゃないかと思います。
なぜならば創造的な業務の遂行において非常に大切な、弁証法的な意味や概念の足し算&言語化、というプロセスが、テレワークとあまり相性が良くないからです。
このプロセスでは、セッションに参加している各人が、心の中にある「言いたいこと」をきちんと言語化することが大事です。言語化された「言いたいこと」を足して再言語化するのがプロセスの全体像なので、各人が自分の心の言い当てをするのが、その第一歩になるからです。
しかし、人の心にはいろいろなイメージや概念が存在しているので、それを綺麗に一本の言語にすることはなかなかに難しい作業です。なので、この手の議論をしていると「君が言いたいことはXXXXってことかな?」などの質問を通じて相互に解像度を高めるような局面が見られます。
相手の言いたいことを言外のニュアンスも含めて察知する、というのはボディランゲージや、発言者とそれ以外の関係及びそれをベースにした発言の文脈などの理解が重要です。
これらは平面なスクリーンの中からLow-Fiな音声で汲み取るのはとても難しく、筆者はクリエイティブな議論を行う必要があるときは極力リアルで集まるようにしています。

まとめると(テレワークの対比としての)リアルが得意な生産性として「創造的な議論」があると言えそうです。
リアル・テレワーク、それぞれに得手とする生産性向上の方向がある、ということですね。

さて。
テレワークの不得手分野を解決するための「創造的議論をより生産的に行うためには」という議論も成立するにはします。例えば、画面越しのアイスブレイク方法を考える、発言の順番やルールを決めてなるべく話者の意味するところを汲み取れるような会議進行にする、などなど。

でもこれはインド料理に出汁の風味を求めるような無粋な議論なんじゃないか、という感覚を筆者は持ちます。
所詮テレワークもリアルも、仕事のやり方といういわば「How」の話であり、それぞれのいいとこ取りをすれば、生産性も一番いいところを狙っていけるのではないか、と。
今は新型コロナ対応もあるので、いきおいテレワークが主語になりがちですが、本質的にはどんなHowの組み合わせが仕事のポテンシャルを最大化できるか、という考え方をするのが重要なのではないか、とも。

最後に。以前このコラムで指摘したように、テレワーク・リアル関係なく、チームワークの礎になる組織カルチャーは、なかなかテレワークのみでは醸成しにくいのではないか、と思います。この観点からもテレワークとリアルはOrではなく、Andで考えるべきだと思います。

また、医療機関や小売・外食など、テレワークの機会が非常に制限される職務環境もある中で、それができるのは、恵まれたことである、という感謝の気持ちを忘れてはならない、と思います。引用したコラムにも記しましたが、テレワークが制限される仕事に対する福祉や保証の制度かも、長い目では大事になっていくのではないか、と思います。

読者の皆さんは、どうお考えですか?

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
励みになります!
富永朋信(プロフェッショナルマーケター・「幸せをつかむ戦略」著者)
9つの事業会社でマーケティングやってきました。うち、西友、ドミノ・ピザなど4社でCMO。現在は株式会社Preferred Networksの執行役員CMO、イトーヨーカ堂・セルム顧問、日経XTrendアドバイザリーボード、厚生労働省年金局広報検討委員、内閣政府広報アドバイザー等。