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「さかなのこ」が教えてくれた、人生での”好き”との付き合い方

今回映画「さかなのこ」から始まって、日々や仕事の中で「好き」とどう付き合うかを書いておりますが、映画のネタバレ一切しないでぇぇぇ!の方はお気を付けください。


なぜだか「これは見なくてはならない」と思ったのです。
まさに偶然の出会いであり、行動に移すまでが感動のワンセット、とまで前に書いたので、有言実行せねばなりません。時間を絞り出し、滑り込むように映画館のシートにつきました。

「男か女かは どっちでもいい」って!

原作はさかなクンの自伝です。
「男か女かは どっちでもいい」という冒頭の強烈なメッセージ、そして
のんさんというキャスティング。
それだけで私は後ろから殴られたような、表現力の敗北を感じていました。そんな風に壁を飛び越えちゃうんだと。

このメッセージは、2022年ベストコピーと私は思っています。
(野暮なこというのですが、決してジェンダーをないがしろにするメッセージではないです。映画を見ればわかるけど)

制作の上でも大切にされ、部屋の壁に貼ってあったそうです。迷ったら、どこへ進めばいいかの指針となる、灯台みたいな合言葉。
たとえ最終的な表現のおもてに出ても出なくても、そういう言葉こそ、一番よいコピーだと私は思っています。
一体中身はどうなってるのか。とにかく確かめに行かねば、という思いで映画館に来ましたが、そう来たか!その人出るんだ!そんなんでいいの?それ最後に言っちゃう?と、想定外のやり方で、軽やかにひょいひょい飛び越えられまくって、2時間が終わりました。

「好き」は無傷ではいられない


これは「好き」をつき進んでいく人のお話です。
ただその過程では、世の中の「普通」から攻撃されることもあり、決して無傷ではいられません。

普通とは何か?個性とは何か?
私の人生のテーマとしてあるようです。
だからこの映画が私の心に、ぴょんと飛び込んできたのでしょう。

「個性が大事、好きを伸ばしましょう」と世間はよく言うけど、そこから派生する全てを受け止める覚悟はあるのか?人と違うって、痛みもあるんだぜと私は問い続けていて、まだ答えが出ないから。

「好き」が、周りにもたらす力

でも最後に心に残ったのは、「好き」を貫いた先にみえる世界の美しさ。見守る周りの人も幸せそうなことでした。
主人公のミー坊に関わった人が良い影響を受けて、その人なりの「好き」を、その人なりの熱量と方法で形にしているのです。別に全員博士にも大臣にもなっていない。それでも一人ひとりが、チャーミングでいとおしいのです。

でも映画の世界だしな、とまだ意地悪な気持ちで、原作であるさかなクンの本を、チューニングの意味で読みました。
しかしよりくっきりしたのは、「好き」が、人とのよい関係性を作っていたことでした。
珍しい魚があると連絡をくれる魚屋さん、
あまりに楽しそうだから一緒に釣りに行ってみたいという友達、
さかなクンの「好き」のポジティブなパワーに触れて、周りの人まで何だか楽しそうなのです。

人生の中に「好き」を持つ

大切なのは、どんな形でも、どんな量でもいいから、人生の中に「好き」を持っていることなんだなと思いました。
強烈な「好き!」を持つ人を否定せず応援するのも、ひとつの「好き」の形。もちろん「好き」を仕事のなかで感じられたら、それもいい。

「なんか好き」があれば天職だ

「好き」を極めたゴールの一つが「天職」と呼ばれるものかもしれません。しかし「天職」って、「才能」という言葉とも、近い場所にいる感じもして、どうも気後れしてしまう。

私も今この仕事が天職か?といわれると全く自信はなく、今まで沢山の天才たちの仕事を見て、自分が嫌になりました。

でも言葉がトンと降りてくる瞬間。それがシャンプー中だろうが、3連休の中日だろうが、有無を言わさず脳みそをそちらにシフトせざるを得なく、ケータイやときにPCまで起動して書き綴る。しんどい。でも言葉が降りてきた喜びが勝ってしまう。そんな感じの「好き」でも、好きと感じる限り、天職と呼んでしまってもいいのかもと思えてきました。(そう思えなくなったら多分色んな意味で限界)

きっとミー坊もさかなクンも、天職を探すことが目的ではなく、魚が好きで好きで走り続けた結果「天職」という場にいたはず。これからも走り続けてまた違う場所に行くかもしれない。

「好き」を仕事で実現するのか、
人生の中のどこかで実現するのかは、
どっちだっていい。
男か女はどっちでもいいように。
それより見失ってはいけないものは何か?
人生で大切にしなくてはいけないものは何か?
それがわかる人はすごく強い。

一番体現しているのが、ミー坊とさかなクンのお母さんだと思うのですが、腹の据わり方がすごくてすごすぎて。あなたは何者ですか?と震えてました。影の主人公で超人です。

映画からこんな風にたどり着くとは思わなかった今月ですが、さてさてまた来月。よろしければお越しください。



ここまで読んでいただきありがとうございます。 読んで、少し心がゆるんだり、逆にドキッとしたり、くすっとしたり。 おやつ休憩をとって、リフレッシュする感じの場所に ここがなれたらうれしいです。