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最も個人的なことが、最もクリエイティブだ。

ただいま日経新聞とnoteの共同お題企画 #大切にしている教え をテーマにした投稿を4月30日まで大募集中です!

私も僭越ながら書いております。

記事をアップしてから落ち着いて自分の投稿を見直すと、もっと明快な#大切にしている教え が書いてある。しかもプロフィールに↓
(会社でよく「落ち着け」と言われます…) 

これです。黄色いハイライトのとこ。

こっちを書くべきだったわ…ということで、今月も#大切にしている教え 第2弾を書かせてください。

最も個人的なことが、最もクリエイティブだ

この教えは、2020年アカデミー賞を受賞したポン・ジュノ監督のスピーチからの言葉です。

まだ私が若く、映画を勉強していたときに、深く胸に刻まれていた言葉がありました。
「それは最も個人的なことが、最もクリエイティブである」という、マーティン・スコセッシ監督の言葉です。


映像がこちらから。日本語字幕で適切なサイトがなさそうで英語版です。

初回の投稿に漕ぎ出すとき、何も成してない私の文を誰が読んでくれるのか悩みました。
ならばせめて本当に感じたこと、実際に体験したことだけを書こうと決めました。
ググって切り張りした、今の時代の無難な上澄みの「正解」を書かない。また自分を背伸びして見せようとせずかっこ悪くても、私の毎日から削りだした言葉を書こう。それが私の誠意だなと思ったとき、監督の言葉に背中を押される思いがしました。

この仕事しました、の裏側

広告の仕事は関わる人が多く、プロジェクトごとにメンバーが変わったりするため、また他にも様々な機会でポートフォリオや履歴書を拝見することがあります。
大きい仕事をされていたり、立派な賞を取られている方も多い。
肩書はパスポート。最初の入り口にはとても有効で、信頼のあかしです。私も助けられるときがあるし、一方まだ足りないなあとも思います。

が、「この仕事しました」は結構曲者です。
関わる人数が多い広告の仕事の場合、果たしてキーパーソンは誰だったのか。
統括したクリエイティブディレクターの手腕?企画をジャンプアップさせた監督のアイデア?ポロッといった制作会社の若者の一言?商品開発者の執念…?色んなケースがあります。(そもそも個人的にはチームプレイの仕事とも思っています)
 
私もある仕事は、コピーライターというよりCMプランナーとして頑張ったんだよなーということもありますが、フラットなスタッフリストからは分からない。
そしていわゆる評価された大きな仕事ほど「これは自分がやった仕事」と名乗る人が急に激増する…よく言うアレオレ詐欺ですね。なので「この仕事しました」のリストだけでは判断が難しいところなのです。

あなたの個性が見たい

だからこそパスポートの先に、その人の狂気というか匂い、みたいな個性を感じたいのです。
広告の仕事は自己表現の場ではないし、アートでもない。いかに課題に対して最適な答えを出すかという最も自我を消す仕事である一方、矛盾していますが、作り手の個性が確立されていないと、その広告はのっぺらぼうになってしまうのです。

監督は、自分の好きなことを狭い世界でやってるわけじゃなかった

ポン・ジュノ監督に言葉をお借りする以上、彼の作品をもう少し拝見する礼儀を尽くしたい。(ならばスコセッシ監督やスピーチで言及されていたタランティーノ監督もなのですが…力尽きた)。私パラサイトも薄目で見た超・怖がりなのですが…見てよかった。

分かったのは「個人的なことがクリエイティブ」とは、決して自分の好きなことだけを狭い世界で行っているわけではないこと。エンターテイメントにこだわる監督のドキドキハラハラの展開や演出、投げかけるテーマの鋭さ・重さは言語を超えると思ったし、また韓国の外での作品作りにも参加し、「映画のインタビュー600回、観客との対話100回以上。鼻血が出るかと思った!」というほど多くの人に、伝える努力を行っている。

また映画を作るための継続的な支援が公私にわたり、あったこと。

アカデミーの受賞が夢物語でなく、歩みを重ねてきた道筋の先にあるリアルなゴールだったんだと改めて思い知りました。そして今年は「エブエブ」の受賞!

アカデミー賞に多様性の追い風があったといえど、切り開いた始まりの一歩はポン・ジュノ監督からに違いないのです。

そのうえで「個人的なことがクリエイティブ」と語った彼のセンスは本当に脱帽で、私はあと5億倍ぐらい努力しないといけないことが分かったのですが(!)でも私はやっぱり、この言葉を大切な教えとして頑張っていきたいと思います。また来月も!!







ここまで読んでいただきありがとうございます。 読んで、少し心がゆるんだり、逆にドキッとしたり、くすっとしたり。 おやつ休憩をとって、リフレッシュする感じの場所に ここがなれたらうれしいです。